理科おじさん

2017年6月29日 (木)

落雷

0605_8rakurai 2017.6.5
午後6時40分頃。TBSのニュース番組内の天気情報。
森田さんは私と年齢的に近いし、ベテランですからアバウトなんだけど大事なことはちゃんと言っているという話し方が好きで、大抵見ています。{最近、気象知識が不十分なんじゃない?という気象キャスターさんも多くてね、苛立たされるのはかなわない。}

時々、非常に面白い画像が紹介されます。
この日は、雷の画像。
縦の稲妻は「対地放電」です。雲と地面の間の放電ですね。。
画面で「午後6時20分ごろ」という字幕のあたりに、横に伸びる稲妻がありますが、これは雲の中での放電「雲放電」かな。
一望で約10本もの稲妻が写るというのはかなり珍しいですね。
縦の対地放電も一本に見えるけれど、複数の放電で構成されているはずです。
難しい撮影になりますが、カメラを横に高速で振りながら撮影すると、一本に見えた稲妻が時間的に分解されて、複数本だったことが写ることがあります。雲から探るように下りてくる稲妻。地面に到達した途端に地面から雲へ「帰還雷撃」が走り、その放電経路ではイオンが多いので、繰り返し雲から地面へ、地面から雲へという放電が起きることもあります。
雷が鳴ったら、そんなことも考えてみてください。

http://www.jps.or.jp/books/gakkaishi/2016/04/71-04mijika.pdf

帯電した積乱雲から開始する雷放電は,放電開始(Initiation),リーダ(Leader),帰還雷撃(Return Stroke),ダートリーダ(Dart Leader),後続雷撃(Subsequent Return Stroke)などの各過程から構成されている.これらは何れも短ギャップ放電には見られない形態である.放電の開始は,雲内の現象であり,直接光学観測によって見ることはできない.そのため,放電開始に関する研究は電磁界観測によってその多くは得られている.図2の典型的なその電磁界観測によれば,放電の開始には特徴的な比較的振幅の大きい両極性のパルス列が観測される.その後,ステップを踏みながら,約105 m/s程度で大地に向けて放電は進展する.これをステップトリーダ(Stepped Leader)と呼ぶ.地表面に達すると,強い発光を伴って,同じ経路を光速の3分の1程度の速度で地表から上空に放電が進展する.これを第一帰還雷撃(First Return Stroke)と呼ぶ.その時,平均30 kA程度の電流が流れる.その後,再び,同様な経路を,積乱雲からリーダに似た,しかし,速度が一桁ほど速い(107 m/s程度)ダートリーダと呼ばれる放電が下降し,地表面付近に達すると再び帰還雷撃に似た大電流が流れる.これを先ほどの第一帰還雷撃に対して,後続雷撃(Subsequent Return Stroke)と呼んでいる.こうした過程が何度も繰り返され,一つの雷放電が完結する.何回繰り返されるのか,その回数を多重度と呼ぶが,夏季の負極性落雷の場合,多重度4程度が平均値である.

2017年6月23日 (金)

身長と影が等しくなる日

★昨日下の記事で影の長さの話などしました↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-27d1.html
2017年6月22日 (木)「夏至の翌日」

ふと思い当たったのですが、身長と影の長さがほぼ等しくなる日というのもあるはずだよな。
これまで、夏至や冬至の影の長さ、最短と最長というような議論をしたことはあるのですが、「等しくなる日」というのを考察したことがなかったなぁ。うっかり者です。要するに、南中高度が45度になればいいわけです。
理科年表だと5日ごとのデータが表になっていますので、もう少し細かくしたい。

★で、さっそく、国立天文台のサイトで計算してみました↓
http://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/koyomix.cgi
国立天文台 > 暦計算室 > こよみの計算

東京での話です。
2017/ 2/24 南中時刻 11:54 南中高度 44.9度
2017/ 2/25        11:54        45.3
2017/10/17        11:26        45.1

というわけでした。2月はもう済んでいますが、10月17日はこれから来ます。
どうそこの日に、自分の影を見て、身長と同じなんだなぁ、と観察してください。
毎年、ほぼ同じころにこうなりますよ。

2017年6月22日 (木)

