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2019年4月23日 (火)

アブラムシ

0331w_18karasunoendou
2019.3.31
カラスノエンドウを撮ったつもりだったのですが、後ろにアブラムシも写っていました。
小さな幼虫は、おそらく単為生殖で生まれたもの。胎生単為生殖、というのが正しい表現かな。
嫌われるアブラムシですが、実はスゴイ能力の持ち主でして。
いくつかご紹介しましょう。

共生細菌「ブフネラ」を1億年以上も親から子へ受け継いでいるんですって。すごいことですね。
↓理研の研究成果。一部引用します。
http://www.riken.jp/pr/press/2010/20100223_2/
2010年2月23日
独立行政法人 理化学研究所
独立行政法人 科学技術振興機構
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構基礎生物学研究所
世界的な農業害虫「アブラムシ」のゲノム解読に成功
-ユニークな昆虫のユニークな遺伝子レパートリーを解明-
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アブラムシは、植物の師管液を餌とする小型の昆虫で、集団で植物の栄養分を奪うばかりでなく、植物ウイルスを媒介するため、世界中の農作物に深刻な被害を与えています。またアブラムシは、師管液に欠けている栄養分を合成する共生細菌「ブフネラ※3」を「菌細胞※4」に収納して、1億年以上にわたり親から子へと受継いでいるのをはじめ、さまざまな微生物と緊密な関係を持っています。さらにアブラムシは、環境条件の変化に応じて単為生殖※5と有性生殖※5を切換えたり、翅(はね)を生やさなかったり生やしたりと、変幻自在にさまざまな表現型※6の個体を産出します。こうしたきわめてユニークな生物学的特性を持つため、アブラムシは重要な農業害虫であると同時に、基礎生物学的に重要なモデル生物としても注目されています。
・・・
背景
アブラムシ(図)は、植物の師管液を吸って生きる小型の昆虫です。一見弱々しい虫ですが、理想的な条件下で1年間増殖を続けると、1頭のメスに由来する子孫の重量がヒト1万人分に達する(石川統編「アブラムシの生物学」より)、ともいわれるほど、凄まじい繁殖力で個体数を増やしながら植物の栄養を奪い、さらに植物ウイルスを媒介することで、寄主植物の生育を阻害します。一部の種は、農作物にも寄生することから農業害虫として恐れられており、毎年世界中の農作物に深刻な被害を与えています。

アブラムシのこの爆発的な繁殖力は、メス親が単為生殖により直接幼虫を産む「胎生単為生殖」によりますが、アブラムシの多くの種は、環境条件に応じてこの単為生殖と有性生殖を切り換えることができます。また、単為生殖世代では、主に翅のない無翅(し)型として増殖しますが、個体数が増えすぎて成育環境が悪化すると、翅の生えた有翅型が生じ、飛行して新たな寄主に移動し、そこで単為生殖を再開します。このようにアブラムシは、環境の変化に応じて変幻自在にさまざまな表現型の個体を産出する能力を持ちます。一方、アブラムシの繁殖力を栄養面で支えるのは、微生物との共生関係です。アブラムシは、「菌細胞」と呼ばれる特殊な細胞の中に、師管液に欠けている栄養分を合成して補ってくれる相利共生細菌(共存により自身と宿主の双方が利益を得る関係にある細菌)の「ブフネラ」を多数収納し、1億年以上にわたって親から子へと受継いでいます。アブラムシは、ブフネラから供給される栄養分に成育を依存しているので、ブフネラなしでは繁殖できません。アブラムシは、このブフネラに加えて、寄生蜂などの天敵に対する耐性を高める共生細菌や、気温の上昇への耐性を高める共生細菌を保有することもあります。また、生態学の分野では、寄主植物との相互作用やテントウムシなどの天敵との関係、さらにはアリとの共生などについても詳しく研究されています。

