理科おじさん

2018年2月22日 (木)

「℃のC」

NHK・Eテレ「0655」で2017年12月に流れた歌です「℃のC」。
1219_1c1
こういう温度計も減ったかな。
1219_1c2
セルシウスの「C」であることは知られていると思います
1219_1c3
ちょっとGoogle風かな
1219_1c3_1
水の氷点を「0」とし
1219_1c3_2
水の沸点を「100」として
1219_1c4
その間を100等分する
ここまではよく知られていると思います
1219_1c5
でも、初めは逆向きだったというのは知られていないかも
何故でしょう?
当時、氷点下の温度が存在するということは知られていたと思います。
そうすると、氷点を0にすると、氷点下の温度は「負の数」「マイナスの数」で表されることになります。
このことへの抵抗感が強かったのではないでしょうか。
現代でも、中学校でかな、負の数が登場するとつまづく生徒も多いとか。
ある点を基準として「どっち側」「どっち向き」というふうに捉えればいいんですけど。
正の数は個数などに自然に対応できるのに、マイナス3ってなんだ?そんな個数はないぞ、と混乱する。
歴史的な発展の中でもやはり「負の数」というものには抵抗感があったのです。
で、負の温度を避けようと、沸点から氷点へ向けた目盛りを考えたのでしょうね。
水の沸点より高い温度は日常的にはあまり測定対象でもなかったのでしょう。
1220_3c1
この画面に出ている人名は、検索でもして調べてください。説明は省略。
1220_3c2
「温かさと冷たさという」(ここに出ている人名も、よく調べたなぁ、という人名。説明は省略。)
1220_3c3
「感覚的なことを 数字として手に入れた」
これはよい指摘ですね。「数値」といったほうがよりよいのですが、ま、いいです。

★ちょっと注意すべき点があります。
セルシウスがやったのは、2つの温度定点を定めて、その間を分割し、目盛りをつくって「温度を測定」できるようにしたことです。
ここで注意すべき点というのは。細いガラス管の中を、温かい冷たいということによって液体が移動し、温度の様子を見る道具が既にあったということです。この点を忘れてはいけないでしょう。

↓かつての私のHPから引用

2005.11.10 理科おじさんの自由研究9:「ガリレオ温度計」について考える。
 温度計の発明者が誰なのかは、はっきりはわかりません。1600年ごろに発明されたのは多分確かでしょう。ガリレオも温度計の発明者として名を挙げられる一人ではあります。ただ、当時の文献の挿絵では、原理的に下図のような温度計しか出てきません。
0212thermoscope1
 上のガラス球内部の空気が気温によって膨張したり収縮すると、それによってガラス管内の水面の高さが変わる、ということで温度の変化を検出するものです。

”A History of the Thermometer and Its Uses In Meteorology” W. E. Knowles Middleton,  The Johns Hopkins Press, 1966
という本によると、下の図が、初めて出版物に現れた「Thermoscope」だそうです。Thermometer とは言っていませんね。温度の様子がわかる道具ですが、目盛りをつけて温度を測る道具ではないからです。1617年のGiuseppe Biancani の「Sphaera mundi」という本に載っているそうです。
0212thermoscope2

 イタリアのサントリオ・サントロ(Santorio Santorre)というお医者さんは、これを体温計にして、上のガラス球を口にくわえられる大きさにして、体温を測ったということです。1630年頃のことと思われます。
0212thermoscope3

Thermoscope」がすでにあってこその「Thermometer」であることは大事なことです。
温度変化が見える Thermoscope 上に2定点を定め、その間に目盛りを打つことによって測定器 Thermometer になるわけですね。

thermometer
►n 温度計;体温計 (=clinical thermometer).
[F or L (-meter)]
リーダーズ英和辞典第3版より引用

-meter
►n comb form 「…計(器)」「…メートル」「…歩格」:barometer, gasometer; kilometer; pentameter.
[Gk metron measure]
リーダーズ英和辞典第3版より引用

meter|metre
・・・
[OE and OF<L<Gk metron measure]
リーダーズ英和辞典第3版より引用

thermoscope
►n サーモスコープ,温度見(み)《温度変化による気体などの体積変化を利用した初期の温度計》.
リーダーズ英和辞典第3版より引用

-scope
►n comb form 「…見る器械」「…鏡」「…検器[示器]」:telescope, stethoscope.
[L (Gk skopeō to look at)]
リーダーズ英和辞典第3版より引用

「microscope」も「見る器械」ですね。


「セ氏温度」は「摂氏温度」で、セルシウスの名に中国で「摂爾修斯」の字をあてた事からきています。
「カ氏温度」は「華氏温度」で、ファーレンハイトの名にに中国で「華倫海」の字をあてた事からきています。
実は「列氏温度」というのがあるのですが、ご存知でしょうか。

れっしおんど【列氏温度】
水の氷点を0度、沸点を80度とした温度目盛。フランスの物理学者レオミュール(R. A. Ferchault de Raumur1683~1757)が1730年に創始。現在では使われていない。
広辞苑第六版より引用