夏至の翌日

昨日6月21日は夏至でした。
東京はあいにくの雨、それもかなりの雨。
20170621uryo
計34mmくらい降ったようですね。風も強かった。橋を渡って川崎のプールへ行ったのですが、さすがに橋の上は吹きっさらしですごかった。
20170621tamagawa
多摩川の水位は普段より上がっているなあ、と思いながら橋を渡ったのですが、少し上がっていたようです。危険というほどではないけれど。

★さて、夏至の日に全く日がさしませんでしたので、今日23日昼12時半頃、夏至の翌日の「影の長さ」を写真に撮ってみました。
雲が多めでくっきりした影はできませんでしたし、南中時刻は11時43分くらいでしたから、1時間ほど南中時刻を過ぎて、高度は少し下がっていたかもしれません(予めの言い訳)
0622kage1 2017.6.22
私の影です。50cmくらいかな。
0622kage2
線路の柵の影です。縦の柱は120cmくらいです。
0622kage3
影の長さは35cm程度かな。

南中時刻に、細い棒を立てたら、どのくらいになるのか。
Nantyu
単純なことです。棒の長さを「1」としたら、影の長さはtanθの逆数になります。
以前に使った図をまた使います。
Kage
東京の緯度での計算です。
夏至の時で0.21ですか。
身長170cm×0.21=36cm
120cm×0,21=25cm

写真の影の長さは、計算値の約1.4倍くらいになってますね。

ハイ、事後の言い訳:夏至の翌日、南中時刻を1時間くらい過ぎているから「まあ、ごくおおよそ、合ってるんじゃない」

というわけでした。よかったら、今頃の自分の足元の影の写真を撮っておいて、冬至の頃にも同じような写真を撮って、比較してみてください。面白いと思いますよ。
あるいは、定時・定点で写真の撮りやすい場所・物体を決めて撮り続けるのもいいのではないでしょうか。
日時計というと、一日の中でのおおよその時刻を影の長さで知るわけですが、南中時の影の長さで季節を知ることもできるはずですね。

東京スカイツリーかなんかで、そういう催しを通年でやったら面白いんじゃないかなぁ。

2017年6月 9日 (金)

電子レンジ

0516_6microwavable 2017.5.16
洗い物をしていてガラス鉢の底の文字がふと目に入りました。長いこと使っているのに、見てないものですね。
MICROWAVABLE」ってどういう意味の表示か、ご存知でしょうか。
「マイクロウェーブ使用可」ということですが。これ
「電子レンジでの使用可」という意味です。くだけた言い方をすれば
「チンできます」ですね。
日本では「電子レンジ」といいますが、英語だと「microwave oven」なのです。
「電子で温める」わけではなく、電子を高速で運動させてその時放出される電磁波=マイクロ波で加熱するのですから、「マイクロ波加熱器」なのでして、英語の表現の方が装置の実体をわかりやすく表現していると思います。
2.45GHz(2450MHz) のマイクロ波を使っています。{携帯電話の電波と帯域が重なっていますかね。}
↓ここにわかりやすい図があります。
http://www.microdenshi.co.jp/microwave/

http://ist-ud.iseto.co.jp/?p=1564

microwave
►n 〔電〕 マイクロ波《特に 波長 1 mm–30 cm [1 m] 程度の極超短波;かつては 10 m 以下のものをいった》;電子レンジ (microwave oven).
►a 電子レンジ用の.
►vt, vi 電子レンジで調理[加熱]する[される].
microwavable
リーダーズ英和辞典第3版より引用

以前よくあった解説、今もまだ少し残っている解説、で、「電波が水分子を揺さぶり、水分子が摩擦して発熱する」というのがありました。これは間違いです。
「摩擦」というのはマクロな物体の表面での出来事。水の分子の「表面が摩擦」なんて、それはないでしょ。
マイクロ波では水分子の集団が揺さぶられます。その結果、水分子がエネルギーを得て運動が激しくなる。
水分子の運動が激しくなる=温度が上がる、ということですね。
お間違えのないように。

