等角螺旋のハサミ
↓9月18日の「キハラゴマダラヒトリ」でちょっと等角螺旋の話を書いたら、思い出したことがありまして。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-702a7b.html
2020年9月18日 (金) キハラゴマダラヒトリ
朝日新聞の記事から引用します↓
(発創カンパニー)プラス はさみのカーブに数学の法則(2020年4月6日)
はさみの刃が直線だと、閉じるにつれて交差する角度が狭まり、物を切るのに力を要する。文房具・事務用品大手のプラス(東京都港区)が2012年に発売した家庭用はさみ「フィットカットカーブ」は、チューリップの花びらのように刃が外側にカーブするので角度が変わらず、刃先でも力まずに物を切ることができる。
・・・
男性が職場で事務用紙を切るという固定観念からの発想転換。手の力を効率的に伝えて最も切れる2枚の刃の角度を割り出すため、40度から20度までを5度刻みで試すと、約30度が最適と判明した。この角度を根元から刃先まで維持する曲線が必要となった。頭を抱えるチームにホチキスの担当者が「ベルヌーイカーブにすれば」と提案した。主に17世紀に活躍したスイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイが研究した対数螺旋(らせん)。力が最も効率よく伝わる曲線とされ、台風の渦がその例だ。それを新しいはさみに生かした。組織の横のつながりは風通しの良さを示す。
・・・
「ベルヌーイカーブ」というのが出てきました。それは「対数螺旋」と呼ばれる曲線である、と。
でもね、もう一歩踏み込んでほしかったんですよね。ハサミの刃が紙を挟む角度が一定であるという曲線が欲しかったんでしょ。だったらここで「等角ラセン」という言葉も出してほしかったな。
http://www.compassare.org/v-a-f.html
このページでは≪等角らせんの性質≫をきちんと数学的に扱っています。で
・曲線は, 上記の性質から「等角らせん」(equiangular spiral)と呼ばれ, また「対数らせん」(logarithmic spiral), 「ベルヌーイらせん」(Bernoulli spiral)とも呼ばれる.
・上記の「等角らせん」の性質を応用して, 刃の成す角が一定になるようなはさみ「フィットカットカーブ」(プラス株式会社)が実用化されている.
等角ラセンの話からハサミに言及してますね。
r = a・exp(k・θ)
この関係の時が等角螺旋です。
ちなみに
r = a・θ
なら、アルキメデスの螺旋となります。
さて肝心の角度の話なんですが、私の作画ソフトでは、なかなか思うような図が描けない。
で、検索してみたらいいサイトを見つけました↓
https://sci.tea-nifty.com/blog/2016/11/plusorgif-b8b6.html
2016年11月21日 (月)
「PLUSのフィットカットカーブ(ベルヌーイカーブというかベルヌーイ螺旋or対数螺旋)の刃先で、いつも角度が同じことを計算してGIFアニメにしてみる。 」
・・・
ではこれをGIFアニメにしてみよう。
(GIF動画)
おお、なるほど。同じ角度ではさみが閉じていく。
・・・
というわけで、わかりやすいかと思います。ご覧ください。
https://www.maejimu.com/SHOP/plus-SC-175S.html
↓この広告の中にこんな図を見つけました。
わかりやすいですね。
本当は自分でこのハサミを買ってきて写真でも撮ればいいのですが、コロナのせいもあって、もう長らく、電車に乗って蒲田へ、という行動をしていませんので、本も買ってない、ハサミも買ってません。
★参考
https://methodology.site/equiangular-spiral/
ここによい図がありましたので図にリンクします↓「等角」という意味が視覚的にわかります。
https://methodology.site/wp-content/uploads/2019/10/equiangular-spiral-06-800x663.png
↓以下は螺旋に関する私の過去記事です。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_b0d1.html
2008年8月28日 (木) 巻き貝シミュレーション
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_9af9.html
2008年8月28日 (木) 等角ラセン
ラセンの中心から直線を引き、ラセンと交わった点で接線を引きます。すると、曲線上のどこであっても、中心からの線と、接線のなす角度が一定なのです。
ですから「等角」ラセンなのですね。
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