http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-e620.html
2019年2月19日 (火) オリガーキー
↑この記事で「オリゴ」から話を広げました。今回はその続きです。
★「オリゴ糖」という言葉を聞きますね。
「オリゴ」は「少ない」という意味でした。何が少ないのでしょう?
単位となる「単糖」が「少数」結合したもの、という意味です。
英語だと oligosaccharide
単糖は「monosaccharide」。「mono」は「1」を表します。
単糖にもいろいろあるんですが、一番身近なのはグルコース(ブドウ糖)ですね。
ブドウ糖が2個(di)つながると。「disaccharide」です。二糖類。
身近なのはショ糖、乳糖、麦芽糖あたりかな。
二糖類だって、「少数」の単糖がつながっていますので、「オリゴ糖」といえないこともない。普通にはあまり言いませんがね。
単糖が3~6、7個つながったものを、化学の方ではオリゴ糖と言い慣わしている感じかな。
10を超えたら「多糖」polysaccharideという分類になりますね。
デンプン
グリコーゲン
セルロース
キチン
アガロース
ヒアルロン酸
ペクチン
グルコマンナン
アルギン酸
こんなところが、よく耳にする多糖類でしょうか。
ところで、オリゴ糖=少糖というのは化学用語ですが
「稀少糖」という言葉を耳にすることもあります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%8C%E5%B0%91%E7%B3%96
希少糖(きしょうとう、英: rare sugar)とは、国際希少糖学会によって「自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体」と定義され[1]、単糖とその誘導体としての糖アルコールを加えると、60種類ほどになり、自然界に豊富に存在するD-グルコースやD-マンノースなどを除いた単糖の大部分を占める。
考えすぎかもしれませんが、オリゴ糖⇒少糖⇒稀少な糖という「すりかえ」をやっていませんか?
稀少糖は rare sugar です。化学用語のオリゴ糖(少糖)とは異なる概念です。
意図的にこれらを混用してないか?疑い深すぎるかな。
化学を知らない人に、ややこしい言葉、概念をぶつけて、有難がらせているのではないかと、やはり疑ってしまいます。
★話がそれますが、以前「高級アルコール系洗剤」という言葉が流行ったことがありました。
化学屋としては「高級」というのは品質に絡むことではなく、「炭素の鎖が長い」というだけの意味なのです。
まぁ、炭素数が6以上くらいから「高級」というならわしかな。
でも、洗剤メーカーは品質が良い「高級」な洗剤というイメージと重ねましたよね、確実に。もちろんメーカーに意味を問い合わせたりすれば「炭素鎖が長いという意味です」と回答したでしょうけれど。
こういうような、意味をずらす、重ねる、すり替える、というようなことは身近に頻繁にあることですので、充分に注意してくださいね。
「高級アルコール系洗剤」のことは授業でも話しました。そうなんだ高級品とかじゃないんだ、と生徒は驚いていましたよ。
★化学教師現役時代の教材プリントを、かつてのHPに載せたものを再掲します。お楽しみください。
↓ここから
数詞
思いつくままに数のことばを挙げてみました。もっとあります。いろいろ探してみてください。
[1] mono
monarchy 君主政治(体), 君主国
monarch 君主
(参考:anarchy 無政府(状態),(社会の)無秩序。“a”は否定語。)
monochord 一弦琴
monochrome 単色の, 白黒の
monocle 片めがね
monocycle 一輪車
monolith 一枚岩、一本の石、一本の柱
monologue 独白、モノローグ、一人芝居
monomania 偏執狂
monomer 科学用語:単量体
monopod 一脚{カメラの}(pod は、あし)
monopoly 独占権、専売権
monorail モノレール、単軌鉄道
monotheism 一神教
(参考:polytheism 多神論、多神教、 atheism 無神論)
monotone (色彩・文体などの)単調
[2] di(bi)
dialogue 対話
diarchy 両頭政治
dichotomy 二分法
dichromatic 二色の
dilemma (好ましくない二者択一を迫られる)板ばさみ、窮地、ジレンマ、両刀論法
distoma ジストマ
bicycle 自転車、二輪車