★NHKのサイトから

NHK
「調理器具の事故に注意を!」(くらし☆解説)
2017年05月09日 (火)
・・・
電子レンジは、特殊な電波で食品の中の水の分子を振動させて、発生する熱で食品全体を温める仕組み。
・・・
アルミホイルなど金属製品も火花が飛び散ることがあり危険だが汚れが火災につながるというのは意外と知られていない。
レンジでは特に電波発射装置の金属カバー付近の汚れに注意。
カバーの隙間に食品かすが残っているとそこに電波が集中し、食品かすどうしや、食品かすとカバーの間で火花が飛び散り、発火することがある。
・・・

「特殊」じゃないです、日常に携帯電話などで、いつも使っている「身近な普通の」電波です。
「波長がセンチメートル程度になる特定の振動数の電波」といってもらえるといいかな。
電波ですからね、電子も揺さぶられます。で、電子レンジにアルミホイルやら、スプーンやら、いれると、火花が飛んだり異常に発熱して危険ですね。
食品かすが残っていると、やがて炭化します。グラファイトそのものほどではないにしても、炭化したら電子が動けるようになって電気を通すようになります。そうすれば火花が飛んだり異常発熱が起こりますよ。
「電波が集中」なんてやめてください。っと。
ちゃんと説明しましょうよね、NHKさん。

↓参考サイト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8

物の温度とはおおよそ分子の運動量のことであるが、電子レンジはマイクロ波を照射して、極性をもつ水分子を繋ぐ振動子に直接エネルギーを与え、分子を振動・回転させて温度を上げる。いわゆるマイクロ波加熱を利用している。

http://www.cml-office.org/atom11archive/water/microwave.html
電子レンジで加熱できるわけ

★以前、腰痛で医者に行った時に「マイクロやってみましょう」と言われて、一回「マイクロ」なるものを経験したことがあります。何のことはない、温熱治療用のマイクロ波発生器です。腕時計とかベルトの金属とかをはずして、パッドを当ててマイクロ波をあてると、患部が暖かくなるのです。「医療用・人間加熱・電子レンジ」で「チン」してもらったわけです。
金属があると高温になったりして危険なのですね、やはり。私はまあ一回しかやりませんでしたけど。

2017年6月 5日 (月)

5月の気温など

201705_kion 気温
最低気温がほぼ一本調子に平年値より上がっていきました。
最高気温はがたがたですね。20℃を切る日もあれば30℃を超える日もありました。
201705_heinensa 平年差
こうやってみると、4月の最高気温の振れ幅は大きかった。それに比べれば5月は最高最低ともに平年値をほぼずっと上回り続けています。まとまっているというべきか。
201705_situdo 湿度
5月半ば以降湿度が上がってきました。梅雨の季節も近づいて湿っぽくなるでしょう。
2月初めにカラカラだったのが、上下しながら上昇を続けてきました。
この頃は気象の出来事が極端になったような気がします。
梅雨は梅雨、雨が降るのは当たり前ですが、気象災害にならないように願いたいものです。

2017年6月 2日 (金)

準天頂衛星「みちびき」

★昨日のこの記事で↓ロケット先端部に生じた「輪」の話を書きました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-f1f7.html
2017年6月 1日 (木) 準天頂衛星「みちびき」

★今朝の朝日新聞朝刊です。

農業利用など期待 みちびき2号、宇宙へ 2017年6月2日05時00分
 GPS(全地球測位システム)の精度を高める準天頂衛星「みちびき2号」が1日、H2Aロケット34号機で鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。今後、約2週間かけて高度約3万6千キロの軌道に移る。
 内閣府は、高精度の位置情報を生かして、車の自動運転や、無人トラクターによる農業への利用などを想定している。(金子淳撮影)

この記事の写真は、さすがですね、クリアな「輪」が写っていました。この輪についての言及は記事にはありませんでしたので、私が指摘することにします。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12967872.html
↑ここで、記事全文は読めませんけれど、写真を見ることができるはずです。
「音速を超えていくロケット」とでも私ならキャプションをつけるところです。

★ところで、
NHKの報道で

6月1日 9時48分
・・・ロケットは順調に飛行を続け、およそ29分後の午前9時46分ごろに、高度275キロ付近で、「みちびき」を地球を回る軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

高度275km付近で衛星を軌道に投入とあります。
朝日の記事では「今後、約2週間かけて高度約3万6千キロの軌道に移る」とあります。
ずいぶん差がありますね。
多少人工衛星の軌道についてご存知の方なら「3万6千km」という数字にピンとくると思います。
これは静止衛星の軌道の高さですね。
静止衛星は赤道上空3万6千kmを周期24時間で回るので、いつでも同じ場所にとどまって見えるのでした。
でも日本上空は当然赤道上空ではない。どうなっているのでしょう?

