刀鍛冶 打ち初め
前の記事では、石炭にマッチから火をつける話をしましたが。
思い出して、打ち初め式の話を。
↓過去に書いたものです。これでほぼ十分なのですが。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2020/01/post-d50cac.html
2020年1月 9日 (木) 打ち初め式
日本刀の打ち初め式の話です。
「鉄は熱いうちに打て」ではなく「鉄を打つと熱くなる」というお話です。
・・・
オリンピックの聖火は「神聖」なんですか?で、採火式では太陽光を凹面鏡で集光して焦点のところで点火しますよね。
日本刀の打ち初めでも、やはり神聖であることが大事なのかな。マッチやライターでの点火はしないようなのです。
そうすると、錐もみや舞錐式とか「摩擦熱」を使いますか。それとも火打石を使いましょうか。
どちらも力学的なエネルギーを熱エネルギーに転換して火を採るわけですが。
私が見た日本刀の打ち初め式では、ちょっと意外で、物理教師は大喜びする方法だったのです。常温の鉄の棒を、刀匠が槌で叩くんですね。そうするとやがて叩かれた鉄の棒が熱くなってきて火口に火をつけられるくらいになるわけです。それを火床(ほど)に移す、という採火法だったのです。
これも力学的なエネルギーを熱エネルギーに転換するということでは同じなのですが、さすが日本刀の打ち初めだよなぁ、と感動しまして、当然、私の授業の材料になったのでした。鉄を打つと熱くなるのだ!
理科教師は「好奇心 命」。なんでも教材に見えて仕方ないのでした。
↓今年のニュースから
NHK 岐阜 NEWS WEB
刃物の産地 関市で日本刀の打ち初め式(2022年01月02日)
刃物の産地として知られる岐阜県関市で、ことしの作業の無事を祈る日本刀の「打ち初め式」が公開されました。
・・・
ことしも「関鍛冶伝承館」の鍛錬場に白装束に烏帽子姿の刀匠7人が集まり、ことし最初の鍛錬に使う火をおこしてかまどに入れたあと、刀のもとになる鋼を火で熱したり「つち」でたたいたりして、日本刀を丈夫にする工程を披露しました。
・・・
無事と盛業を願う 岐阜・関市で日本刀鍛錬打ち初め式(朝日新聞デジタル 2022年1月2日)
全国有数の刃物の産地、岐阜県関市の関鍛冶(かじ)伝承館で2日、新春恒例の日本刀鍛錬打ち初め式があった。
1年の無事と盛業を願う行事で、えぼしに直垂(ひたたれ)姿の刀匠が、熱して折り曲げた日本刀の素材、玉鋼(たまはがね)を大つちで打ち付けた。
・・・
どちらも、「火起こし」の方法についての言及がない。
で、検索↓
https://www.touken-world.jp/tips/22235/
刀剣・日本刀の専門サイト 刀剣ワールド> 美濃伝の刀剣/関市の刃物>
関市における刃物の催事・祭事「関市の古式日本刀鍛錬打ち初め式」
祝詞を上げ一年の安全と発展を祈ったあと、鋼をたたいて火を起こし、火床(ほど)へ火を入れ鞴(ふいご)を動かすと一気に燃え上がります。この火は神棚にも捧げられ、いよいよ今年最初となる古式日本刀鍛錬の始まりです。
ちゃんと「鋼をたたいて火を起こし」となっていました。この文章で、鉄をたたくと熱くなる、ということを理解してくださる人がどのくらいいるかはわかりませんが。
理科教材としてはとても面白い。理科にかかわる方がいらっしゃいましたらご利用ください。
↓参考に。
https://hirahaku.jp/kyoushitsu_circle/labo/seika/hiokoshi_2009.pdf
火起こし道具の作り方
理科教員の研修で、きりもみ式の発火を実体験したことがあります。あれは面白かったな。
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