・こういう温度目盛りです。なぜ水の沸点を80度にしたのかは知りません。
・セ氏温度が水の氷点を0に水の沸点を100にしたのは冒頭の歌の通りですが。
・カ氏温度は?今では通常、セ氏に対応して水の氷点を32度に沸点を212度にしたと説明されますが。
もともとの話は、どうやら
 ファーレンハイトの時代の寒剤(氷と塩化アンモニウム、とか、氷と塩化ナトリウム)で得られる最低温度を0にして、やはりマイナスの温度を避けたのではないか。通常の体温(血液温)あたりを100にしたのではないか、とも聞いています。(別記事を書きます)

ま、いろいろあります。日本での日常生活ではセ氏(℃)で十分ですが、アメリカに留学などする方はカ氏(℉)が普通に使われますのでご注意を。
換算式は↓です。
F=(9/5)C+32

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%BC%E5%BA%A6
レーマー度
{いろいろな温度スケールの話も出ています}

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%BA%A6
レオミュール度

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%82%B9%E5%BA%A6
セ氏

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E6%B0%8F
カ氏

2018年2月20日 (火)

チタンホワイト

時に「出会い」は重なるものです。
「化学」という雑誌の最新号が届いたので、ぱらぱらと内容を見たら、酸化チタンの話が掲載されていました。白色顔料としての利用の他に、光触媒活性というのもありましたっけね。忘れていました。
酸化チタンの白色顔料を練り込んだ塗膜が光に当たっていると劣化して粉になってしまうという現象がありました。これが光触媒活性の発見の、前段の出来事です。酸化チタンが光を受けて、塗料の油性被膜を酸化してしまうので、ぼろぼろになるのでした。そして「本多ー藤嶋効果」に至る。

色彩の美と科学「チタンホワイト」田中陵二 化学 Vol.73 No.3(2018)

 酸化チタンの白の利用は、白色顔料として塗料・インキ、プラスチックへの分散体、製紙用コート材、食品や化粧品など、きわめて幅広い、・・・修正液も酸化チタン無しにはありえなかったし、白色の漆塗装も酸化チタンの出現によりようやく実現可能になった。・・・パブロ・ピカソの用いた白は、酸化チタンによるものが多い。・・・
・・・
1972年に、東大の藤嶋および本多が、酸化チタンに白金電極存在下で光を当てると、水を酸素と水素に分解する現象(本多ー藤嶋効果)を報告すると、酸化チタンの特異な光触媒活性を利用した光機能性材料としての用途が急激に展開した。酸化チタン、特にアナターゼは・・・光の作用で電子励起し、水すら分解してしまう。これを利用し、大気の浄化、脱臭装置、セルフクリーニング作用を利用した表面コート材、色素増感太陽電池などへの利用がめざましい。(後略)

これからも目の離せない物質です。

酸化チタンの性質

前の記事で、チタンとその酸化膜のお話をしました。
普通に「酸化チタン」というと「二酸化チタン」(公式には「酸化チタン(Ⅳ)」)です。SiO2 ですね。
で、その二酸化チタンの中には、結晶構造の異なるものが3種類ありまして。
   鋭錐石(anatase)、金紅石(rutile、ルチル)、板チタン石(brookite)
これからお話をするのは金紅石(rutile、ルチル)です。
0121_13tio2_1 1.21
きれいでしょ。
0121_13tio2_2
通称「チタニア・ダイヤ」と呼ばれます。ブリリアントカット、なのかな。

★文系3年生の選択化学で「生活化学」をやっていた時のこと。
 色・色素・顔料などの一連の授業を構築しました。「白・黒・そして色」というようなタイトルをつけて授業を展開しました。
水彩絵の具は「色素」が多いですね。
油絵の具は油(液体)に「顔料(固体)」を練りこんだものです。
白い油絵具は、油に何を練りこんであるのでしょう?
白色顔料としては炭酸カルシウム(胡粉)や酸化亜鉛(亜鉛華、亜鉛白)、塩基性炭酸鉛(鉛白、胡粉)などが知られていますが、鉛は有毒なので授業からは除外。
胡粉は貝殻を焼いて作ったりしますが、日本画ならいいとして、油絵具として油に練りこむと「白く」なくなってしまうんです。半透明のような感じ。で、油絵具で白といえば、普通は亜鉛華でしたね、ジンク・ホワイト(zinc white)です。
その「差」はなんなのでしょう?