★これもまた今日の記事↓
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20170601002273.html

あの色は初号機…? H2Aの機体ロゴ、「エヴァ」仕様 2017年6月1日16時03分
 今回打ち上げられたH2A34号機の側面には、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のスタッフが手がけたロゴマークが飾られた。直径約3メートルの円形で、中央に準天頂衛星「みちびき」の特徴である8の字形の軌道があしらわれている。エヴァ初号機を思わせる紫色を基調としたデザインだ。
(後略)

「準天頂衛星『みちびき』の特徴である8の字形の軌道」とあります。
これが、準天頂衛星「みちびき」の秘密なのです。また「準天頂衛星」という言葉の意味する内容もここにあります。

★順を追って。まずは内閣府のHP
http://qzss.go.jp/overview/information/launch-logo_170208.html

みちびき衛星打上用ロゴ決定のお知らせ
2017年02月08日  内閣府 宇宙開発戦略推進事務局

内閣府宇宙開発戦略推進事務局では、来年度に予定されている、みちびき2~4号機打上用のロゴマーク(打上用ロゴ)を公募し、審査の結果、以下の通り選定しましたのでお知らせします。

[選定のポイント]
    GPS補完機能(高層ビルや山間部等でも電波が受けられる)が伝わる
    他の衛星・ロケットで使用しておらず、斬新性がある
    新産業・サービスが創出されるイメージが湧く
    衛星と共に準天頂軌道を表す8の字が記載されている

このページでロケット側面に採用されたロゴが見られます。どうぞ。

★「準天頂軌道」とは
http://qzss.go.jp/technical/technology/tech01_orbit.html

・・・
 これに対し、GPSを補うみちびきは、日本を中心としたアジア・オセアニア地域での利用に特化したシステムです。常に日本上空(日本国内の地上から見た天頂付近)に衛星を静止させることができれば理想的ですが、地球の引力と遠心力の方向が違うため、静止させることはできません。
 静止衛星とは、地表から常に見えるようにするため、経度を固定したまま赤道上空に静止させたものですが、これを南北方向に振動させたものが傾斜静止軌道衛星といい、南北対称の「8の字軌道」になります。この傾斜静止軌道衛星のうち、北半球では地球から遠ざけることで速度を遅くし、南半球では地球に近づけることで速度を速くしたものが準天頂軌道の衛星となります。
 このため、みちびきの準天頂軌道は、南北非対称の「8の字軌道」になり、北半球に約13時間、南半球に約11時間留まり、日本付近に長く留まります。

やっと8の字の秘密に到達しました。
静止衛星軌道を傾けるんですね、そうすると南北に8の字を描く。
さらに、軌道を円ではなく楕円にして、北半球を通過する時に速度の低下する軌道になるようにした。{ケプラーの第2法則というやつですね。}

★JAXAのサイトから。
http://www.jaxa.jp/countdown/f18/overview/orbit_j.html

準天頂軌道とは

準天頂衛星の軌道
準天頂衛星の軌道を、地球を止めた状態で見てみると、人工衛星が8の字を描くように動いているように見えることから、当初つけられたニックネームが『8の字衛星』と呼ばれるものでした。
この8の字を描く軌道だけでなく、いくつかの案が検討されました。
赤道に対して軌道を傾けて、さらに楕円に(離心率を大きく)して人工衛星が地球から一番離れる位置を北半球の日本付近の上空にすることで、日本上空の滞在時間をできるだけ長くすることができ、その場合は『非対称の8の字』や『涙型』のような軌道になります。

