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2018年10月16日 (火)

「喉が渇く」ってどういうこと?

★先日、体育の日でしたか、フルマラソンではないですが、市民マラソンのような催しがいくつかあったようでした。
熱中症の疑いで運ばれる人が出た大会もあった。別の大会のニュースでは給水所でランナーたちが夢中になって水を飲んでいる様子が見られました。

ここで、2つの疑問を考えたいのです。

1:「喉が渇く」ってそもそもどういう「感覚」?
2:水を飲んだら喉の渇きがおさまるのはどうして?

なんだか当たり前すぎる疑問に見えますよね。

★まず私の個人的な体験から。
高校生の頃に、虫垂炎の手術を受けました。手術後、病室に戻ったら、喉が渇いて仕方がない。口が渇くだけではなく喉もへたへたくっつくような感覚。そうしたら、生理的食塩水の点滴をしてくれました。
あら不思議。水を口から飲んだわけでもないのに、しばらくしたら喉の渇きがおさまった。なんだかひんやりしたような清涼感が喉から胸のあたりに湧いた。なんでだろう?(この経験は、エッセイ風な文章にして文芸部の雑誌に投稿して掲載されましたっけ。)
この経験から、どこかで血液の水分をモニターしているんだな、ということは当時も理解しました。

★長い議論は抜きにします。
脳の視床下部には浸透圧受容器というのがあって、血液の水分を監視しているのです。そこが「水不足」を検出すると、「喉が渇いた」という感覚を生じるようです。舌に砂糖が触れて化学的な刺激を与えれば「甘い」という感覚が生じ、皮膚をつねればその機械的な刺激が「痛い」という感覚を生じる。浸透圧の変化を監視していて、水が不足すると「喉が渇いた」という感覚が生じる。
他にも、怪我や手術で血液量が減ると、心臓は体液量が減った、という信号を出すそうです。また血圧を監視する受容器もあるそうで、血圧が下がると信号を出す。それらによっても水を飲みたくなるのだそうです。

手術という「侵襲」を受けた私は、血液の浸透圧や手術による体の変化によって「喉が渇き」ました。
生理的食塩水の点滴を受けて、浸透圧が正常に戻ったぞというサインが出て「喉の渇き」が癒されたのでした。
「喉」そのものには何の変化も無いのに。

これで「1」の答えとしましょう。「喉が渇く」というのは体内の水環境監視システムがあたえる「感覚」なのです。

★さて、「2」ですが、喉が渇いて水を飲んだのだから渇きがおさまるのはあたりまえでしょう。か?
飲んだ水は胃に入ります。胃では水は吸収されない。短時間でしょうがタイム・ラグがあって、腸へ送り出され、水の吸収が始まる。はず。
水を飲んだ瞬間に血液に水が入るのではないのです。なのにどうしてほとんど瞬間的に渇きがおさまるのか。
「喉越し」という言葉がヒントになりますね。
「喉」には水が通過したことを感じとる受容器があるのです。
ここでは基本的には水の通過を感じるのですが、炭酸水の刺激も感じてしまう。
単なる水だけでなく、炭酸飲料(清涼飲料やビール)の通過も感じて、その信号を脳に送る。
そうすると、口渇感が消えるのですね。まだ血液の方に実際の変化が起きていないうちに渇きがおさまるわけです。

よくできたシステムですね。
理屈っぽいですか?
でも暑い日に喉が渇いて水をごくごく飲んでホッとしたら、こんなことが自分の体に起こっているのだと考えるのも楽しいと思いますが。

↓いろいろ参考にしたサイトにリンクを貼ります。関心がありましたらお読みください。
最初のpdfファイルは読みごたえがありますよ。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/145/6/145_278/_pdf

咽頭・喉頭感覚が関与する生理・薬理作用
要約:咽頭・喉頭領域の感覚神経(舌咽神経咽頭枝や上喉頭神経)は,舌領域を支配する味覚神経(鼓索神経や舌咽神経舌枝)と異なる生理学的特徴をもっている.咽頭・喉頭領域の感覚神経は舌領域の味覚神経に比べ,味刺激(4基本味)に対して神経応答性は低いが,水やアルコール刺激に高い興奮性を示す.また,長鎖脂肪酸やうま味も咽頭・喉頭領域の感覚神経を興奮させる.このような舌の味覚神経とは異なる咽頭・喉頭領域の感覚応答特性が,食べ物や飲み物の「おいしさ」に重要な要素である「のどごし」や「こく」の感覚形成に関与している可能性が考えられる.
・・・
上喉頭神経の応答性は水刺激に非常に大きな応答性を示す(図1).また,苦味や甘味など味刺激にはほとんど応答を示さない.
・・・

https://kotobank.jp/word/%E9%A3%B2%E6%B0%B4%E8%A1%8C%E5%8B%95-1506552
飲水行動(読み)いんすいこうどう
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

http://idolapedia.sakura.ne.jp/cgi-bin/concept.cgi?mode=text&title=%90Z%93%A7%88%B3%8E%F3%97e%8A%ED
浸透圧受容器関連概念 : 生物学
[osmoreceptor]

http://idolapedia.sakura.ne.jp/cgi-bin/concept.cgi?mode=text&title=%8C%FB%8A%89
口渇関連概念 : 生物学

http://sugp.wakasato.jp/Material/Medicine/cai/text/subject02/no6/html/section10.html

飲んだ水は、いったん消化管内に留まるためにフィードバックシステムだけでは、不完全。
  血漿浸透圧が低下するまで水を飲むと、消化管にとどまっていた水が更に吸収されるため、血漿浸透圧が低くなりすぎてしまう。
  飲水量をあらかじめ口腔・咽頭でモニターする事により、水中毒を防ぐことが出来る。

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