結晶の屈折率なのです。

液体に固体粉末を練りこむ場合、双方の屈折率が近いと粉末表面での反射率が下がってしまい、顔料としての性能が低くなるのです。ですから、顔料としては、なるべく屈折率の大きな物質を使うのが望ましい。
屈折率について 胡粉<亜鉛華 ですので、油に練りこむには胡粉より亜鉛華の方がいい。

・実験:
ガラスを乳鉢で粉末にします→白い粉ができる、
そのガラス粉末を試験管に取り水を注ぐ→白さが消えて、ほとんど透明になってしまう。
ガラスの屈折率は大雑把に1.5程度。水の屈折率は1.33くらい。
屈折率が近いので、ガラス粉末は水中では反射率が低くほとんど透明になるのです。
(スリガラスのスリ面にセロテープをはったり、水で濡らしたりすると半透明になりますね。あれも同じ。)
(白砂糖が白いのは、透明な結晶を粉末にしたからです。決して「漂白剤」で白くしたものではありません。そんな風説を流した人がいて、砂糖メーカーは大困惑だったようですよ。三温糖の薄い色はカラメルの色です。何度も熱しているうちにカラメルの色が薄っすらついただけ。味気ない言葉で表現すれば「ちょっと焦げた」というようなものです。)

・演示実験:
太い試験管に水を入れその上にベンゼンを入れます。2層になります。その試験管にゴム栓をするのですが、穴を開けて太めのガラス棒を通して、試験管の底付近まで届くくらいにしておきます。
さて、これを持って机間を歩きます。
下の水層ではガラス棒がなんとか見えますが、上のベンゼン層ではガラス棒が「消滅」したような感じ。ガラスとベンゼンの屈折率が近いせいです。
さらにひとこと。水もベンゼンもガラス棒も「無色透明」なのに「どうして見えるんだ?」
屈折率のかわる部分で境界を見分けられるんですね。

・経験:
買い物をしたときの白いレジ袋。ポリエチレンに白色顔料が練りこんであるのですが、何でしょう?
以前は半透明な袋でした。で「買い物のプライバシー」というような言葉で、白い非常に不透明なポリ袋が宣伝されるようになりました。亜鉛華かな?いえ、違うんです。
ポリエチレンに練りこまれているのは二酸化チタンの粉末なのです。

実は二酸化チタン・ルチルの屈折率は非常に大きい。

ルチル 2.62
ダイヤモンド 2.42
あられ石(炭酸カルシウム) 1.69
ポリスチレン 1.59
ベンゼン 1.50
ガラス 1.46
水 1.33
氷 1.31

なんと、ルチルはダイヤモンドよりも屈折率が大きいのです。
ですから、ルチル粉末は、水でも油でも、ポリエチレンでも漆でも、ほとんどオールマイティの白色顔料になるのですね。
油絵具としては「チタニウム・ホワイト」とかがあるはず。白さが際立つ。
ポリ袋に練り込めば、不透明になる。
化粧品に使うと、地肌を覆い隠す「隠ぺい力」が高い。紫外線をほとんど反射する。
漆製品で白があったら、それはルチル顔料。
{つぶやき:人工ダイヤモンドの粉末を練りこんだ化粧品は当然のことながら地肌の隠ぺい力が強いはず。「ダイヤモンドでお肌を美しく!」とか宣伝したら売れないかな。}
というわけです。
そこで、また、柄にもなく化粧品コーナーへ行ってルチルが使われていそうな安い化粧品を買いましたね。不審な中年男性だったかも。

さらに、ルチルの結晶はチタニアダイヤといって、ダイヤモンドフェイクとして使われていると聞き込みました。
ダイヤモンドの指輪とか買ったけど、日常に身につけるのは怖い、なくしたりぶつけたりしたら大変。(ダイヤモンドは硬いですが、もろいですから、強くぶつけると割れますよ、ご注意ください。)
で、普段はフェイクの方を使って、いざという時に本物を使うということなんですね。
で、宝石店へ行きましたよ。ルチルの結晶ください、と。
そうしたら、ルチルだけをお売りするわけにはいかない、悪用されるとまずいので、と断られてしまいました。仕方ない。
この話を授業でしたんですね。そうしたら、前に金箔と洋金箔の違いを教えてくださった生徒のお父さんが、先生なら信用できる、とルチルの結晶、ブリリアントカットしたもの、を商売抜きで譲ってくださったのです。
それが冒頭の写真。
屈折率の高い結晶ほど輝きも強い。ですからこの写真の結晶、ダイヤモンドより輝いているかもしれません。
惜しむらくはルチルの結晶はほんのわずかに黄色味を帯びている。プロなら見破るかも。素人は騙されるかも。
硬度もダイヤモンドの方が高い。素人はそんなことわからない。
というわけで、チタニアダイヤだけを「購入する」ことはできなかったのでしたが、またしても、生徒の親御さんに授業を助けていただいたのでした。

★透明な物体の表面に空気中で光が垂直に入射したときの反射率をグラフ化しました。
0212hansharitu
屈折率はダイヤモンドが2.4、ルチルが2.6。反射率を読み取ってください。
水は1.3ですから反射率が低い。

0212sotaikusseturitu
グラフを描くのに使ったのは上の式です。細かいことを言うと煩雑になりますので、ざっくりとこんなもんだとご了解ください。
下の式は「媒質ⅡのⅠに対する屈折率」の式です。
相対屈折率ですね。
水の屈折率1.3、ベンゼン1.5、ガラス1.5とすると
水(Ⅱ)のガラス(Ⅰ)に対する屈折率は約1.2
ベンゼン(Ⅱ)のガラス(Ⅰ)に対する屈折率は約1.0ですね。
ベンゼン中のガラスは、ほとんど表面からの反射光がない、ということですね。
水中のガラスは、空気中よりも反射光が減り見づらくなるわけです。