このように、アブラムシは重要な農業害虫であると同時に、きわめてユニークな生物学的特性を持つことから、その分子基盤を理解するためのゲノム情報が待ち望まれていました。
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↓つい最近の記事。
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アブラムシの幼虫、命投げだし巣守る 外敵の侵入路ふさぐ「白い体液」解明(朝日新聞デジタル 2019年4月19日05時00分)
 日本にすむアブラムシの一種の幼虫が身を犠牲にして外敵が開けた巣の穴を特殊な体液でふさぐ行動の仕組みを、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などの研究チームが明らかにした。15日、米科学アカデミー紀要に論文を発表した。
 モンゼンイスアブラムシは公園などのイスノキに寄生し、「虫こぶ」と呼ばれる洋梨のような形の巣の中で植物の汁を吸って生きる。
 ガの幼虫などの天敵が虫こぶに穴を開けて侵入してくると、アブラムシの幼虫が応戦しつつ、体の体積の半分以上を占める特殊な固まる体液を出し切って侵入路の穴をふさぐ。
 研究チームはこの白い体液に着目し、含まれるたんぱく質を調べた。その結果、「フェノール酸化酵素」の働きで樹脂のように固まって穴をふさいでいると突きとめた。この体液が黒く固まり、人間のかさぶたのようになって、約1カ月で治るという。
 幼虫は体液を出すと、脱皮できず、ミイラのようになって死ぬ。幼虫にとっては自爆行為に等しい。巣を修復する幼虫の行動について、沓掛磨也子主任研究員は「このアブラムシが、かさぶたを作るメカニズムを、自分の体の傷を治すのではなく、自分たちの巣の傷を治すという社会行動に転用している点がおもしろい」と話している。
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上の記事に登場したモンゼンイスアブラムシについては他にも面白い話がありまして。
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アブラムシ、「快適な巣」へ宿主植物変形 産総研(日経 2012/11/14 12:02)
 植物のこぶの中に寄生するアブラムシが、自らが快適に暮らせるように、宿主である植物の形や働きを巧妙に変えていることを産業技術総合研究所(茨城県つくば市)のチームが突き止め、13日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
 沓掛磨也子研究員は「アブラムシの唾液には植物ホルモンに似た物質が含まれており、自身に都合よく植物を変形させて、究極の巣ごもり生活を実現したと考えられる」と話している。
 チームはイスノキという常緑樹に中空のこぶをつくり、内部に寄生するモンゼンイスアブラムシに着目。こぶには出入り口がなく外界と隔てられているため、通常であれば、たまり続ける自らの液状の排せつ物におぼれかねない。
 沓掛さんらは、こぶに穴を開けて水を注入。20時間後に調べると、ほとんどのこぶで水がなくなっていた。色を付けた水で実験すると、水はこぶの内側から吸収されたことが分かった。
 一方、同様にこぶをつくる別のアブラムシで調べたところ、穴があってアブラムシが排せつ物を外部に捨てられるこぶは水分を吸収しないことも判明。チームは、アブラムシが植物を変化させ、液状の排せつ物を吸収する能力をこぶに持たせたとみている。〔共同〕
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↓こんな話もあります。
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昆虫にも頼れる「おばあちゃん」分泌液で敵撃退(読売新聞 2010年6月21日14時40分)
 繁殖期を終えたアブラムシのメスが自分を犠牲にして、外敵から巣を守ることを東京大学博士課程の植松圭吾さんらが発見した。
 人間やクジラなどでは、メスが子育てを終えた後も長生きして血縁者に尽くす「おばあちゃん効果」が知られているが、昆虫で確認されたのは世界で初めて。
 植松さんらは、常緑樹のイスノキに巣を作る「ヨシノミヤアブラムシ」を観察。テントウムシの幼虫などに襲われた時、成虫が腹の穴から白い分泌液を出し、体ごと敵に張り付いて行動の自由を奪うことを突き止めた。捨て身の行動をした成虫は、ほぼすべてが繁殖を終えたメス。繁殖後は卵の代わりに防衛用の分泌液で腹部を満たすように変化することも分かった。
 人間の場合、「おばあちゃん」が長生きし、知識や経験を伝えることが進化上有利に働いたという説が提唱されている。
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私の個人的記事データベースで「アブラムシ」で検索すると、面白い話はいくらでも出てくるんですけどね。
一部をご紹介しました。

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