立秋
8月8日は「立秋」です。例によってアナウンサーや気象予報士が「暦の上では」という言葉を使うでしょうね。
「暦の上では立秋だけれど、まだまだ暑い」とね。こういうように発言する時の「暦」というのは旧暦・太陰暦のつもりなのではないかな。こんなに暑いのに「秋が立つ」なんて「古い暦はこれだから困る」と思ってませんか?「月遅れで考えればいいのではないか」とか。
季節を動かす原動力は太陽です。旧暦・太陰暦は「月の暦」です。月は季節を駆動する力ではありませんので、旧暦と季節は必ずしも一致しない。閏月が必要になったりもするくらいです。農業などは「太陽」とともに営まれるもの。旧暦の暦を見ていても太陽と一致しないんですよ。ですから太陽の動きを知る道しるべを暦に埋めこむ必要がある。それが二十四節気なのです。
二十四節気は太陰暦という月の暦の中に埋め込まれた太陽暦なのです。ですから、普段私たちが使う新暦では二十四節気がほぼ毎年同じ月日に来るのです。1年は365.25日ですから、小さなズレはおきますけどね。
2019.7.31
これEテレの「0655」で放送された「プカプカたこ」という緩くて気持ちのいい歌です。
その夏バージョンですが
「地球は回る 夏は暑い プカプカ のりきる」
こんな歌詞とともに表示された動画の一部です。
これとってもわかりやすい。
地球の北半球の側から見て、地球は太陽の周りを反時計回りに回ります。
春分を起点「0度」として、90度進むと「夏至」、180度進むと「秋分」、270度進むと「冬至」となります。
90度日と270度日が「二至」、0度日と180度日が「二分」です。
名前を付けるとしたら、「夏至・冬至。春分・秋分」これっきゃないでしょう。
イラスト中、たこの乗っている地球の位置はおおよそ135度のあたりですね。
135度日に何という名前をつけましょうか。夏から秋への中間点ですから「立秋」くらいがやはり適当なところでしょう。
225度日は立冬
315度日は立春
45度日は立夏
と、まあ妥当な線ですよね。
太陽を回る地球の45度刻みの位置に名前を付けたのが二至二分四立。意味はそれだけです。
でも、名前を付けると、その名前に引きずられてしまうのが我々人間の弱点。
「この暑いのに秋が立つ、かよ」になってしまうのです。で、古い暦はダメだなぁ、になるのですね。
名前に過剰に意味づけしないでください。字面から拡張解釈しないでください。お願いします。
このように、二十四節気は太陽の暦なのですが、それはまた別な見方でいうと「光の暦」でもあります。
太陽高度
二至二分四立と太陽高度の関係です。立夏から夏至、立秋へ、7度上がって7度下がるだけ。時計の1分の刻みが「6度」ですからね、変化量は少ないですね。
太陽高度が高いと、地表に降り注ぐ太陽からの入射エネルギーが多い。
で、温められるわけですが、気温がすぐ上がるわけではない。
海水は水ですから温まりにくく冷めにくい。大陸は海に比べれば温まりやすく冷めやすい。
中緯度で大陸のそばの島国である日本の夏では、温まりにくい海が高気圧になり、温まりやすい大陸は低気圧になり、「太平洋高気圧」が支配的になるんですね。
さて「光の暦」は地表への流入エネルギーの暦でもあるわけですが、「気温の暦」はというと。
夏至から1カ月ちょい遅れて「温まりきります」。冬至から1カ月ちょい遅れて「冷え切ります」。
立秋の頃が「気温の暦」のピーク、立春の頃が「気温の暦」谷底、になるんですね。
高度と気温
最高気温と最低気温の平年値と太陽高度のグラフです。
光の暦と気温の暦のずれが明白に読み取れます。
東京の場合
最高気温:8/2~8/9 31.1℃
最低気温:8/2~8/13 23.3℃
これがピークです。
立秋は8/8なのです。立秋を過ぎると、徐々にではありますが気温が下がり始めます。影が長くなり始めます。
観察してみてください
↓参考
http://denkou.cdx.jp/Opt/PVC01/PVCF1_5.html
↓過去記事
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-a24b.html
2017年2月27日 (月) 比熱
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-4605.html
2017年2月27日 (月) 世界の気圧分布
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-d184.html
2016年5月 6日 (金) 気温変化の速さ
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-752c.html
2013年5月30日 (木) 夏と紫外線
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-cfc7.html
2013年5月30日 (木) 「夏と紫外線」余話
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