ニチニチソウ
↓16日(金)の記事で
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-2ec0fe.html
2020年10月16日 (金) ニチニチソウ
「その毒性物質から、抗がん剤が作られています。そのことについては、稿を改めます。」
↑こう書きました。その話をします。 2020.9.21
先ずは花を。開こうとしている花がかわいかったので。
★では、Wikiから
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%81%E3%83%8B%E3%83%81%E3%82%BD%E3%82%A6
毒性
ニチニチソウには、「ビンカアルカロイド」[2]と総称される、10種以上のアルカロイドが、全草に含まれる。
そのうち、ビンクリスチンとビンブラスチンには、細胞分裂阻害作用(チューブリン脱重合による)がある。抵抗剤として用いられるが、脱毛などの副作用・毒性があるので、素人の利用は危険。貪食すると、嘔吐や下痢程度では済まない。
症状 - 中枢神経刺激作用、心機能障害、痙攣、筋肉麻痺、嘔吐。
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[2]この名は旧学名 Vinca rosea に基づくが、ツルニチニチソウと混同されるため、最近は「ニチニチソウアルカロイド」ともいう。近縁種
ツルニチニチソウ(Vinca major L.)
「ビンカアルカロイド」というのは「ビンカ」が作る「アルカロイド」という意味ですが、現在の分類では「ビンカ」は「ツルニチニチソウ」だそうです。混同しないでください。
★さて↓読書から
「植物はなぜ薬を作るのか」 斉藤和季 著、文春新書 1119
第二章 薬になった植物成分
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■ニチニチソウが作るビンカアルカロイド
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さて、ビンカアルカロイドに戻りましょう。これは、ニチニチソウ(日々草、英語でビンカ "Vinca"。キョウチクトウ科)が作るアルカロイドのことです。
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細胞分裂の際に活躍する「微小管」という器官があります。・・・
その微小管の材料となるのが、チューブリンというタンパク質です。ビンカアルカロイドは、このチューブリンに固く結合します。細胞分裂の際には、チューブリン同士がくっついたり離れたり(それぞれ「重合」「脱重合」と言います)する必要があるのですが、チューブリンにビンカアルカロイドが結合することで、チューブリン同士の重合が妨げられ、・・・微小管が形成されないのです。その結果、それ以上細胞分裂が進みません。
こうしてビンカアルカロイドが細胞に入ると、細胞分裂が止まってしまいます。がん細胞のように活発に分裂する細胞は特に影響を受けるので、その分裂が阻害され、いずれ消滅していくというのが、抗がん薬ビンカアルカロイドの作用の仕組みです。 しかし、ビンカアルカロイドは、がん細胞と正常細胞を区別することはできないので、実際には、すべての細胞の分裂が阻害されます。実のところほとんどの抗がん薬はがん細胞だけの分裂を止めるわけではなく、他の細胞の分裂も止めてしまうのです。ただ、がん細胞は非常に活発に分裂し、その結果、増殖速度が速いので、ビンカアルカロイドのような細胞分裂を阻害する物質が抗がん薬として有効なのです。
(後略)
というわけです。Wikiにも記載がありますが、素人に扱えるようなものではないので、私共素人は花を愛でるだけにしましょう。
上に引用した「植物はなぜ薬を作るのか」という書籍ですが、著者は、植物は人間に恵みを与えるために、こういうかがくせいぶんをつくっているのではない、という立場から本を書いています。
どうも「植物は『善』、動物は『悪』」みたいな善悪二元論が流行っていて不快です。
植物は植物で、自分が病気にならないため、動物による食害を防ぐために「有毒な物質」を作っているのです。毒物には当然生理的な活性がある。その毒性を利用して、人間は自分たちの病気への薬に使おうとする。
生理的な活性のない物質なんかそれこそ「毒にも薬にもならない」ですね。
生物は自己保存、種の保存のために進化の過程で常に外敵と戦ってきたのです。それを人間が利用しているだけです。
そのあたりは間違えないでくださいね。
ランタナの種子には毒があります。でも、鳥は果実を丸のみにして種子を排泄しますから、植物としては種蒔きをしてもらえます。
哺乳類は種子を歯ですりつぶしますので、種蒔きにはならない。ですから、種子をすりつぶ哺乳類に対しては毒になる物質を含むのだ、と聞きました。
果実が未熟で種子も未熟な間は果実は緑色で、種子が熟すころに果実が赤くなって鳥を誘い、鳥に種子を撒いてもらうという戦略もありますね。
生きるということは激しいことなのです。
★本の紹介
「植物たちの戦争」病原体との5億年のサバイバルレース
日本植物病理学会 編著、ブルーバックスB-2088
本書のタイトルは「植物たちの戦争」という、やや物騒なものです。日の光を浴びて穏やかに暮らしているように見える植物の印象からは、縁遠いものにも感じますが、油断すれば、すかさず侵入してくる無数の微生物たちと、植物は日々「戦争」をしています。
園芸関係では、植物の病気も話題になりますが、この本はそういうイメージでは読めません。
少々歯応えがきついですが、良書です。
↓参考
東京都薬用植物園
https://www.tokyo-shoyaku.com/wx/pm.php?xid=189
↓くすり博物館
http://www.eisai.co.jp/museum/curator/saijiki/140627s.html
植物に由来する抗がん剤 (2014.06.27 伊藤恭子)
植物アルカロイドを起源とする抗がん剤は、その作用のしくみから主に「微小管阻害剤」と「トポイソメラーゼ阻害剤」の二種類に大別されます。細胞分裂が行われる際、細胞の中ではDNAが複製され、複製されたDNAは微小管によって引き寄せられ、分裂後のそれぞれの細胞に分けられますが、この微小管のはたらきを阻害するのが微小管阻害剤です。トポイソメラーゼは、細胞分裂の過程でDNAの切断と再結合を助け、二重らせん構造をときほぐす働きを持ちますが、その働きを阻害するのがトポイソメラーゼ阻害剤です。
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