余談:透明人間が実在するとして、その透明人間の視覚について論ぜよ。
無色透明で境界面からの反射がないとすれば、透明人間を構成する物質は空気と同じ屈折率である。そんな物質で生命体を構成するのは無理だろう。百歩譲って、透明人間が存在しえたとして、もし視覚があるならそこで光の屈折・吸収が起きるので、屈折の界面が外から識別できるだろうし、光が吸収されればそこは黒く見えるはずだ。完璧な透明人間には少なくとも可視光による視覚はないと考えられる。

チタンのフライパン

0119_1titan1 2018.1.19
 これ、チタン製のフライパンです。刻印してありますね。
以前、蒲田に道具屋さんがありまして、面白いので時々覗いていたのです。
私、元化学教師ですから、面白い素材があると、つい「あ、これは教材になる」と思ってしまう。そんな「教師眼」がいまだに抜けないんです。
 チタンというのは非常に面白い素材で、現役時代ずいぶん教材として活用した金属です。
フライパンを手に取って見ていたら、店の人に、軽いでしょ、錆びないし、一生もんですよ、といわれて心が動き、買ってきたものです。ま、それなりに値は張りましたが。(もう現役じゃなかったのにね。)

 さて、このフライパン、未使用の時は銀灰色の金属だったのですが、使っているうちに、冒頭の写真のように虹色の部分ができてきました。炎が強く当たる部分です。
近づくと
0119_1titan2
きれいでしょ。虹色、ですね。
こういう色を見たら、光の干渉による「構造色」と思ってください。
シャボン玉は薄い膜。表面と裏面での反射光が「干渉」して、膜の厚みに応じた特定の色が残って見える。
膜の厚みの変化が、色の変化として見えるわけです。
このフライパンの場合、金属のチタンの表面が高温に焼かれて酸化し、薄い酸化膜が生じたのです。
その酸化膜の厚みの違いが、色の違いとして現れているのです。{現役だったら、このフライパンを持って授業やってたかも}
 同じような現象は、銅の板の新鮮な表面を焼くときにも見られます。
銅板の表面に、虹色のゾーンが動いていくのはなかなか美しいものです。
酸化銅の膜というと光を通さないような気がしますが、酸化銅(Ⅰ)の薄膜はこういう構造色を見せてくれます。

★さて、チタンですが。
密度で見ると
Al  2.7
Ti  4.5
Fe  7.9
Cu  9.0

アルミニウムには及びませんが、密度の小さな金属です。
フライパンとしての重さはどうなのか、とキッチンスケールにのせてみたら。

T-falのフッ素樹脂コーティングのフライパン:700g
Titanのフライパン:550g
(どちらも直径約27cmです。チタンのフライパンはかなり深いです。)

柄を持ったときに、かなり軽い、という感じがします。
フッ素樹脂コーティングを施してありませんので、焦げることもありますが、チタンはとても硬い金属なので、ステンレスの切子タワシでこすり落としても大丈夫。洗いやすくっていいですね。
調理用具としては優れモノです。

ただ、チタンは精錬がやっかいで塩化チタンを金属のマグネシウムで還元する、という方法。
当然、高くつきます。
融点で見ると
Al 660
Ti 1668
Fe 1538
Cu 1085

融点が高いのです。精錬・加工がやりにくい。
で、以前は、値段のことをあまり考えない軍事用として使われたりしていたと聞きます。
それが、だんだん実用的な価格に近づきまして、日常生活にも入ってきました。
0119_1titan3
これ、チタンの印鑑。
大同特殊鋼が初めてチタンの印鑑を出した時は高価でね、一教員が手を出すのはためらわれた。
それが、山梨県の印鑑業者がどのくらい需要があるかの市場調査を兼ねてでしょうね、1万円を切る値段で出したんです。
チャンス、と買ったのがこれ。その後の販売はもう少し高い値段だったと思いますが。
他の印材と比較するとやはり金属ですから持ち重りがする。役所などで受付の人に渡して押印してもらうときなど、手渡すと必ず「オッ」という顔をする。「チタンなんですよぉ、元化学教師なもんで」とちょっぴり鼻が高い。
0119_1titan4
眼鏡のフレームです。ALL TITANですね。
0119_1titan5
こちらもメガネなんですが、F-TITANというのは多分、フレームだけがチタンなのかな、と思っています。

★この他、日常で使えるものとしては、チタンフレームの自転車がありますね。軽くて丈夫、ですが、ちょっとお値段が張ります。

★意外なところで、人工骨、人工股関節などにも使われるようになったようですね。生体組織との親和性が高いのだそうです。

★また軽くてさびにくいという性質から、寺社の屋根瓦に使われるようになりました。ちょっと高いようですが。軽いということは非常に有利。災害対策としても有効でしょう。
東京に住むものとしては、浅草寺でいくつかの建物の屋根がチタン瓦で葺き替えられたと記憶しています。