bilingual 二ヶ国語を自由に話す
(monolingual, multilingual, trilingual)
[3] tri
triangle 三角形
triarchy 三頭政治
triathlon トライアスロン(遠泳、自転車、マラソンの3種目を連続して行う競技)
triceratops トリケラトプス(角が3本の白亜紀後期の恐竜)
tricolor 三色の、三色旗、the Tricolor:フランス国旗
tricycle 三輪車
trident [ギリシャ・ローマ神話]三つ又の矛(海神Poseidon, Neptune の標章)
trigon 三角形
trillion 百万の3乗
trilobite 三葉虫(最近トリロバイトという掃除ロボットが登場した)
trilogy (劇・小説・オペラなどの)三部作
trinity 三位一体(神・キリスト・精霊)
trio トリオ(三重奏、三重唱)三つ組み、3人組、三つ揃い
triple 3重の、3倍の
tripod (カメラなどの)三脚
tritium トリチウム(三重水素)
[4] tetra
tetragon 四角形
tetrahedron 四面体
tetrapod 四足獣、(4脚の)波消しブロック
テトラパック 牛乳の容器
tetrarchy 四頭政治
[5] penta
pentagon 五角形、米国国防総省(建物の外郭が五角形)
pentagram 五角の星型(☆形、魔除)
Pentateuch モーセの五書(旧約聖書の初めの5巻。Genesis(創世記), Exodus(出エジプト記), Leviticus(レビ記), Numbers(民数記), Deuteronomy(申命記))
pentathlon 五種競技、近代五種(馬術、フェンシング、ピストル射撃、水泳、クロスカントリー)
pentarchy 五国連合
[6] hexa(sex)
hexagon 六角形
hexagram 六角形の星型、かごめ模様(二つの正三角形を組み合わせた図形。「ダビデの星」としてユダヤ教のシンボル)
hexahedron 六面体
hexapod 六脚類、昆虫
sextuple 6重の、6倍の、6拍子の
sextet 6重奏楽団
sextant 六分儀
[7] hepta
heptagon 七角形
heptahedron 七面体
hepatarchy 七頭政治。英国の七王国(5~9世紀頃にあった七つの王国)
[8] octa
octagon 八角形
octahedron 八面体
octant 八分儀
octave オクターブ、8度音程、第8音
octet 八重奏楽団
October 十月(ラテン語で「8番目の月」の意。)(JulyはJulius Caesarから。AugustはAugusutusから。元来「8月」はOctoberであった。)
octogenarian 80歳代の人
octopus 蛸
octosyllable 8音節の語(詩)
[9] nona
nonagenarian 90歳代の人
nonagon 九角形
[10] deca
decade 10年間
decagon 十角形
decahedron 十面体
decalogue the Decalogue:モーセの十戒(the Ten Commandments)
decapod 十脚類(イカなど)
decathlon 十種競技
Decameron デカメロン。ボッカチョの物語文学。題名は「十日物語」の意。1353年作。10人が10日間、毎日それぞれ1話ずつ語って聞かせる。。
[いち] uni:「単一」の意。ラテン語の「ひとつ」の意から。
unicorn 一角獣(額に一本のねじれた角を持ち、雄鹿の脚とらいおんの尾をもつ伝説上の動物)。
unify 一つにする、統一する
uniform 同形の、そろいの、一様な、均一の、制服
unique 唯一の
unison 調和、和合、一致、斉唱、ユニゾン
unit 単一体、一個、一人、一団
[少] oligo
oligomer 単量体が数個から十個程度つながったもの
オリゴ糖 単糖が数個から十個程度つながった糖類(少糖)
オリゴペプチド アミノ酸が数個程度つながったもの
[多] poly
polygon 多角形
polyhedron 多面体
polymer 重合体、ポリマー
ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどはそれぞれエチレンのポリマー、塩化ビニルのポリマー、スチレンのポリマーである。
たんぱく質はアミノ酸のポリマー、デンプンやセルロースはグルコースのポリマー(多糖)である。
↑ここまで