各軌道のメリット
・対称8の字:南北対称の軌道なので、日本とオーストラリアなど、南北で同じようなサービスを行うことが可能です。
・非対称の8の字:準天頂衛星システムが採用する軌道であり、放送衛星として利用する際には人工衛星から衛星への切り替えが行いやすい軌道です。8の字軌道に比べて日本付近での1衛星あたりの滞空時間が長いのがメリットです。
・涙型:人工衛星が日本上空でより長い時間滞在する軌道ですが、人工衛星と地球の間の距離の変化が大きく、アジア・オセアニア地域でのサービスには技術的にいくつかの課題があり、準天頂衛星システムでは採用されませんでした。

日本上空での滞空時間が長く、また仰角が大きく(準天頂)なります。
このことを「高いビルの谷間でも受信できる」と解説している報道もありましたね。

★もっと詳しい解説
目次部分だけ引用します。
http://qz-vision.jaxa.jp/USE/is-qzss/faq/#wrapper

FAQ よくあるお問い合わせ
準天頂衛星初号機「みちびき」に関するよくある質問と回答をご紹介します。

Section01:衛星測位について
1.衛星測位とは?
2.他の衛星測位システムは?

Section02:準天頂衛星初号機「みちびき」について
3.「みちびき」の役割とGPSとの違いとは?
4.「みちびき」のGPS補完効果は?
5.「みちびき」を使った新しい研究分野とは?

Section03:準天頂衛星初号機「みちびき」のシステムについて
6.「みちびき」はどんな衛星か?
7.「みちびき」のアンテナとは?
8.「みちびき」に搭載している時計とは?
9.「みちびき」の地上システムとは?

Section04:準天頂衛星初号機「みちびき」の利用方法について
10.「みちびき」の信号はどこで受信できるか?
11.「みちびき」の信号はいつも受信できるか?
12.「みちびき」はいつ高仰角にいるか?
13.現在使用しているカーナビや受信機でも「みちびき」の信号を受信できるか?

{老爺心:FAQとは Frequently Asked Questions のことです}
マスコミで「みちびき」の紹介はたくさんありますが、なかなかその深層部分に迫ってくれない。

★最後にしよっ、と。
上の目次の「8」ですが、どんな時計を搭載しているのかな。

測位衛星から送られてくる時刻の情報が正確でないと、自分の位置を正確に計算することができません。わずか1マイクロ秒(100万分の1秒)の時刻のずれが、300mもの測距誤差となってしまいます。
このため、「みちびき」には極めて正確で、安定度の高いルビジウム原子時計を2台搭載し、さらに、送信する電波の位相や周波数のずれができるだけ少なくなるように配線や温度管理などに様々な工夫をしています。

すごいものですね。そういう原子時計を積んでいるんだ。これは知りませんでした。

★もう一回、最後に。
普通のGPSのごく粗っぽい原理ですが。
ある衛星が出した電波は、一定時間ののち、球面状に広がっています。
二つの衛星が出す二つの球面の交わりは円になります。
三つめの衛星から広がる電波の球面と円の交わりは2点になります。
そのうちの1点が自分の場所で、もう一点はあり得ない場所をさすことになります。
で、自分の位置が決まる。

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-69c8.html
2010年12月16日 (木)理科話(6):GPSの基本的原理
↑ここにもう少し詳しい解説を書きました。

2017年6月 1日 (木)

準天頂衛星「みちびき」

今朝のニュース

日本版GPS衛星「みちびき」 打ち上げに成功(NHK 6月1日 9時48分)
スマートフォンやカーナビなどで利用されている、位置情報システムの性能を飛躍的に高める、日本版GPS衛星の「みちびき」が、午前9時17分、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットの34号機で打ち上げられました。ロケットは順調に飛行を続け、およそ29分後の午前9時46分ごろに、高度275キロ付近で、「みちびき」を地球を回る軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

0601mitibiki
これTV画面です。見づらいのですが、ロケットの先端に白い輪がかかっていますね。
ロケットが音速を超えていくときに見られる現象です。
音速付近では、前面での猛烈な圧縮とその後部での激しい膨張がありまして、膨張して温度が下がる時に空気中の水蒸気が微細な液滴になって霧ができるわけです。それがロケットの先端部にできた輪なのですね。

大分前になりますが、2007年の「かぐや」打ち上げのときにも同じ観察をして記事を書きました。ご覧ください↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_82b8.html
2007年10月 1日 (月) 「かぐや」打ち上げ

