はやぶさ2、間もなくカプセルの切り離しですね
↓記事そのものは毎日新聞のものです。読んだのはYAHOOニュースで。
https://news.yahoo.co.jp/articles/20a4b62cbaf3ddb3c727ee80ff3858134fa50a63
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はやぶさ2は、5日午後2時半に地球の高度22万キロでカプセルを分離する。カプセルの姿勢を安定させるため、3秒に1回転するスピンをかけ、秒速20センチで押し出す。カプセルを分離した反動で機体の速度や姿勢に変化が出るとみられ、それらが確認されれば分離が成功したと判断できる。カプセルを分離したはやぶさ2は、四つの化学エンジンを約30秒間ずつ、3回にわたって噴射し、地球から次の小惑星へ向かう軌道へ移動する。その間に、カプセルが大気圏へ入って光る「火球」の撮影にも挑む予定だ。【永山悦子】
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◇探査機「はやぶさ2」のカプセル帰還までの予定
(時刻はいずれも日本時間)
12月1日午後4時ごろ カプセル分離前の最後の軌道修正
5日午後2時半 カプセル分離(高度22万キロ)
午後3時半~午後6時 地球から離脱するために化学エンジン噴射
6日午前2時28~30分 カプセルの火球を撮影
28~29分 カプセルが大気圏に突入
31~33分 パラシュートを開く
47~57分 カプセルが着地
*JAXAの資料をもとに作成
「カプセル分離前の最後の軌道修正」というのが済んでいますから、このまま放置すれば「本体+カプセル」のまま地球に帰還します。本体には新たな任務があたえられましたので、カプセルを切り離して、カプセルのみ帰還させる。で、本体は、「地球から離脱するために」軌道を変える。
こういう手順です。
朝日新聞の記事では
はやぶさ2はカプセルを分離すると、約1時間後には化学エンジンを噴射して再突入する軌道を離れる。
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分離が成功すれば、はやぶさ2の速度がわずかに遅くなり、姿勢も変化するはずだ。管制室は、その微妙な変化を1時間以内に捉え、化学エンジンを噴射するかどうか判断しないといけない。
確認が遅くなれば、地球の重力から逃れられなくなる。
こう書いてありまして、速度や姿勢の変化の原因が分からなくて、悩みました。質量や重心の移動などかなぁ、と。
それが冒頭の毎日の記事では
「カプセルの姿勢を安定させるため、3秒に1回転するスピンをかけ、秒速20センチで押し出す。カプセルを分離した反動で機体の速度や姿勢に変化が出るとみられ、それらが確認されれば分離が成功したと判断できる。」
となっていて、納得。カプセルに与えた回転や速度の「反動」で本体側にも変化が出るわけですね。
カプセルは凸になった方を前にして大気圏突入する必要があります。
そのため姿勢を安定させる必要があるのですね。(空気力学には疎いのでよくわかりませんが、ひょっとして大気圏に入ってくるときに回転が速くなる、というようなことがあるのかなぁ)
で、朝日の記事↓
万が一、カプセルの分離が確認できなかったらどうなるのか。津田雄一プロジェクトマネージャは「カプセルを地球に戻すことが一番の優先順位。そのときは、探査機ごと大気圏に再突入させることになる」
とのこと。ものすごい緊張を強いられることになるのでしょうね。踏ん張ってください。
さらに順調に進むと
発表では、カプセルは6日午前2時28分ごろ、秒速12キロの速さで大気圏に再突入する。空気を押しつぶして高温になり、光を放つ。その後、高度10キロでパラシュートを開き、ゆっくり落下しながら位置を知らせる電波も出す予定だ。
以前は「空気との摩擦」で発熱するという言い方が多かったのですが、正確ではない。
カプセルはその前面で空気を猛烈に圧縮します。この圧縮によって発熱するのです。ディーゼルエンジンを思い出してください。圧縮による加熱で燃料・空気の混合ガスに点火していますでしょ。あれの極端な形ですね。
人工衛星を打ち上げるのに必要な速度は最低限「約 7.9 km/s」です。第一宇宙速度といいます。
地球の重力を振り切って人工惑星(はやぶさ2も人工惑星です)にするには「約 11.2 km/s」が必要なのです。第二宇宙速度といいます。それが帰還するのですから、その最低限を超えて約12km/sで大気圏に突入してくるのですね。
いろいろ思いつくままに書いてみました。不正確な部分がいっぱいあるかと思います。
いろいろの難関がまだ控えていますが、カプセルの無事帰還と、はやぶさ2の次の任務への旅立ちを待っています。
明日、6日の報道を待ちましょう。
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