★話が戻りますが、酸化チタンの薄膜による構造色、というのがアクセサリーなどにも利用されています。
冒頭の写真のフライパンは熱で酸化して発色しましたが、熱による酸化での発色はコントロールが難しい。
チタンの棒や板の端を加熱すると、熱伝導によって、加熱端から膜が生成していって色のグラデーションが生まれるようですが、なかなかね、思い通りにはいかない。
そこで登場するのが「陽極酸化」という技術。
チタンを電気分解の陽極として使うのです。電解液などの詳しいことは知りません。
ただ、陽極に用いられたチタンは電子を失います。電子を失うこと=酸化ですので、チタンが酸化されます。この時酸化膜を生成しやすい電解液を使えば、酸化チタンの薄膜を、つけるべき位置や厚みなど、かなり自由にコントロールできるはずです。
この方法で、指輪やアクセサリーなどを発色させたものが販売されているようです。色もちもいいのではないかな。
一時、チタンのネクタイピンをこの方法で発色させたものが発売されたと聞いて、柄にもなく装身具の店に行きましたが、見つからずあきらめたことがあります。

★「チタン酸化膜 アクセサリー」で画像検索してみてください。カラフルな写真が見られると思います。

↓参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%BF%E3%83%B3

http://officemiyajima.com/index.php?QBlog-20130812-1&mode=archives&date=201308

    チタンは、このような性質を持った金属です。
    鉄に比べて軽い(比重4.5)
    銀色の金属光沢をもつ
    酸化膜の厚さで色を変えることができる
    非常に硬い
    ある特定の領域で加工が容易になるが、それ以外では加工しづらい
    身体親和性が非常に良い

    比重は4.5で鉄の55%程度です。

    チタンの表面に形成される酸化膜の厚さを変えることでチタンの色を変えることができます。
    陽極酸化処理によって色が変わる
    これを使って色を付けたチタンの置物が新潟県三条市の市民センターにあります。
    ただし、非常に硬いため加工が難しいです。しかし、ある特定の方向で滑りやすいという性質を持つので、その方向から加工すると小さな力で容易に加工することができます。
    最後に、身体親和性が非常に良いため、人工骨やメガネフレームといった「体と関係ある」部品に使用されています。中実材ではなく多孔質材にすると人間の骨により近い性質になり、非常によく人体になじみます。

http://ww32.tiki.ne.jp/~megaryo/yakiire/kenma4.htm
チタン酸化膜の実験

http://www.kyocera.co.jp/prdct/medical/technical/material/index.html

金属技術整形外科分野
 京セラは、1986年よりチタン材料の医療分野への応用に関する研究を開始し、それを支える熱処理技術の研究を行ってきました。その中から、整形外科用インプラントに適した新しいチタン合金を選び出し、臨床応用を目指して開発を続けてきました。その結果、生体適合性と強度に優れたバナジウムフリーチタン合金の開発に成功し、人工股関節ステムとして製品化しました。その後、2002年には、この京セラが開発したバナジウムフリーチタン合金が医療用チタン合金としてJISに制定され、さらに、2007年10月にはTi-15Mo-5Zr-3Al合金が国際規格ISO 5832‐14:2007※として採用されました。

https://www.asahi.com/articles/ASK6F4QTVK6FULFA00Z.html
チタンの瓦に注目、浅草寺にも 高価でも維持管理費安く(朝日新聞デジタル 2017年6月15日16時34分)

 チタン製の瓦(左)と粘土製の瓦(右)。チタン製は約100グラムだが、粘土製は約2.5~3キロ。粘土製は雨を防ぐために重ねあわせて取り付けられているが、チタン製はその必要が少ないため、小さいサイズで済む=東京都台東区の浅草寺

 丈夫で軽い金属のチタンが、寺社の「屋根瓦」として注目されている。地震など災害時の安全性が高いことから、東京・浅草寺は昨年5月からの改修工事にあわせ、五重塔の約5万7千枚の瓦をチタンに取りかえた。従来のアルミ製の瓦に比べ、チタン製を使うと単純計算で倍近く高い。しかしチタンはさびないため、維持管理費のコスト削減につながるという。
 浅草寺では本堂、宝蔵門に次いで3棟目の採用となる。守山雄順執事長は13日の記者会見で「金額は相当高いが、安全性などを考えてチタンに決めた」と話した。チタンは新日鉄住金製。施工業者のカナメ(宇都宮市)によると、これまで施工した寺社約4千件のうち約110件でチタン瓦が使われているという。
 チタンは航空機や発電所の施設などでの利用が主だったが、新日鉄住金は寺社や灯台などへ利用を広げようとしている。

2018年2月 8日 (木)

積雪

0126sekisetu 2018.1.26
東京で大雪が降ったのは22日。
翌23日から26日にかけての、東京の雪の融け具合です。

↓ここにアメダスでの測定の内容があります。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/amedas/kaisetsu.html
アメダスの概要

↓東京・北の丸公園の設備の解説
https://www.env.go.jp/garden/kokyogaien/news/2015/08/post_82.html
2015年08月07日 東京・北の丸公園露場(ろじょう)のご紹介

