宇宙って?:3(1億分の1の話)
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2019年5月22日 (水) 宇宙って?:1
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2019年5月23日 (木) 宇宙って?:2
記事としては上2本の続き、ということになります。
MOMO3号機が高度100kmを超えて「宇宙空間」に達したというのがありましたが、4号機は失敗したようですね。
7月27日に打ち上げて、到達高度は13kmだったとのこと。
で、思い出したことがありまして、続きを書くことにしました。
★地球の赤道半径は約6400kmです。
これを1億分の1に縮小するとどうなるでしょう?
1000km = 100,0000m = 1,0000,0000cm
ですので、1億分の1にすると(小数点を左へ8つずらしてください。)
1000km -> 1cm
100km -> 0.1cm = 1mm
10km -> 0.01cm = 0.1mm
こうなります。
ということは、MOMO3号が到達した113.4kmは1億分の1にすると約1.1mmになります。
地球は半径6.4cm、直径約13cmになります。
これは私のノート・パソコン画面上で大体直径13cmくらいに表示される円です。
1億分の1の地球を表しています。
この円の円周から1.1mmの高さに到達しまして「宇宙に到達」なのですが・・・。
何となくしょぼくないですか。
チョモランマ(エベレスト)が8848m
マリアナ海溝のチャレンジャー海淵は深さ10911mとのこと。
約2万m=20kmの高低差ですね。1億分の1にすると、0.2mmの差。
もし1億分の1の地球を0.3mmの太さで描いたとすると、地表面の凸凹はその線の幅の中に納まりますね。
地球ってものすごく滑らかなんですね。(見た目でね)
地球は自転しているので赤道の方が少し膨らんで、回転楕円体になっているというのですが
地球の
赤道半径は6378.137km
極半径は6356.752km
その差は21.39km
これも0.2mmになってしまいますね。
地球ってほぼ「真円」なのですね。(見た目でね)
{この考え方は中学生の頃に読んだ、中谷宇吉郎著「科学の方法」岩波新書 で知り、驚いたものです。60年近くも昔の読書が今も私の中に生きています。}
静止衛星だと
3,6000km -> 36cm
月だと
38,0000km -> 3.8m
太陽は
1,5000,0000km -> 1.5km
こういう縮尺なんですけどね。
パソコン画面上に直径13cmの円を表示している時、3.8m離れたところに月があって、1.5km先に太陽がある。
そんな遠くからの太陽光線が地球上のすべての生命を養っているんですよ。すごいものです。太陽が放出している全エネルギー量を想像してみてください。
★1997年だったのですが、朝日新聞の当時のコラム「青鉛筆」に「1億分の1の地球儀(9/24)」という記事が載ったのです。
そうしたら、ものすごい勢いで売れた。私も電話を入れたのですが、もう予約終了。
発売元も、何でこんなに売れるんだ?と思ったらしいのですが、理科教師が反応したんですね。「1億分の1」に。
しばらくたってから、渋谷の大成堂を歩いていたら、再発売になったらしくその地球儀がありまして、早速購入しました。
これです。左の黄色いのは1億分の1の月で、3.8mの紐がついています。
なつかしいな。
★さて、この地球儀を逆に1億倍にすると実際の地球の大きさになる。
では、原子を同じく1億倍にしたら、どのくらいになるのだろう?
原子の大きさは普通「0.1nm」くらいといいます。「n」は「ナノ」で「10億分の1」のことです。
0.1nmは「100億分の1m」ですね。これを1億倍すると「100分の1m」=「1cm」ですね。
こういう話は「桁」で考えてください。1cmなのか2cmなのか、なんていうことは考えない。
ハイ。こういう教具もあるんです。
板倉聖宣さんの「仮説実験授業」の授業書や教材を扱う仮説社の商品でした。
{仮説実験授業というのは優れた授業なんですけど、あまりにも受けすぎてしまって「科学は仮説実験的に進歩してきた」などという誤解というか「信奉」を生んでしまった面もあるんです。で、私自身は評価しつつも一定の距離を置く立場をとっています。}
★スケールを自在に変更しながら世界を見る。楽しいですよ。
「はやぶさ2」は「宇宙」を飛んでますが、高度100kmくらいではまだ地球に貼りついているといった方が良くないか、などと思う私です。
★「科学の方法」岩波新書の話を上でチラッと書きました。
5歳年上の兄貴が、大学の理工学部に入学し、大学生協で書籍の割引セールに出会って、岩波新書の理数関係のものを、ひと棚分を丸ごと買ってきたんですね。貯金はたいて親の援助ももらって。普通書籍は割引販売しないので、チャンス!と買ってきた。中学2年生だった私はもう夢中になって読みふけったんです。小学生の上級の頃に毎週見た岩波の科学映画と、中学生で読んだ岩波新書は私の理科教師としての基盤になりました。当時、教師になるなんて考えてませんでしたが、好奇心のままに「はまる」ということは大事なことです。変に「目的」なんか持たない方がいいですよ。
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