2017年5月31日 (水)

秒速100m

新聞記事から↓

時速364キロ 琢磨、速さの最高峰制す 自動車・インディ500(朝日新聞デジタル 2017年5月30日05時00分)
 世界最高峰の高速レースの一つ、インディアナポリス500マイル(インディ500)で佐藤琢磨が28日、日本人初優勝を果たした。時速約364キロの最速ラップをマークするなど要所で速さを見せつけた。
・・・
佐藤がマークした1周39秒7896で平均時速は360キロを超えた。
・・・

★秒速と時速を換算してみましょう。
a [m/s] = a[m]/1[s]
1時間は3600sですので、分母分子を3600倍します。
3600*a[m]/3600[s]=(3600*a[m])/1[h]
分子がmなので、1000で割ってkmにします。
3.6*a[km]/1[h]=3.6a[km/h]
ハイ。秒速の値を3.6倍すると時速の値になります。
逆に時速の値を3.6で割ると秒速の値になります。

では
364÷3.6≒100m/s
ナント
1秒間で100m進むんですね。
まいりました。その速さで車体をコントロールするなんて、想像を絶します。

★昔の授業で、秒速⇔時速の換算はよくやりました。
m/s      km/h
10          36
20          72
30        108
40        144

このくらいですね。
陸上100mの選手は時速36kmで走るんだぜ。
高速道路を時速100kmで走っている時は1秒で30mくらい進むんだ。
台風の時に風速30mというニュースがあったら、時速100kmでそうこうしている自動車の窓から顔を出している感じだね。
秒速40mで走ったら捕まるかもよ。
新幹線の屋根にへばりついていたら秒速80m位の風圧は受けるね。時速約300km弱として。・・・などなど。

と、こんな話をしながら。自由落下の話をしたり。
でも100m/sの話をしたことはありませんでした。
現役だったらさっそく教室でこの話します。
なんでも授業ネタに見える。理科教師の癖が抜けてませんね。

2017年5月26日 (金)

中学の理科実験

★事故が多発していますね。
何をやっているかというと、混合と化合の違いを知るためなのです。
5月、理科の化学的な分野で、化合を学ぶ時期ですね。

鉄と硫黄と硫化鉄
鉄は磁石につき、塩酸と反応して水素を発生する。
硫黄は黄色い物質で磁石にはつかず、塩酸と反応しない。

双方の粉末を混合しても、鉄も硫黄もその性質が変わったわけではない。
ところが、混合した粉末を加熱すると、強く発熱して、真っ赤に光りながら何かが起きている。
反応終了後の物質は鉄でもなく硫黄でもない。それを確認するために塩酸と反応させてみる。そうすると硫化水素という「腐卵臭」と呼ばれる、悪臭のある有毒ガスが発生する。
鉄でも硫黄でもない硫化鉄という別の物質ができたのだ、これを「化合」という、と導くわけです。

★こういうストーリーを理解したうえで、事故の記事を読んでください。

中学の理科実験で体調不調(朝日新聞デジタル 2017年5月10日14時24分)
 10日午前11時40分ごろ、大阪府泉佐野市日根野の市立日根野中学校で、男性教頭から「実験で生徒の気分が悪くなった」と119番通報があった。生徒8人が病院に搬送された。府警などによると、意識はあり命に別条はないという。
 同市教委と泉佐野署によると、午前9時10分ごろ、中学2年生が硫化水素を発生させる理科の実験をして、生徒20人以上が気分が悪くなったと訴えたという。

