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2022年10月25日 (火)

無重力と無重量

東京新聞の10/18の記事で

無重力アート制作に成功 「世界初」と京大チーム
2022年10月18日 19時46分 (共同通信)

こういう記事を見かけました。

・・・
チームは、芸術家が微小重力の環境下でアート作品の制作に成功したのは「世界初」としている。
チームによると、飛行機で急上昇した後にエンジンを切って急降下させることで微小重力の状態を作り、薄いゴムの膜に乗せた絵の具に下から音で振動を加え、絵の具を数十センチ跳び上がらせた。昨年8月に16作品を制作した。
・・・

微小重力下でのアート作品ということでは「世界初」なんでしょうが、原理的には何も新しいものはないのです。

「宇宙に行くと無重力。地球上では無重力にはならない。」と思ってませんか?
上の引用中にあるように、ジェット機を急上昇させ、エンジンをごく細く絞って(空気抵抗に勝てるくらい)、落下すると、落下中、機内はほぼ「無重量」状態になるのです。
今はどうやっているかは知りませんが、宇宙飛行士の訓練として、このジェット機の急降下による何十秒かの無重量体験が行われました。
逆に、ロケット発射時の強い重力に耐える訓練は、遠心力を利用して壁に押し付けられる力で体験したはずです。

実は、宇宙全体を見渡すと、重力が満ちているのです。「宇宙は無重力」なんてのはウソっぱち。
太陽系は重力でまとまってますよね。
恒星たちが重力でまとまっているのが銀河。
銀河が重力で集団をつくると、銀河団やら銀河群を構成する。
銀河団や銀河群が重力で、1億光年を超える程度の構造を構成すると、超銀河団。
すごいでしょ。宇宙には重力が満ち満ちているのですよ。

重力はあるんだけど、重力に従う自由な運動体の中では重さを感じません。それが「無重量」です。
重さは感じていないけど、質量はあるんです。体重の小さな人と大きな人が綱引きをすれば、体重の大きな人が小さな人を引き寄せる感じになります。力が加わった時の動きやすさの尺度=質量ですからね。
F=Mα
α=F/M
質量が大きいと、加速度が小さい=動きにくい
なのです。

で、地球上で無重量状態に近い状況を作るには、ジェット機を使う手もありますが。
地下深くへの廃坑を利用して、自由落下せる手もあるのです。

↓このあたりのことは、去年の「かかしさんの窓」で詳しく書きましたので、そこへリンクします。
自由落下中に起きる、ほぼ無重量の話は、3番目が詳しい。ぜひどうぞご覧ください。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2021/08/post-0da80d.html
2021年8月10日 (火) 宇宙=無重力 ?

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2021/08/post-dfcac2.html
2021年8月10日 (火) 無重力

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2021/08/post-e82dea.html
2021年8月10日 (火) 大気圏内での無重量・地下での無重量

↓参考
https://astro-dic.jp/supercluster-of-galaxies/
天文学辞典 > 宇宙の進化 > 大規模構造 > 超銀河団
超銀河団

銀河の集団である銀河団や銀河群が、複数個以上連なった大構造のこと。およそ1億光年程度以上の大きさを持つ。フィラメントと呼ばれるブリッジ構造を介して連なっている。大規模な銀河の赤方偏移サーベイなどによってその存在が明らかになっている。数値シミュレーションによっても、重力によるダークマターの構造進化の結果、このような宇宙の大規模構造が再現されている。近傍宇宙ではわれわれの天の川銀河(銀河系)が属する局所超銀河団や、ピセス-ペルセウス超銀河団などが知られている。宇宙には逆に銀河がほとんど存在しないボイドと呼ばれる場所があり、対照的である。近年の研究で、局所超銀河団はその約100倍大きなラニアケア超銀河団の一部であることが分かった。

 

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