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2021年6月21日 (月)

ノーベル賞受賞者の逸話

ノーベル化学賞を受賞なさった根岸英一さんが亡くなられましたね。6月6日アメリカ・インディアナ州で。85歳でした。
今日の話は、化学的な業績についての話ではありません。エピソードについて。
6月13日付の朝日新聞の訃報にこんなエピソードが載っていました。

 パデュー大によると、スウェーデンのノーベル財団から受賞の電話を受けた数時間後にも、予定していた大学2年生向けの化学の講義を普段通りこなしたという。理学部長は「このエピソードが彼の人となりを物語っている。非常に親しみやすく、情熱的だった。彼が残した日々のひらめきは、ノーベル賞以上の遺産だ」とコメントした。

そうだったんだ。
ノーベル賞受賞の報せにも舞い上がらず、平然と普段通りの講義をする。
カッコイイですね。

ちょっと余分なことを。
「講義」とあるでしょ。lecture ですよね。大学の研究者が学問の内容=義を学生に講ずるんですよね。
私は大学で授業を受けたという気分ではなかったな。
このごろは、大学も「授業」ということになっちゃって。なんだか違和感を覚えています。

で、それはそれとしまして。
この逸話を知って私が思い出したのは
バーバラ・マクリントックさんのエピソード
マクリントックさんは、トウモロコシの研究から、動く遺伝子・トランスポゾンの存在を発見しました。
あまりにも先進的な研究で、女性研究者というハンディキャップもあって、なかなか認めてもらえなかったのです。
再発見、のような出来事を経て認められ、81歳でノーベル賞を受賞しました。

その一報を聞いたマクリントックは「まあ!」と一言つぶやいて、いつもの様にトウモロコシ畑に帰って行ったという。

何をいまさら、というような気分もあったかもしれませんが、カッコいい。このエピソードを思い起こしました。

↓参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF

バーバラ・マクリントック(Barbara McClintock, 1902年6月16日 - 1992年9月2日)は、アメリカ合衆国の細胞遺伝学者。トウモロコシを用いた染色体の研究で知られる。トランスポゾンの発見により1983年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。

コネチカット州ハートフォードに生まれる。1923年にコーネル大学を卒業し、1927年に同大学で植物学の分野で博士号を得る。コーネル大学やNRCで研究員を務めた後、1936年から1941年までミズーリ大学で助手になる。1942年から1967年にワシントン・カーネギー協会の遺伝子部門のコールド・スプリング・ハーバー研究所の研究員となる。

マクリントックがトランスポゾンの存在を発見したのはDNAの構造が判明する以前の時代であり、余りに先駆的な学説に長らく学会で無視されていた時代もあった。その学説が後年の分子生物学の技術の発展により証明されるに至り、81歳と高齢でのノーベル賞受賞となったが、その一報を聞いたマクリントックは「まあ!」と一言つぶやいて、いつもの様にトウモロコシ畑に帰って行ったという。

トランスポゾンというと特殊なもののように感じるかもしれませんが、私にとっては、紅白咲きのツバキやオシロイバナを見るたびに思い出します。
哺乳類の胎盤形成に関わる遺伝子がもともとはトランスポゾンだった、という研究もあります。
トランスポゾンのもとはウイルスだったりしまして、生物の進化の不思議はとんでもなく奥深いのです。

いろいろ思い出しました。次の記事でオシロイバナを扱います。

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