この事故の読売新聞の記事では
「理科の授業で鉄と硫黄などを混ぜて硫化水素を発生させる実験をしていた」
と表現されています。
硫化水素の発生はこの実験の主たる目的ではない。鉄でも硫黄でもない物質ができたことを確認すればよいのですから、デモ実験で十分なのです。鉄と硫黄の反応は生徒が各班毎におこなってよい。びっくりしますよ、激しい反応ですから。
反応生成物を回収して、教師が教卓で
「君たちが作ったこの黒い物質だがね。塩酸と反応させてみよう。」といって試験管に微量の反応生成物をとって、塩酸を入れればよいのです。「臭いよ、先生、臭いよ」と騒ぐはずですから、「これを卵の腐ったような臭いという。温泉や火山でこのにおいをかいだことのある人もいるだろ」「知ってる知ってる」「でもたくさん吸うと有毒だから、『さあ、全員で実験室の窓を開けろ!』」でいいのです。
もちろん体質的に過敏な生徒がいることもありますので、十分な注意は必要です。
「先生が毒ガスを俺たちに吸わせた!」という生徒もいるかもしれません。「俺なんか毎年これだぜ、でも生きてらぁ」くらい言ってやればいいのです。注意すれば大丈夫。むしろこの臭気を感じたら毒ガスなんだから用心しなくちゃいけない、という、命を守る大切な勉強をしたんだぞ、忘れるなよ。とかね。
生徒との交流が十分にできていれば問題になるほどのことはないはずです。
各班で硫化水素を発生させるのはやめたほうがいいでしょう。

★事故が続いてしまって

理科実験中に体調不良、生徒12人搬送 長野(朝日新聞デジタル 2017年5月25日20時07分)
 長野県岡谷市湊2丁目の同市立岡谷南部中学校で25日、理科の実験中に生徒が体調不良になり、2年生の男女12人が、救急車で同市と諏訪市の病院に搬送された。いずれも軽症とみられる。
 記者会見した岡谷市教委の説明によると、授業は5時限目で、鉄と硫黄をアルミホイルに包んで加熱、硫化鉄を生成させる実験をしていた。36人が参加したが、実験途中でせき込む生徒が出た。
 病院に搬送された女子生徒の母親は「午後3時ごろ、『子どもが救急車で病院に運ばれる』と学校から電話があり驚いた。病院で娘は『(実験中に)煙が出て吸い込み、せきが出た』と話し、乾いた感じのせきをしていた」と語った。

ここで起こった事故は、硫化水素によるものではないだろうと推測します。
硫黄が燃えたんですよ。そのため二酸化硫黄が生成した。硫黄が燃えても薄い青い炎なので燃えていることに気付かないことも多い。二酸化硫黄は別名「亜硫酸ガス」、吸いこむと窒息感があって(息がつまるような感じ、ですね)、強く咳が出ます。そのくらいは理科教師は知ってなきゃね。ニュースの文でも「乾いた感じのせきをしていた」とありますね。痰がからんでゴホゴホと湿った咳が出たのではなく、息がつまって咳き込んだという状況が読み取れます。
ところが、この事故のNHKのニュースでは

・・・
 岡谷南部中学校の小松亨校長は「安全には万全を期していたが、このようなことになってしまい、体調を悪くした生徒には申し訳なく思っている。決められた手順に従って実験を行ったと聞いていて、現段階では、なぜ煙が出たのかわからない」と話しています。

分かっていらっしゃらない。トホ。理科教師から硫黄が燃えて二酸化硫黄が発生してしまいました、というような報告はなかったんですかねぇ。

★25日にはもう一件、同じ実験による硫化水素の事故も起きています。

理科の実験でのどの痛み 5人搬送 埼玉 川口(NHK 5月25日 20時13分)
 25日午後、埼玉県川口市の中学校で、理科の授業の実験中に2年生の男女5人がのどの痛みなどを訴え病院に運ばれました。いずれも症状は軽いということで、警察が当時の状況を詳しく調べています。
 25日午後4時前、川口市立戸塚西中学校から「理科の実験中に生徒が体調不良を訴えた」と消防に通報がありました。2年生の男子生徒と女子生徒、合わせて5人がのどの痛みや頭痛などを訴え、病院に搬送されたということです。
 ・・・
 5人は同じクラスの生徒で、6時間目の理科の授業で、鉄と硫黄を混ぜて加熱したものに塩酸を加えて、硫化水素を発生させる実験をしていたということです。警察が学校から話を聞くなどして当時の状況を調べています。

なんだかなぁ。私はもう年だから講習会などやる力はなくって教えて差し上げられませんが、でも、悲しいですね、もっと勉強しましょうよ、先生方も。
毎年やる実験であっても、必ず予備実験をおこなって、生徒の動き、自分の動きなど1時間分のイメージを作りましょう。
やれるだけのことは充分にやった上で、さあ、実験の授業は「臨機応変」に。生徒というものは「ミスやエラーや失敗」の専門家です。かならず予想外のことをやってくれます。ですからどんな事態にも対応できるようにしておかなければなりません。

