「秋分の日」と「秋分」
昨日は「秋分の日」でした。そうすると「昼と夜の長さが等しくなる日」という表現がよく聞こえてきます。
でもね、ちょっとここで立ち止まって考えなきゃならない
理科年表をみますと、2020年の秋分は
9月22日 22:31
とあります。
太陽も地球も「天体」として扱って、位置関係を「中心点」で考えるという、天文的な見方をすると
秋分は、地球の中心が「秋分点」という点を通過する時刻なんですね。
で、その秋分の時刻を含む日が「秋分の日」なのです。
分点が夜中にありますのでね、それだけで22日の昼の長さは、夜より長くなります。
さらに、日の出・日の入りというのは、天文的な話ではなく、人為的な定義と観測によるんですね。
その結果として↓
東京 9月22日(秋分の日)
日の出 5:29
日の入り 17:38
昼の長さ=12時間09分
こうなります。
この原因は日の出入りの定義にあります。
★上図のように、単純に太陽中心の動きだけを考えれば、春秋分では昼と夜は12時間ずつで等しくなるはずです。
★日の出入りを太陽の中心でなく上辺で定義することで、太陽の半径分だけ日の出は早く、日の入りは遅くなります (太陽の視半径は約15′~時間にして約1分)。
★さらに、大気の影響により地平線が浮き上がって見える効果=地平大気差によって、日の出は早く、日の入りは遅くなります (地平大気差は約35′~時間にして2分強)。
★これらを合計すると3分強になりますが、日本付近では太陽は斜めに昇ってきますのでもう少し長くかかって約4分の違いになります。
★日の出で約4分、日の入りで約4分昼が長くなりますから、合計8分ほど昼間が長い、つまり昼=12時間8分となるわけです。
★また、同じ理屈で、春秋分の日の出入り方位は真東や真西ではなくなります。
このページの図がわかりやすいので、是非ご覧ください。
人為的な日の出入りの定義で、昼夜の長さが等しくなるのは
9月26日
日の出 5:32
日の入り 17:32
昼の長さ=12時間00分
(理科年表による)
というわけです。
実は、22日の朝、ラジオで目が覚めたら、伊藤みゆきさんの気象情報があって、その冒頭で、「実は今日は昼夜が等しくない。原因は・・・。26日の昼夜が等しくなります」と、短いけど的確な解説をなさっていました。日の出入りの定義、空気による屈折などにも触れて。
伊藤さんは、通説・常識をただなぞるのではなく「自分の言葉」でお話になる。聞いていて気持ちがいい。私、伊藤さんの隠れファンです。
秋分点というのは↓
https://www.nao.ac.jp/faq/a0301.html
太陽は星々の間を移動していて、その通り道を「黄道」といいます。また、地球の赤道を天にまで延長したものを「天の赤道」といいます。黄道と天の赤道は、お互いが傾いているために2点で交わり、その交点のうちの一方を「春分点」、もう一方を「秋分点」と呼びます。そして、太陽が春分点・秋分点の上を通過する瞬間がそれぞれ「春分」「秋分」と定義され、「春分」「秋分」を含む日のことを、それぞれ「春分日」「秋分日」と呼ぶのです。
二至:夏至、冬至
二分:春分、秋分
「二至二分」ですね。これだと黄道上の太陽の位置は90度ずつになります。季節と対応させるにはちょっと粗すぎる。
で45度区切りを入れたのが
四立:立夏、立秋、立冬、立春
さらに3等分して15度の区切りにしたのが「二十四節気」です。
大雑把な話、365日で365度まわるとすると、1日で約1度進むんですね。
ですから二十四節気は15度区切りで約15日ごとの太陽の位置の目安になります。
二十四節気は太陽の位置を示す「太陽暦」ですから、農業などの季節の指標になり得るのです。
ちょとオマケ。
英語では
equinox
►n 春[秋]分,昼夜平分時;〔天〕 分点
[OF<L (noct- nox night)]
リーダーズ英和辞典第3版より引用solstice
►n 〔天〕 《太陽の》 至(し)《太陽が赤道から北または南に最も離れた時;⇒SUMMER SOLSTICE, WINTER SOLSTICE》;〔天〕 至点;[fig] 最高点,極点,転換点.
[OF<L (sol sun, stit- stito to make stand)]
リーダーズ英和辞典第3版より引用
「equi」は等しい、「nox」が夜なんですね。
「sol」は太陽、「stice」が立つですかね。
語源を見るのも面白い。
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