比と差
2020.11.12
これはNHKの気象情報。「前日比」となっていますよね。
「前の日に比べて」という意味であることはもちろん分かるのですが。
でもね、「比」というのが引っかかるんだなぁ。
これはTBSの気象情報。「前日差」になっていますね。
11.14
これは日テレです。ここも「前日差」ですね。
11.16
これはNHKですが、GDPの伸び率が「前期比」「+5.0%」となっています。
前期比の「比」という言葉は、「前期に比べて」ではありますが、ここではちゃんと「比」として使っています。前期を100とした時、今期は105になったんですね。
(今期の値/前期の値)×100なんですよ。
「比」というのは、本来、割り算なんです。
ですから、冒頭の気温についての「前日比」というのはちょっとマズイんですよね。
民放の方は「前日差」と言っていて、「差」と表現していまして、正確です。
どうもなぁ、NHKの数学的センスというのがちょっとなぁ、頂けないんですよね。
「20.0℃」というような表現ができなくて「20」とかいて「20℃ちょうど」と読ませるのは、以前書いたことがありますよね。
この「前日比」もやはりいただけませんね。意味は分かるけど。
言葉の意味をきちんと吟味して使ってほしいな、と思います。
★比について
↓参考
ひ【比】
〔数〕同種類の二つの量A、Bがあって、Bが零でない時に、AがBの何倍に当たるかという関係をAのBに対する比といい、これを A:B と書く。A/B をこの比の値あたいという。「―を求める」
広辞苑第六版より引用
「比」というと、A:Bというような書き方を小学校で教わりますね。
でも、幾何学なんかをやると、辺の長さの比など「比」はA/Bという形で表現します。でなきゃ計算に乗りませんものね。
↓過去記事です。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-7cfb.html
2012年10月 8日 (月) 平方根(ルート、√)の作図
「すべての有理数が作図できる」と書いています。作図の方法を色々書きました。どうぞ。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-6193.html
2012年10月12日 (金) 「無理」数・「有理」数
有理数というのは実は「有比数」、無理数というのは「無比数」なのです。
整数の比で表せるか、表せないかの違いなんですね。
別に「合理的だ」とか「不合理な無理な数」じゃないのです。
この説が正しいかどうかは議論のあるところかもしれませんが、大筋で正しいと思いますよ。
「無理な数」なんておかしいとか。
「虚なる数」なんておかしいとか。
言わないでください。
言葉自体にとらわれず、定義内容を知ってください。
数学では「一般性」が大事ですので、概念を拡張しなければならない時に、その新しい概念に名前をつけます。
自然数の比としての「数体系」からはみ出してしまう数がある。それも含めて一般化した数体系を構築するために「無理数」が定義されたのです。
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