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2019年5月17日 (金)

ヒメマルカツオブシムシ:代謝水

★昨日の記事「コデマリにて」で書いたことの続きです。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-1ca0d7.html

ここで↑書いたことを繰り返すと↓
「普通、毛織物に穴を開ける害虫として有名なのですが、昆虫標本などを保存する立場の方にとっても厄介な害虫です。
乾燥したタンパク質を食べるばかりで「喉は渇かないのか」ということについては、稿を改めます。」

★最近の読書から↓
「昆虫考古学」小畑弘己 著、角川選書 610、2018年12月21日 初版発行
p.24
<引用始>
・・・貯蔵食物の栄養基の中で1年間を過ごすグラナリアコクゾウムシやココクゾウムシは基本的に飛翔しない。通常、種子と乾燥植物質はほとんど水分を含まないため、昆虫は乾燥食物の中の炭水化物の異化を通じて水を得ている。この2種は飛ばないことで水分の過剰な消費を抑え、乾燥食物に適応しているのである。・・・
<引用終>

ここでの記載はヒメマルカツオブシムシについてではありませんが、基本は同じです。毛糸のセーターや絹の布、カツオ節・・・乾燥したタンパク質を食べて、水を摂取することがない。でも、体を構成する細胞の中味は水溶液なのですから水は必要だ。卵の時に持っていた水分だけでは足りるわけがない。
どこから水を調達するのか?
炭水化物を酸素と反応させてエネルギーを取り出し、二酸化炭素と水を生成する。二酸化炭素は捨てるとして、生成した水を逃がさないようにして使うんですね。

高校で生物をとった方はこんな式を見たでしょう。

C6H12O6(グルコース) + 6 O2 → 6 CO2 + 6 H2O

この過程で得られるエネルギーをATPという形にして、細胞の活動に使うのでした。
通常、エネルギーの方にばかり目が行きますが、二酸化炭素と水を生成する反応でもあるのです。
二酸化炭素の方は、呼気を石灰水に吹き込んで白濁することで証明する、という実験がポピュラーですね。
でも、水の生成は忘れがち。この水を「代謝水」ともいうのです。

★代謝水を利用するのは昆虫だけではありません。
哺乳類でも代謝水を利用します。
有名なのはカンガルーネズミかな。
下にニッポニカから引用します。
https://kotobank.jp/word/%E4%B9%BE%E7%94%9F%E5%8B%95%E7%89%A9-237529 乾生動物
<引用始>
乾生動物(かんせいどうぶつ)
砂漠のような乾燥地に適応した動物の総称。水分の不足する環境への適応様式は生態的なものから生理的、形態的適応までみられる。巣穴を深く複雑な構造につくって巣内の水分消失を少なくしたり、日中は巣に潜み夜間に地表活動をする動物も多い。カンガルーネズミは水を飲まず食物の分解に際して生ずる水(代謝水)で必要を満たし、濃い尿を出すことで水分を節約する生理的な仕組みをもっている。ラクダが1週間余りも水を飲まずに活動できるのも、体内に蓄積した脂肪を分解して代謝水を得ているためである。体表からの水分消失を防ぐ角質化した表皮や鱗(うろこ)、毛、羽毛を備えたもの、呼気中の水分を節約する構造を鼻孔内にもつサバクイグアナや、体内に摂取した水を蓄える袋のあるサバクガメなど特殊な形態的適応もみられる。しかし、多くの乾生動物の適応は、唯一の方法によっているのではなく、これらを組み合わせて成立している。[須永哲雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
<引用終>

しぶといですね。水を飲まなくても生きていられるのです。

★じゃあヒトは?
↓最近の読書から。
「うんちはすごい」加藤篤 著、イースト新書Q Q051、2018年11月20日 初版第1刷発行
p.21~22
<引用始>
・・・
 人は1日約2.5リットルの水が必要で、食べ物に含まれる水分で約1リットル、たんぱく質や炭水化物、脂肪などの代謝によって体内で作られる水で約0.3リットル、飲み水で約1.2リットルを補給しています。
 一方、うんちとおしっこで約1.6リットル、呼吸や汗で約0.9リットルの水分を排出しています。
・・・
 厚生労働省では「寝る前、起床時、スポーツ中及びその前後、入浴の前後、そしてのどが渇く前に水分補給を心がけることが重要」と呼びかけています。
 「うんちのあとには水を飲もう!」なんていう呼びかけもありですね。
<引用終>

必要な水をまかないきることはできませんが、やはり代謝水も利用しているのです。
すごいことですね。ぜひ意識してください。私たちの体も水を作っているのです。
この本、題名からすると、子ども向けという感じもしますが、著者の加藤篤さんは「NPO法人日本トイレ研究所」の代表理事でいらっしゃいます。子どもにうんちの大切さを伝える活動もなさっていますが、本の内容は社会的な視点を持ったシリアスなものです。恥ずかしがらずに読んでください。

★マイケル・ファラデーの「ロウソクの科学」は有名な本ですからご存知の方も多いでしょう。
・岩波文庫 青909-1
でも入手できます。
・サイエンス・アイ新書で2018年12月25日初版発行の
「ロウソクの科学」が教えてくれること
という本が入手しやすい。若干の不満がありますが、わかりやすいです。

ファラデーは、ロウソクが燃えると水が生成することを実験で見せています。炎に冷たいスプーンをかざせば曇るのでわかります。
また、人体においてもロウソクの燃焼と同じことが起こっていて、二酸化炭素が発生していることも石灰水の白濁で証明しています。
ですが、私たちが、二酸化炭素を生成すると同時に、水をも生成しているのだと、まとめて提示はしていません。
なかなか微妙なところですね。

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