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2021年6月22日 (火)

心に響くことば

児童文学作家・角野栄子さんのことば
朝日人文(語る 人生の贈りもの)という連載。2021年4月26日、角野栄子さんの第1回から

 結末は決めずに書く。私ね、「あらかじめ」っていう言葉が嫌いなの(笑)。だって、あらかじめ考えておきながら、その通りにならなかったら気分が悪いじゃない。それに、あらかじめは先細りなんですね。決めたことに向かってやっていこうとすると、いろんな可能性を排除することになる

 取り込みながら書いていけば、面白くなるでしょ。ページをめくるたび、「何が飛び出すか」という期待感がある方が、書いている自分もそうだし、読む方も楽しいのではと思っています。

「あらかじめは先細りなんですね。決めたことに向かってやっていこうとすると、いろんな可能性を排除することになる。」
これがすごい。
「夢を持て。努力すれば夢は必ずかなう」などという嘘っぱちが蔓延していますが、警戒してください。
「夢の実現」に役立つか、役立たないか、などという選別が、それぞれの時点で選択できるわけがないでしょ。
可能性を排除してはいけない。人生は選択の連続です。人生を先細りにしてはいけません。
ただ子供時代の夢なんて、身近な限られた経験からしかもてません。夢自体の輪郭がはっきりしてくるのはずっと後のこと。
夢を持つことが悪いわけではない。年齢を重ねてくるとわかりますよ。ああ、自分の人生の軸はあの夢だったんだな、とね。
夢は人生の軸になります。すべてのことが夢に役立つのです。繰り返して
人生を先細りにしてはいけません

朝日新聞の(一語一会)という連載から。2021年6月3日
シンガー・ソングライター、みなみらんぼうさん 映画監督の龍村仁さんからの言葉
面白いと思ったらやってみろ

 龍村さんのテレビ番組にナレーターとして起用され、アフガニスタンでのロケに同行して帰国後すぐに飛び込んできた出演依頼だった。戸惑う姿を見て龍村さんは言った。

 「面白いと思ったらやってみろ」
 面白いと思って挑めば、失敗しても傷にはならない。そう諭された。

そう、選択の判断をしなければならないとき、「面白い」というのは重要ですね。
最近はやりの「おもしろおかしい」ではありません。「関心を惹かれる」という意味でしょう。
英語のinteresting も、おもしろおかしいのではありません。関心を惹かれるのです。
ん?なんだろう、と好奇心が動く方向へ行けばいい。その行動の結果が通常の意味で失敗だったとしても、「傷にはならない」のです。むしろその人の人間的な分厚さが増すのです。(先細りになんかなりません)
若い人が失敗を恐れる傾向が強い。ダイジョブだってば。失敗は人生の肥やし。たくさん失敗した人ほど人生の巨木になるのです。「面白い」という選択を貫いて行けばね。

朝日新聞(2021年6月7日)の(進路わたし流)夢、ゴール決めずそのつど 四條畷市副市長・林有理さん から

 将来の夢に向かって進学、就職と一歩ずつ進む人を「山登り型」としたら、私はその時々で流れを見極める「川下り型」だと思っています。今、何を面白いと感じ、何を武器に目標に向かうか。ゴールを決めずにそのつど考えています。

なるほど。いい表現ですね。山登りで「頂上を征服した」なんていいますが、それって「夢はかなう」に似てますね。
「川下り」か。どんな流れになるかわからない、どんな岩があるかわからない、狭い急流もあるだろうし、幅広いゆったりした流れもあるでしょう。ある種、出たとこ勝負。その時々に自分が面白く感じ納得感のある方向へ行けばいい。

朝日新聞(2021年6月17日)(澁谷智子のケアと仕事とその間)学びはある、失敗しても から

 失敗はある。でも、そこから学べるということを、若い人たちにはぜひとも知っておいてほしいと思う。

いえ、失敗するからこそ「学ぶ」ことができるんでしょ。
学ぶということは、未知の領域へ踏み込むことです。未知の領域で何でもうまくいくわけがないじゃないですか。
失敗してこそ学びが成立するのです。
たまたまうまいこといっちゃった人は薄っぺらい。いろんな失敗を重ねた人は分厚い。
そういうものなのです。

私は理科教師でしたから、色んな生徒実験をやってきました。
失敗をひどく怖がる生徒もいます。大体は結果が知れていることをやることも多いので、そうならないと失敗した、と傷ついちゃう。
いえいえ、なるはずのようにならなかった、ということを面白がって、どうしてだ?どうやったらいいんだ?と考える生徒の方が理解が深まる。

科学の新発見というのは、前人未到の領域へ踏み込む、ということです。
世界でこのことを今知っているのは自分一人だ、というような領域に立つことなんです。
失敗こそが大事。失敗なしの成果なんてありえない。
心動く方向へ、関心の動く方向へ、好奇心を原動力として、失敗の歩数を重ねていけばよいのです。

現役時代、年度当初に自己紹介の時間を必ずとりました。自分の障害のことも含めてね。
その時のプリントに引用した言葉の一つ。どなたの言葉だったか、記憶もないし、記録もないのですが、ご紹介します。

何かを選択するということは、何かを捨てることです。
人生を生きていくということは可能性を 実現するとともに可能性を削ぎ落としていくことでもあるのです。
いずれ「選択」しなければ生きてはいけません。
ならば常に、選択の幅は可能な限り幅広く保持し続けて下さい。
   Keep your options open.

 

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