・・・
写真左上:積雪計(レーザー光を発射して積もった雪の深さを測ります)
写真左下:感雨器(上部のセンサーに雨や雪が付くと電気が流れ、雨や雪が降っていることが分かります)
写真右上:温度計・湿度計(通風筒内に電気式温度計、電気式湿度計が入っています)
写真右下:雨量計(降雨時に中のますがシーソーのように交互に動きその回数で降水量を測ります)
・・・

積雪は、レーザー光による測距ですね。超音波による測定器もあるはずですが。
気象庁のサイトで過去の気象データを見ると、冒頭のグラフの元データもあります。
で、完全に消えたのはいつなのかな、と調べてみました。グラフにしてもさして面白いものでもなし、表でお目にかけます。
0122ooyuki
1月22日の14時から積雪が観測され始めました。
1月29日の15時まで残っていて、16時以降は消えたようです。ずいぶん時間がかかりましたね。1週間かかりました。
ごくあったりまえのことですが、いくら雪が積もっても「雪掻き」をせず、ひたすら積もったままの雪の表面を測定しているわけです。

ちょっとあいまいな記憶ですが。アメダス観測が始まってまだそう普及していない頃。
送られてきた積雪計のデータが、突如異常に高い値を示し始めた。びっくりした職員が何事かと駆け付けると、多分子どもが、積雪計の下に雪だるまを作ってしまった、というお話。
アメダス機器の設置場所には簡単には入り込めないように、改良したとか聞きましたが。

★雪の後、東西に走る道路では、北側の路側が先に融け、南側が長く融け残ります。
一瞬、戸惑いませんか?当たり前のことなんですけど。

2018年2月 7日 (水)

水素の日

↓こんな記事がありました。

2018年02月02日 朝日新聞 東京
水素の活用、都が普及へ後押し 客船建造、新年度予算案に補助費 /東京都
 都が今年から2月1日を「東京水素の日」とし、同日、協力企業などと共に水素活用をPRする講演会を開いた。「脱炭素社会」のエネルギーとして水素の活用に力を入れ始めており、2018年度予算案には水素で動く客船建造の補助費を計上。20年五輪・パラリンピックにあわせた運航が目標だ。
 ・・・
 ・・・「水素の日」は水素の分子量(2・01)にちなんだ。

なんだかなぁ。東京都のHPも見てきました。
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/12/20/05.html

東京水素の日 記念イベント
水素エネルギー推進セミナー「水素が動かす、東京の未来」を開催します
 東京都では、水素エネルギーの普及に向け、官民一体によるムーブメントを醸成すべく、民間企業や都内自治体等と共に「Tokyoスイソ推進チーム」を発足いたしました。本チームでは、2月1日を「東京水素の日※」とし、この日に水素エネルギーについて連携してPRを行うこととしています。
 そこで、水素エネルギーの持つ意義や特性、安全性などに係る情報や事業者等の先進事例を紹介するため、水素エネルギー推進セミナー「水素が動かす、東京の未来」をチームとして連携して開催いたします。
 都民の皆様に水素エネルギーを活用する未来が近づいていることを知っていただき、普及のきっかけとしていきたいと考えておりますので、ぜひ、ご参加ください。

※「東京水素の日」は、水素の分子量である2.01に由来しています。
また、セミナータイトル「水素が動かす、東京の未来」は、Tokyoスイソ推進チームの水素推進宣言です。

http://www.chemistry.or.jp/international/atomictable2012.pdf
日本化学会 原子量表(2012)

1 水素 H[1.00784;1.00811] m
m :不詳な,あるいは不適切な同位体分別を受けたために同位体組成が変動した物質が市販品中に見いだされることがある。そのため,当該元素の原子量が表記の値とかなり異なることがある。

普通は水素の原子量は1.008と覚えている人が多い。でも、通常は有効数字3桁で十分なんですよね。そうすると不確定さを勘案しても

水素分子 H2 の分子量は「2.02」

とするのが、普通だよなぁ。
水素の分子量が「2.01」だなんて、教育的じゃないよなぁ。
東京都の高校生が、この発表を読んで「そうか水素の分子量は2.01なんだ」と思って入試問題を解いたらどうします?
誤答にされても「だって東京都が公式に水素の分子量は2.01だ、って発表してるじゃん」と主張されたらどうします?
普通の高校化学での計算は有効数字3桁です。あるいは問題文に「計算は有効数字3桁で行え」と書いてあるかも。4桁を要求することはまずないはずです。

水素の分子量は、「2.02」ですよ。

私はとっても気分ワリィ。

2018年2月 6日 (火)

金箔

★前の記事の引用部に「金閣寺の金箔の張り直しの際に、金箔ブームが起こって、金箔で包んだおにぎりとか、金ぱく入りのお酒や飴など・・・」とありましたがいつだったのか、調べてみました。
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000004492

