2019.10.16
妻が「正体不明の謎の虫がいた」と連れてきました。どこで見つけたのかと聞くと、ボウガシの葉だそうで。
この平べったい幼虫は、私の経験ではシジミチョウの仲間の幼虫と思えますが、ボウガシというのが、わからない。
写真は「シジミチョウ科の幼虫」というフォルダに収めておきました。
幼虫は、ボウガシにいたというのですから、ボウガシの葉を何枚か幼虫と一緒にケースに入れておきました。
その後、そっと葉を持ち上げて覗いてみましたが、なんだか、繭みたいな状態にも見えまして、開いてしまうのはかわいそうだと放置しました。
11.4
わっ、羽化してる!明確にシジミチョウ。
これはムラサキシジミですね。翅の表側が見えれば色が見えるのですが、残念ながら見せてくれませんでした。
葉が重なって窮屈かなと思っていましたが、翅もちゃんと伸びきりました。よかったよかった。
羽化後の葉を開いてみたら、こうなっていました。
糸で葉を丸めて筒状にしてその中で蛹になったのですね。繭というわけではないようです
ここから羽化していきました。
★さて、「イモムシとケムシ」小学館、2018年6月27日 初版第1刷発行
こういう図鑑がありまして、調べてみたら。
p.62から引用
ムラサキシジミ
林縁を好み、カシ類やコナラなどの若葉を筒状にまいて巣をつくります。アリといることが多く、最近の研究によると、化学物質でアリをあやつっているそうです。
シジミチョウの幼虫が出すみつには、アリが歩き回ることをおさえる成分がふくまれているため、みつをなめたアリは、しばらく幼虫のそばにいます。幼虫はきけんを感じると腹部背面にある伸縮とっきという器官を出し入れします。すると、近くにいるアリが反応して攻げき的になり、敵を追いはらいます。
「最近の研究」というのを見つけました。
https://ascii.jp/elem/000/001/036/1036280/
これまで相利共生だと思われていたのだが一方的な関係かも
シジミチョウの幼虫はアリを蜜中毒にして操っていることが判明
2015年08月05日 15時13分更新 文● 行正和義 編集/ASCII.jp
神戸大学らの研究グループは8月4日、ムラサキシジミの幼虫が分泌物を使ってアリを使役、護衛として利用しているとの研究結果を発表した。
ムラサキシジミチョウの幼虫は身体から甘い物質を分泌し、分泌物を食べたアリは巣に戻らず幼虫の周囲にとどまり、これらのアリが他の虫を攻撃することで幼虫は天敵に捕食されにくくなる。
このような共生関係は他の昆虫(アリマキなど)でも見られるが、蜜による報酬と護衛という形で相互利益のある相利共生と思われていた。しかしアリは他の餌を探すことができるのに、ムラサキシジミの幼虫はアリがいないと無防備になり、不自然なまでに利益が偏っている。
神戸大学大学院理学研究科の北條賢特命助教と琉球大学、ハーバード大学の共同研究グループは、幼虫がアリを引き止めるためのなんらかのメカニズムを持つと考えて研究を行った。その結果、分泌物を摂取したアリは歩行活動が減少して幼虫の近くに長くとどまり、しかもより攻撃的になることが分かったという。さらにアリの脳内物質を調べたところ、さまざまな活動を調整するドーパミン量が減少していることが判明した。
また、ムラサキシジミ幼虫には触手状の突起を持ち、突起を伸ばすとアリはより攻撃的に動きまわるといった行動も観察されており、幼虫が化学的・視覚的な刺激で積極的にアリを操っているとも考えられるという。
本研究は論文誌「Current Biology」に発表され、これまで相利共生と考えられてきた関係を覆す発見に大きな反響が上がっている。研究者からは「蜜の栄養が十分であればアリにとっても利益があるはず」といった声も寄せられているという(アリにとっては巣の利益が100%だと思うのだが)。
神戸大学のプレス発表資料かな↓
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2015_08_04_02.html
うまい話には罠がある -シジミチョウの幼虫がアリを操っていることを発見-
2015/08/04 理学研究科、広報課
神戸大学大学院理学研究科の北條賢特命助教と琉球大学、ハーバード大学の共同研究グループは、シジミチョウが共生するアリに蜜を与えることで、脳内物質ドーパミンの働きを抑制し、アリの行動を操作していることを発見しました。この研究成果は、「共生」という現象を見直すきっかけとなりうるほか、ドーパミンがもたらす生理機能を解明する手がかりともなるもので、7月31日に「Current Biology」に掲載されました。
シジミチョウとアリは、異なる生物種がお互いの利益を交換しあう「相利共生」の代表例として知られています。シジミチョウの幼虫は、糖とアミノ酸の豊富な蜜を分泌してアリに栄養報酬として与え、蜜に集まったアリは幼虫を天敵から防衛します。しかし、アリは幼虫の蜜をもらえなくても他の餌を探すことができる一方、シジミチョウはアリがいなければ天敵に捕食されてしまうため、お互いの利益が釣り合っているとはいえません。
そこで、北條特命助教らの研究グループは、幼虫がアリを引き留めるための何らかのメカニズムを持つと推測。ムラサキシジミとアミメアリを用いて、I.アリのみの環境、II.幼虫とアリの共生環境(蜜あり)、III.幼虫とアリの共生環境(蜜なし)の3種類の環境下で詳細に調査しました。その結果、蜜を摂取したアリのみ歩行活動が減少し、ムラサキシジミの元に長くとどまり、しかもより攻撃的になることを発見しました。
さらにアリの脳内物質を測定したところ、蜜を摂取したアリは、動物のさまざまな行動を調整する働きをもつドーパミン量が減少していることがわかりました。また、ドーパミンの放出を抑制する薬物(レセルピン)をアリに投与した際にも蜜を摂取したアリと同様に歩行活動が減少することもわかりました。
この研究により、これまで「相利共生」と考えられてきたシジミチョウの幼虫とアリの関係が、栄養を与える幼虫側の利己的な行動操作によりアリが操作されることで維持されていることが明らかになったと言えます。北條賢特命助教は「アリにとって幼虫の蜜を摂取することがどれほど利益のあるものなのか、さらに研究を進めたい」と話しています。
↓これは琉球大学のほうの詳しい資料です。
http://www.res.lab.u-ryukyu.ac.jp/hojo_et_al_150731.html
2015年7月31日
イモムシはアリを薬で操ってボディーガードをさせていた
★「ドーパミン」という物質名が出てきました。
ひょっとして、人間の健康の関係で耳にしたことがある方も多いかも。
↓参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%9F%E3%83%B3
https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/s2_13/03.html
同じドーパミンが、シジミチョウの幼虫でも使われている。アリの脳内物質として。
いやあ、人間も昆虫も同じ動物なんだよなぁ、とつくづく考えされられました。
すごいですね。