スネルの法則+余談
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2019年9月20日 (金) 全反射:余話
↑ここで、スネルの法則について触れました。
「『スネルの法則』は非常にポピュラーですが、『スネルの窓』はあまり知られていないかも。」
全反射の話をするときには、その概念だけで話をしてきましたが、実際には、臨界角は物質によって異なるのだし、それは計算できるのです。
★屈折に関するスネルの法則をまず少し扱いましょう。
非常に単純な形で書きました。波の速度がどうのこうのとか、ホイヘンスの原理がどうのこうのというのは省略。
単純に入射(incident)角i、屈折(refraction)角r だけでいきます。
この部分が法則の肝です。
でもねぇ、三角関数の分数形ですからね。「これは公式なんだ!」と必死に暗記したかもしれませんね。
分数というものに既に混乱があるかもしれません。「数」「割合」「比」など。
あまり明瞭に言われないのですが、分数は比の表現でもあるということも身につけてください。
比は
a:b=c:d
というような表現が多いのですが、これだと演算などが施しにくい。
a/b=c/d
という表現にすると、演算が簡単。幾何学で辺の長さの比を扱う時など、分数形でないとやってられません。
さて、三角関数の比として屈折の法則は表現されているのですが。
初めの図にあるように、入射点を中心として半径ℓの円を描き、三角関数を単純な三角比として表現します。
そうして、共通項を消せば
屈折率 = AB/CD
になってしまいます。
もし屈折しないでまっすぐ進めばAB/A’B’=1ですが
「屈折しちゃった」「進路が曲がった」ので、AB/CDとなります。
図のように曲がった場合はAB>CDなので、1.●●というような数値になります。
サインの分数形から、どのくらい曲がったのかという長さの比に変わりました。
この比の値が入射角に関わらず一定だというのがスネルの法則です。
どうでしょう、少しはすっきりしませんか?
こういう視点を授業でやったら生徒は楽なんだと思うけどな。
「公式を覚える」というのはやめにしましょう。
意味さえ分かっていれば、公式なんぞは、その場で自分で作ればいいんです。
そんな授業をしたかったよなぁ。できたかどうか、わかりませんが。
★臨界角の求め方
ここでは逆関数が出てきますが、ガマンしてください。そうなんだぁ、でいいです。
臨界角というのはiが90°のときのrですね。
で、rの求め方は次の通り。
屈折率は理科年表とかネットでの検索でもわかります。
逆三角関数は、関数電卓にはありますので、お持ちでしたらそれを使ってください。
ウィンドウズのアクセサリーにも電卓があります。
こういうの。
ここで「↑」をクリックすると
こうなって、逆三角関数が使えるようになります。角度単位はDEGでどうぞ。
画面上のテン・キーをクリックするか、キーボードのテン・キーを指で叩くかして「1.333」を入力し、「1/x」をクリックし、「sin-1」をクリックすると、答えが出ます。
その状態でキーボードでCtrl+Cを行って、エディタに戻ってCtrl+Vするとこうなります。
(数値をマウスでドラッグする必要もありません)
48.606626391690272740801538458138
出てきた数字をもったいながらないで、有効数字4桁くらいに丸めてしまいましょう。
48.61度が水の臨界角です。
ダイヤモンドなら、屈折率は2.420で臨界角は24.41度になります。
↓ウィキで
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%81%AE%E7%AA%93
「水中から見上げたとき、水面より上にある全てのものが約97度に開いた円錐の中に収まって見える現象である[3]。この現象が起こるのは、光が水中へ進むときにスネルの法則に従って屈折するからである[4]。スネルの窓の外側の領域は完全に真っ黒か、もしくは水中にある物が水面で全反射して映る。」
こう記述されていたのは臨界角の2倍で約97度なんですね。
これからは自分で計算できます。
ダイヤモンドの臨界角は小さい。で、ブリリアンカットのダイヤモンドは、全反射を利用して輝かせているのです。
ダイヤモンドに光が入ると時出る時の屈折率も大きいので、虹色の輝きが強いのです。
ま、生活の中の物理というのも、なかなか楽しいものでしょ。
★蛇足:反射角もよくrで書きますが、これは reflection の頭文字です。
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