質問:金閣寺の金箔はどのくらいの量が使われているのか。
回答:金閣寺の金箔張り替えは1986年2月から始まり、1987年9月10日に完成した。
10.8センチ四方の金箔約20万枚(約20キロの金)を使用。
張り替え前の10倍の量で、金箔の厚さは5倍でそれを二重に貼った。総工費は7億4千万円。
回答プロセス:
朝日新聞戦後50年見出しデータベースCD-ROMで検索。
金閣寺の金箔張り替えの記事を特定する。
1987年9月11日、11月2日
1988年4月30日、10月30日
これらの記事を朝日新聞縮刷版で確認した。

でもって、わたくし、実はまだ持ってるんですよ、金箔入りの飴。でお目にかけます。古い飴ですが、密封してありますのでカビたリはしていません。
0202_2kin1
これが金箔入りの飴です。
ちょうど京都へ行く、という人がいたので、金箔入りの飴をリクエストして買ってきてもらったものです。
0202_2kin2
「祇園小石」という店の商品です。現在も「むらさき抄」という商品は販売されているようですよ。

★現在も食用金箔は販売されていますが、金箔はなにせ薄い。
1cm^3の金から、約10平方メートルの金箔をつくることができるといいます。
金属の展性・延性の話をするときによく引き合いに出します。そうすると厚みは約1万分の1mmです。
扱いにくいものなのです。
で、食用金箔は、プルランというグルコースの多糖からなる食用膜に金箔を貼ったものが利用されます。
水溶性のコントロールのために、微量のコーティングが施してあるとかいう話ですが、省略。

金箔づくりは、和紙の間に金の粒を挟み、積み重ねたものを、昔は手で、今は機械で叩いて金を伸ばしていくという作業です。この時の和紙は極めて丈夫なもので、化粧用のあぶらとり紙にも使われています。
↓参考
http://www.hiyori.jp/pc/03_kinpaku/index.html
金箔打紙製法が解説されています。

0202_2kin4
これが「金沢純金箔」です。一枚の大きな箔ではなく、細かくなっています。絵画・工芸などに使うのでしょう。
0204_1kinpaku1
生徒に見せる教材です。
左は画材店で買った「純金箔」。お金のことをいうのもなんですが
10枚で、3700円でした。
右は同じ店で買った「洋金箔」。
100枚で3450円でした。
桁が違いますね。
0204_1kinpaku2_2
無色透明な下敷きの間に挟んで縁をセロテープで封をしたものです。
うっかり作業を始めたら、一枚、完全に失敗しました。これほどに扱いにくいものとは知らなかった。
0202_2kin3
もったいないから、くしゃくしゃになったのを、時計皿2枚の間に入れて封をしたのがこれ。
で、空気の全く動かない小部屋に閉じこもって、体の静電気を全部逃がして、そ~~~っと作りましたっけ。

さて、「洋金箔」ってなんだ?
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-59d4.html
2009年10月15日 (木) 金箔

色や輝きは純金箔と同じ。当時はインターネットなんて存在しない時代。検索もありはしない。「洋金箔」とはなんだろう?と分からなかったのです。
で、授業に、金箔と一緒に持っていって、今のところどういうものか分からないんだが、洋金箔というものもあったよ、で、こいつは光がほとんど透けないし青くはならないんだ、と話しました。
そうしたら、お父さんが貴金属宝飾店を経営なさっているというお嬢さんがいましてね、答えを聞いてきてくれたのです。
洋金箔とは真鍮の箔です。
純金箔よりずっと丈夫なので、装飾品に貼って金箔のように見せたり、あるいは、絵や工芸品に金箔を貼る際の下地に使うと丈夫になる、ということでした。

生徒やそのご家族にも授業を支えていただきました。
このころ広島原爆ドームの第2回の保存工事の募金運動があったのです。で、手作りの紙製募金箱を授業に持っていったり、化学準備室に置いておいて、集まったお金を「○○と授業仲間たち」という名前で贈りましたっけね。後で募金者名簿が送られてきたときに、校長をつかまえて「どうです、いいでしょ。校長なんかになると現場を失ってしまってこんなことはできないでしょ」とうらやましがらせて笑ったものです。授業というものは生徒と一緒に作るものなのです。教室を離れた者を教師とはいいません。

★オマケ:金の粒
0202_2kin5
これ渋谷の東急ハンズで見つけた「砂金」です。
多摩川の上流でも採取できるそうですが、行ったことはありません。
人々の欲望をかきたてた、小さな粒々です。
0202_2kin6
たまたま譲り受けるチャンスがあって入手したもの。
5gです。9999というのは99.99%の純度という意味です。

2018年1月31日 (水)

夜光雲

0118_2yakouun1 2018.1.18
このごろTV画面を撮影することも多い。昼のニュース画面です。
イプシロンの打ち上げは朝6時6分でした。
0118_2yakouun2
きれいですね。
0118_2yakouun3
こういうことですが。
理科年表によりますと、鹿児島で1月21日の日の出が7時16分でした(18日ちょうどのデータはなくって直近で21日のデータをお示しします)
そうすると、打ち上げは日の出の1時間ちょっと前。
ですから、地上にいると夜明け前なのでまだ暗い「夜空」なのですが、ロケットは高高度へと昇って行きましたから、地上での地平線のはるか下にいる太陽に照らされたわけです。そういうことで背景が暗いところに輝く雲が発生して各地で観測されたわけです。

