NHKの「チコちゃんに叱られる!」で「水は透明じゃない、青い」なんてこと言ってたんですよ~。10月12日(土)の朝8:15からの放送。
普段ですと、この番組見ることはないのですが、たまたまかけっぱなしにしてあって、音声が耳に入った。
ナンダ?!
NHKともあろうものが、間違ったことを言っちゃあいけないでしょ。
「水は無色透明ではない。わずかに青味を帯びた『有色透明』な液体である」というのが正しいのです。
多少厳密さを欠きますが、「透明」というのは「透けていて、向こうがクリアに見える」ことですよね。
色があろうがなかろうが関係ない。暗記勉強などで使っている赤や緑の下敷きは「色があって透明」。だから勉強なんかに使っているんでしょ。
「有色透明」ということはあるのです。
逆に「無色」で「不透明」というのもあるのです。
牛乳をガラスコップに入れて横から眺めてください。「白くて不透明」でしょ。「白い」のですから無色。向こうが透けて見えないのだから不透明。
白というのは色ではありません。可視光線の入射光がすべて返ってくるのが「白」。
逆に、可視光線が入射して、みんな吸収してしまうと「黒」。黒も色じゃありません。
入射した可視光線のうち、特定の波長(あるいは振動数)の光が吸収されると、その残りが目に入ります。この時私たちは「色」を見る。
無色・有色という出来事と、透明・不透明という出来事は、別の出来事であって、独立に起きることなのです。
ですから
無色透明
有色透明
無色不透明
有色不透明
というできごとがそれぞれあるのです。具体例は考えてください。
化学の実験を生徒にやらせていると、例えばフェノールフタレインがアルカリ性で赤く発色しているところへ、酸を加えると色が消える。そうすると生徒は「透明になった」とか「白くなった」というんですよね。
私「違うの。もともと赤くて透明だったものが、無色透明になったの」と力説せざるを得なくなるんですね。
この誤解・混乱はとても広いもののようです。
↓ここから引用します。図もありますので、見に行ってください。
http://sekigin.jp/science/chem/chem_03_6_6.html
図から分かるように,水の可視光領域の吸収は,青の吸収係数が小さく,波長が長くなるほど,即ち赤から赤外線領域にかけて吸収係数が大きくなる。
このことは,水の色は無色透明ではなく,赤みが除かれ僅かに青緑色を呈す透明な液体であることを意味する。しかし,海の色や湖で観察される色は,溶解した成分や不純物の影響を受けているので水の本来の色とは異なる。
↓聞こえてきた番組はこれです。
https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2019-10-12&ch=21&eid=11104&f=4382
チコちゃんに叱られる!▽近畿と関西なにが違う?・水が透明なのは?・メロンほか
[総合]2019年10月12日(土) 午前8:15~午前9:00(45分)
・・・
★食品業界にもこの誤解は広く存在しているようです。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/31/news099.html
2017年11月01日 09時00分 公開
透明な紅茶はこうして作る サントリーが「プレミアムモーニングティー」の仕組みを公開
透明なミルクティーの理由も解説。
大メーカーがなにをおっしゃる。!!??!!
普通にティーバッグで紅茶を淹れれば「有色透明」な飲み物になるじゃないですか。っっ!。
これ「水蒸気蒸留」という方法で、香り成分を抽出しているのです。
普通の蒸留だと、その物質の沸点まで加熱しますね。そうすると分子量の大きな有機化合物は熱分解してしまう。
そこで水蒸気を当てて、水蒸気圧と物質の蒸気圧の和が一気圧になって抽出されてくる。ですから100℃くらいでの抽出なので、熱分解しない、ということなのです。
香水の精油の抽出は多くがこの水蒸気蒸留なんです。
それを飲料に応用したということでしょう。
味はどうなんだい?という感じですが、私がこれを飲むこともないし、知りませ~ん。
人工的に作った甘い液に紅茶の香りだけつけたようなものなんじゃないかと想像しますが。
「白いコーラ」というのもありましたっけ。
「コカ・コーラ クリア」というのでした。
https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20180601-11
コカ・コーラシステムは、爽やかな喉ごしに強い炭酸とレモンの刺激をゼロカロリーで楽しめる透明炭酸飲料「コカ・コーラ クリア」を2018年6月11日(月)から全国発売します。「コカ・コーラ クリア」は、これまでになかった夏にぴったりの特別な体験をご提供します。
会社側は「白い」といってません。「透明」といってます。良心的な表現だと思いますよ。できれば「無色透明な」といってほしいですけどね。
★文句ついでに。
https://www4.nhk.or.jp/chikochan/
※番組より
9月22日の放送回で「1gって何?」というテーマを取り上げました。
その際、「1gの重さはフランスにある金属の“重さ”の1/1000」と説明しましたが、
物理の用語としては、“質量”というのが正しい表現です。
番組を作っている方々の科学レベルが見えちゃうなぁ。元理科教師としては悲しい。