カルマン渦
2019.1.23
TBSです。気象衛星からこういう大規模な渦が見られるのは楽しいですね。
私が大学生くらいまでは気象関係では天気図しかなかった。それが人工衛星から見た地表の写真が見られるようになって「天気図と同じなんだ!」と感動したものです。カルマン渦やベナール・セルが海面上に見られるんだもんな。感動でした。
★カルマン渦について
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3%E6%B8%A6
カルマン渦
カルマン渦は、流れのなかに障害物を置いたとき、または流体中で固体を動かしたときにその後方に交互にできる渦の列のことをいう。ハンガリー人の流体力学者カールマーン・トードル(セオドア・フォン・カルマン)にちなむ。
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気象現象におけるカルマン渦
冬季の屋久島や済州島(チェジュ島、韓国)など、島の風下側に雲渦が列状に並びカルマン渦を形成することがある[4][5]。 ・・・タコマ橋崩壊との関連
アメリカ合衆国で起きたタコマナローズ橋崩壊事故の原因はカルマン渦の発生メカニズムと同一である。横風の中、剥離の発生しやすいH型断面の橋梁に、カルマン渦を生じるような不安定な剥離が起こり上下に橋が振動、共振し崩壊に至った。この事故後に建設された橋では剥離を抑えるよう流線型に近い断面形状を採用するなどの対策がなされた。余談だが、この事故の調査委員会にはカルマン自らも参加していた。[要出典]
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冒頭の済州島の風下側の渦の話が出ていますね。Wikiのこのページの冒頭にシミュレーション動画があってわかりやすいです。
シミュレーション動画中で、渦を作っている丸いものが例えば電線で、流れているのが風なら、電線は風向と直角方向に揺さぶられて「音を発する」ことがあるわけですね。子供用のビニールプールに水を入れているときに、ホースが水の流れと直角な向きに揺れることがあります。これもカルマン渦で揺さぶられている。
タコマ橋の崩壊というのは高校物理で有名な教材でして、峡谷にかかった吊り橋が強風で生じたカルマン渦で揺さぶられて共振したという授業になります。
https://www.bioweather.net/column/weather/contents/mame035.htm
↑わかりやすい解説です。
墨流しで、箸を水面に立てて動かすと箸の後ろにカルマン渦ができますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=6L7MXEobIlo
↑動画です。
http://www.ny.airnet.ne.jp/satoh/expmkidsA0.htm
↑家庭でできる実験です
★話がそれますが、気象衛星で見ることができるダイナミックな現象に「ベナール対流」というものがあります。
海面のようなだだっ広い面で、太陽で温められた空気が上昇気流を作る。上昇気流が起きれば下降気流もセットで生じる。
そのセットがまるでハチの巣のような「セル」を形成するんですね。
↓このpdfファイル、15ページありますが、見ていただきたいのは1ページ目の写真だけ。後はちょっと数学的でややこしいと思います。この写真は素晴らしいです。
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/0852-04.pdf
ベナール対流における形の形成
味噌汁が静かに冷めていくとき、水面にいくつかのセル模様ができるのが一番身近かな。
フライパンに油を張って、ものすごく緩やかに加熱する。何か、微粉末を入れておくと、セル模様ができます。
別の見方をすると。
エネルギーの流れの中には自発的に秩序だった構造が生じうる、とも見られます。
生命というのは、太陽からのエネルギーの流れの中に生じた「秩序」なのかもしれません。エネルギーの流れのないところに生命は存在しえません。
今、日本は冬。日本海に「筋状の雲」が見られます。これは気象情報で毎日のように見られる現象。
これが何かといいますと。
ベナールセルは、静かな流体の中にできた上昇流と下降流の模様。
もし、流体に水平方向の流れがあったらどうなるでしょう。
セルが水平方向に引き伸ばされて長くなります。上昇流部分が「線状」に伸びます。日本海の水蒸気がその上昇流で雲をつくったのが「筋状の雲」なんですね。
http://www.mpec.jp/manabi/kishou/006/006.html
(1)冬の日本海筋状雲とは
西高東低の冬型気圧配置のときに,大陸から日本海に強い季節風が吹いてきます。
大陸で生まれたシベリア気団は,冷たく乾燥した性質を持っていますが,相対的に 暖かい日本海の上に流れてきたとき,潜熱を多く持った水蒸気の供給を受け,湿潤 な性質に変化し(気団変質),日本海側に降雪をもたらします。
海が暖かく空気が冷たいときには,背の低い細胞型の対流があちこちに生じ
(ベナール型セル)ますが,これが一様な大気の流れに流されて,筋状の積雲列となり, 気象衛星画像(特に可視画像が見やすい)でも見られる美しい筋状雲を作ります。
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