↓JAXAの解説が簡潔でわかりやすい。
http://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/11361.html
夜光雲~イプシロンロケット3号機打ち上げの軌跡
2018年1月18日(木)

2018年1月18日、午前6時6分に打ち上げられたイプシロンロケット3号機の軌跡が、夜光雲(やこううん)として全国各地で観測されました。
通常の雲は地上から高度13kmまでに発生しますが、夜光雲は、地上70~80Kmの高高度に発生し、過去の打ち上げ時にも観測されたことがあります。 日中に発生した場合は、周囲が明るいため観測が難しく、日の出、日没の前後が見えやすいようです。

マスコミの報道では、日の出前という条件についてきちんと言及したものは少なかったような気がします。

ダイラタンシー

0113_9dilatancy1 2018.1.13
NHK・Eテレ「2355」という番組での実験。
料理で片栗粉を扱っているとよく出くわす現象です。
0113_9dilatancy2
水と片栗粉を混ぜて、表面に水が浮かない程度の状態にします。
0113_9dilatancy3
指でかき混ぜると、抵抗はあるけれどかきまわせます。(ゆっくりした力には流動性を示す。)
0113_9dilatancy5
硬いものをおとすと、跳ね返ります。(急激に力がかかると、硬い個体のように振る舞います。)
0113_9dilatancy6
しばらくすると、落とした物体は沈んでいきます。
0113_9dilatancy4
こういう性質を示すものをダイラタント流体といい、現象そのものはダイラタンシーといいます。

台所で試してみてください。指で強く急激に押すと、指のまわりの水が引いたようになって硬くなるのがわかります。面白いですよ。
砂浜で、濡れた砂浜を歩くと、足の周囲が乾いたようになって固まるという経験はありませんか。

↓私が説明するより、Wikiを読んでいただいた方がいいな。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%BC
ダイラタンシー(英: dilatancy)

★逆に、通常、硬いと思っていたのが、振動を加えると流動性を示す、というのがチクソトロピーといいます↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%AD%E3%82%BD%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%94%E3%83%BC
チキソトロピー(英語:thixotropy)

地震の時の液状化現象の一部にも、この現象が寄与しているようです。
挽いたコーヒー豆をろ紙でドリップしてコーヒーを淹れる時、液面が下がって、平らな粉の面になった時に、ドリッパーを指で弾いてみてください。「液状化現象」が見られます。
昔のボールペンはインクに流動性があり、逆さまにしておくとインクが逆流したりしました。
現在のボールペンのインクはゲル状になっていて、普段は流動性がない。字を書き始めてボールがインクに力を加えるとインクが流動化してボールに付着し、字が書ける、という原理になっています。チクソトロピーですね。

コトバンクの解説↓
https://kotobank.jp/word/%E6%8F%BA%E5%A4%89%E6%80%A7-145852#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88

揺変性 ヨウヘンセイ
デジタル大辞泉の解説
ようへん‐せい〔エウヘン‐〕【揺変性】
⇒チキソトロピー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
岩石学辞典の解説
揺変性
チキソトロピーともいい,異常粘性の一種で,物体を静置している時は流動性をもたないが,揺らしたりかき混ぜたり振り混ぜたりするとゲルが流動性を示すゾルに変化し,これを放置しておくと再びゲルにもどる性質である.剪断応力の条件下では強さがなくなり,動きが止まるとゾルはもとのゲル状態にもどる.一般にコロイド粒子が形の異方性をもち,粒子間の結合力で互いにゆるく結合してゲルを形成しやすいような系で現れる.外力によってゲルの内部結合が一部または全部破壊されて流動性を増すが,放置しておくと再び粒子間の結合が再現される[Peterfi : 1927, Blatt, et al. : 1972, 長倉ほか : 1998].適量の水を含む粘土や水に飽和した砂などは同様の性質を示す.流砂あるいはクイックサンドといわれている現象である.実際の岩石でどの程度この現象が見られるかはわからない.ダイラタンシーの逆の現象である.ギリシャ語のthixisは触れるという行為,troposは回る,変化する(turn)の意味.⇒レオトロピー

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報
大辞林 第三版の解説
ようへんせい【揺変性】
静置状態では流動性をもたないゲルが、かきまぜたり、震盪しんとうさせたりすると流動性をもつゾルになり、これを静置すると再び元に戻る現象。実用上、塗装などで重要。チキソトロピー。チクソトロピー。シキソトロピー。

2018年1月24日 (水)

氷・霜柱

0113_1koori1 2018.1.13
地面の小さな池の水は、地温とほぼ同じ。意外と凍りにくいですね。
凍り始めの「種」から放射状に氷の筋が出る、という凍り方。
0113_1koori2
霜柱が発達してきました。

「『霜柱の研究』について」という中谷宇吉郎さんの文章を青空文庫で読めます。
http://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/53240_49760.html
是非ぜひ、お読みください。女子高校生の研究なんですよ。

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