そうとしかみえない
NHK・Eテレ「0655」から
かなり衝撃的です。 1:2019.7.9
なんて書いてあるかよくわかりませんよね。 2
隠すと読める。
普通、隠されると情報量が減って読みにくくなる、と思うでしょ。
1では、書かれている線を見て、そこから意味を組み取ろうとしてうまくいかない。
2では隠されていることが分かったので、隠れている部分を脳が補ったのです。
意識していませんが、脳はそのように見えない部分を補おうとするのです。
3
これもねぇ。目・鼻・口・頬という感じの擬人化のパターン認識が働きますよね。 4
隠すと「0655」が見えてくる。
「百聞は一見に如かず」といって、私たちは視覚情報を信じやすい。
自分は見た、だから本当だ。
ホントですか?何を見たのかな?私たちは網膜に映った像をそのままに見てはいません。
脳が処理した像を認識している。脳がどのような処理をしたかはよくわかっていない。
見たと思うことをそのままに信じてはいけないのです。
何を見たのか、よく吟味しなければなりません。
言い方を変えると、実は私たちは自分が見たいものしか見ていない。のです。
いろんな事件で「目撃情報」というのは、とても大事にされます。確かに重要な情報です。
でもね、いろいろと「歪」があるのです。
ある事件を、二人の人が同じ場所で同時に目撃した。ところがその二人の目撃証言が食い違っているということはあることなのです。
下にご紹介する本など読んでみると面白いですよ。文庫本だからそう高くもないし。
「錯覚の科学」クリストファー チャブリス,ダニエル シモンズ著 文春文庫
↓参考
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2013_1/131023_3.htm
モノの背後を見る脳の仕組みを解明 -視対象の部分像から全体像を復元する第1次視覚野の活動をfMRIで観察-
★科学という営みでは、世界中で自分一人しかこれを見たものはいない、というような状況が発生するのです。
その時、それがなんであるか、自分が見たものを概念化し言葉を作らなければならない。
・大隈良典さんのオートファジーの発見では、出来事自体は見たことのある人はいたようですが、それにオートファジーという概念を与えたのが「発見」なのです。
・透過型電子顕微鏡ができた当時、細胞の切片を観察して、そこに見えるものが何であるか、すぐには分からなかった。3次元的に構成し直さなければならなかったのですね。
・ガリレオが望遠鏡で月面を見た。模様がある。山なのだと把握し、高さまで見積もっている。
太陽面を黒い点が動く。太陽は「完璧なもの」なのだから、太陽面上に黒い点などあるわけがない、という概念を崩して太陽面上の黒点としてその動きから太陽の自転にまで至っています。
初めてのものを見る、ということは大変なことなんです。それが科学の醍醐味でもあるのです。
人が知らないものを見て、新しい概念を作り、それが人々の認識を変えていく、なんて、すごいですよね。
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