私は現役時代こういって笑いましたっけ。
「人事を尽くして出たとこ勝負」
自分でいうのもなんですが、実験でそれなりに有名だった私ですが、ほぼ大過なく教師生活を終えた、といえます。

2017年5月 9日 (火)

山火事

昨日、岩手県釜石市で山火事が発生しました。

山火事広がり避難指示 自衛隊に派遣要請 岩手 釜石(NHK 5月8日 15時15分)
 ・・・
 8日午前11時55分ごろ、釜石市平田の山林から火が出て周辺に燃え広がりました。現場は山の中で近づくための道路がないうえ、火の勢いが強いため消火活動は難航し、釜石市は午後2時50分に尾崎白浜地区と佐須地区の136世帯348人に避難指示を出しました。
 ・・・
 盛岡地方気象台によりますと、釜石市では、午前10時40分すぎに25.9メートルの最大瞬間風速を観測しています。
 ・・・

夕方の民放の森田さんの気象情報で、この火事の煙が気象衛星の画像に写っていると話していました。
20170508eiseigazou
気象庁のサイトから16:30の画像をとってみました。
釜石のあたりから太平洋にうっすらと白い筋が流れていますが、それとわかっていないと判別は難しいかも。
で、ウェザーニュースのサイトを覗いてみました↓
https://weathernews.jp/s/topics/201705/080105/

東北太平洋側で大規模火災
2017/05/08 17:06 ウェザーニュース
8日(月)、岩手県釜石市で発生した大規模な山林火災が発生。その様子は気象衛星ひまわり8号でも捉えられています。

画像のURL↓です。
https://smtgvs.weathernews.jp/s/topics/img/201705/201705080105_top_img_A.jpg?1494229794
これだと確かに煙が流れているのが見えます。
火山の噴火とか流氷とか、いろいろな地表現象が気象衛星で捉えられます。
こんな画像を使って授業やってみたかったな、という「未練」もないわけではない。
教師になって最初は中学で理科を教えました(40年以上も昔)。第2分野の気象関連のところで、当時の人工衛星写真、解像度も低かったのですが、そういう写真集を買ってきて、教室に持っていきましたよ。「地球を見る」というのがまだ珍しかった時代ですから。雲画像から風の流れを読み取ったり。そう、NHKラジオの気象現況をカセットテープに録音していって、教室で再生し、それを聞きながら天気図を書くという実習もやらせましたっけ。思い出しました。
閑話休題。ウェザーニュースの続き

 ・・・
今回の火災のポイントは強い西よりの風とフェーン現象による乾燥です。
乾燥により燃え移りやすい状況となっており、強い風で燃え広がったことで大規模火災へと発展しています。
また、風が強いことが、消火活動をも困難にしている側面もあるようです。
▼最小湿度
 石巻 27%、仙台 17%
 宮古 21%、大船渡 22%
▼最大瞬間風速
 釜石 25.9m/s、白石 27.8m/s
今回のように、強い山越えの風が吹く時は、火が燃え広がりやすい条件が揃うため、特に注意が必要です。

東京の私は昨日はそれほど強い風を意識していませんでしたが、東北ではすごかったんですね。
2017kaze
これはNHKのニュースのタイトル画像。
風の流れを視覚化したもの。
なるほど、すごい西風だったようです。
これではフェーン現象が起きます。乾燥した高温の風が吹きおろす。大火・山火事のパターンです。
去年12月の糸魚川市の火災もフェーンの下で燃え広がったのでした。
今回の山火事、今の時点ではまだ収まっていないようです。早く消火が完了しますように。地元の方々、消火に当たられる方々の無事をお祈り申し上げます。

★地球規模から日本周辺まで範囲を変えながら可視化されて風の様子が見られるサイトがあります。
よかったらどうぞ↓
https://earth.nullschool.net/jp/

フェーン現象についての簡単な解説です↓
http://www.jma-net.go.jp/matsue/chisiki/column/phenomena/foehn.html

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