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2020年10月28日 (水)

電子レンジ

昨日、やかんの熱源の話を書いた記事です↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-c18ed3.html
2020年10月27日 (火) ヤカン

ここでこういう表現をしました↓
「電子レンジのマイクロ波は2.45GHzです。これが水の分子集団を揺さぶる。水の分子の動きが激しくなればそれが熱エネルギーですから水を加熱できる。」

「マイクロ波が水分子を揺さぶる」とは書いていないことに注目してください。
よくお目にかかる説明は

マイクロ波が水の分子を振動させて、分子同士の摩擦によって加熱される。

こういうストーリーです。

そもそも分子のレベルで「摩擦」というのはありえません。
摩擦というのはマクロな固体表面が互いに接してるときに起きる現象。
分子の絵はよく見ますが、実際に絵のような形の「表面」を持っているわけではない。電子の分布のイメージを描いただけで、「リジッドな表面」はないのですから、分子の摩擦で熱が出るというのは間違い。
人間がタオルで肌を摩擦すれば温かくなりますけどね。話は違うんです。

化学の方で赤外線吸収スペクトルをとることはよくあるのですが、水の吸収スペクトルがかぶさって邪魔になることは多いのです。水の吸収スペクトルは赤外領域にありますのでね。

マイクロ波レベルの周波数では個々の水分子を揺さぶることはできません。
水分子は水素結合で集団を作っていて、その集団に電気的な分極が現れることがあり、マイクロ波はその分子集団を揺さぶるのです。

よくある解説とその誤解はもうやめにしましょうよ。

↓ちょっとややこしいかもしれませんが参考にどうぞ。
http://www.cml-office.org/atom11archive/water/microwave.html
電子レンジで加熱できるわけ

 電子レンジの加熱周波数は、日本では2.45 GHzである。水分子の分子内振動は、OH伸縮振動、逆対象伸縮振動、変角振動などがあるが、いずれも赤外線の周波数のところにあり、マイクロ波よりは3~4桁ほど高い。水素結合を介した分子間振動はTHz領域にあるが、それでもマイクロ波より2桁高い周波数のところである。従って、電子レンジで使われている電磁波が水分子の分子内振動や分子間振動に直接エネルギーを与えることはない。
・・・
 マイクロ波の電場と相互作用する直接の相手は、水分子が集団で作る分極Pであり、個々の水分子ではない。Pとの相互作用を通して、個々の水分子が影響を受ける、と思った方が理解しやすい。

https://science.shinshu-u.ac.jp/~tiiyama/?page_id=8005

水の場合、
運動の自由度は 並進 3, 回転 3, 振動 3
となります。振動エネルギーのエネルギーギャップは
1595 cm−1, 3657 cm−1, 3756 cm−1,
で、やはり赤外線のエネルギーに相当します。
一方、電子レンジで使われている電磁波はマイクロ波(振動数 2.45 GHz) で、
上と同じ波数の単位に直すと 0.08 cm−1 となり、電磁波 1 粒のエネルギーとしてはずっと小さいことがわかります。
というわけで、電子レンジは、水の振動エネルギーを直接励起しているわけではなく、
水の集団運動を励起することによって、水を含む食品の加熱を行っているようです。


「電磁波 周波数 波長」で検索して画像を見ますと、ガンマ線から、可視光、電波まで、広範囲の電磁波の周波数と波長の関係がわかりますよ。

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