★図鑑を何となく眺めていました。下の図鑑、子供向けのようでいて、内容が濃い。
「キョウチクトウスズメ」というスズメガがいるんですね。
小学館の図鑑 NEO
「イモムシとケムシ チョウ・ガの幼虫図鑑」 2018年6月27日 初版第一刷発行
p.98
キョウチクトウスズメ
・・・猛毒のキョウチクトウを食べても平気です。
キョウチクトウ、ニチニチソウ(キョウチクトウ科)
キョウチクトウを食草にするという猛者(もさ)がいるんですね。すご。解毒するのか、それとも体内に蓄えておくのか。
ジャコウアゲハというチョウの幼虫は有毒なウマノスズクサを食草とし、その毒を体内に蓄えたままで、蛹化、羽化して成虫になります。で、ジャコウアゲハの成虫を鳥が食べると中毒して吐き、以降ジャコウアゲハを食べなくなります。
キョウチクトウスズメの場合はどうなんでしょうね。知りたい。
★そういえばゲッチョ先生がキョウチクトウスズメの話を書いていたよなぁ。
「身近な自然の観察図鑑」盛口 満 著、ちくま新書1251、2017年4月10日 第一刷発行
p.67
スズメガのイモムシさがし
さて、那覇の街中の僕の通勤路沿いには、もともと園芸植物として導入されたキョウチクトウ科のニチニチソウが雑草化しています。・・・このニチニチソウに発生するのが、キョウチクトウスズメの幼虫です。キョウチクトウスズメはその名のとおる、強い毒をもつキョウチクトウの葉も食べることができるイモムシです。・・・
p.71
キョウチクトウスズメの観察
那覇では普通に見られるらしい。私はまだ見たことがないのですけど。盛口さんは千葉で見たことがあるそうです。キョウチクトウスズメの幼虫の飼育の話もあります。
でも、この幼虫がキョウチクトウの毒をどのように扱っているのかについては言及がありませんでした。
★パラパラとページをめくっていたら、キョウチクトウにつくアブラムシとテントウムシの幼虫の話がありました。ページの上がドッグ・イア(dog-ear)してありましたから、私自身が面白がって折っておいたのですけど、忘れていました。
p.92
キョウチクトウでテントウムシを探してみよう{太}
・・・有毒な成分を含む植物の汁を吸うアブラムシは、体内にその植物の有毒成分を蓄えている可能性があります。すると、そのアブラムシを食べることができる昆虫にも、その成分に対する抵抗性が必要ということになりそうです。
実際、ヘクソカズラという植物と、それにつくアブラムシで、そのような関係が知られています。・・・ヘクソカズラの汁を吸うヘクソカズラヒゲナガアブラムシは、ヘクソカズラの成分に抵抗性があるだけでなく、体の中に取り込みます。そして、試しに飼育下でナミテントウやダンダラテントウの幼虫に、このアブラムシを与えてみたところ、幼虫はすべて死んでしまったという報告があります。ヘクソカズラのアブラムシがもつ毒成分に対し、すべての種類かどうかまではわかりませんが、多くのテントウムシは抵抗性を獲得できていないようです。
その一方、有毒植物のひとつ、キョウチクトウにつくキョウチクトウアブラムシでは、ナミテントウの幼虫は食べることはできなくても、ダンダラテントウの幼虫は食べることができるという研究成果が発表されています。この場合は、テントウムシの種類によって、食べることのできるアブラムシに違いがあるということになります。
・・・
そうだったんだ!
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-feda.html
2018年9月21日 (金) アブラムシ@キョウチクトウ
↑ここで、私はキョウチクトウのアブラムシに来ているアリについてちょっと考えを巡らせていて「アリに与える排泄物にはその毒は入っていないのかな。」などと書いています。
キョウチクトウアブラムシは解毒と蓄積を行っているのかもしれませんね。そうだとすれば排泄物にはほとんど毒はないのかもしれない。そうならばアリは、キョウチクトウアブラムシから安心して甘い汁をもらえるのでしょう。
大分以前に、クサカゲロウの卵(ウドンゲ)をケースに入れておいたら孵化しまして、クサカゲロウは成虫も幼虫もアブラムシを食べますので、その頃キョウチクトウにいっぱい発生していたキョウチクトウアブラムシを葉ごと与えたら、しばらくしてクサカゲロウの幼虫はみんな死んでしまった、という経験があります。
クサカゲロウの幼虫はキョウチクトウ及びキョウチクトウアブラムシの毒に対して抵抗性がなかった、ということだったんですね。今頃になって知りました。申し訳けないことをしました。
★更にちょっと検索していたら、2年前の自分自身の記事を見つけました↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-69d5.html
2016年8月 2日 (火) ナミテントウ&アブラムシ
ここで見たのは成虫ですが
キョウチクトウにアブラムシ、と思ったら、黒い影が見えました。
ナミテントウかダンダラテントウ。
こうなればナミテントウでしょう。アブラムシを捕食している最中です。
盛口さんの記述と併せて考えると、ダンダラテントウだった可能性の方が大きいのかもしれません。
間違ったことを書いてしまったようです。いまさら、2年前の記事そのものを訂正にはいけませんので、ここでお詫びします。
上にリンクした記事のテントウムシはダンダラテントウである可能性の方が高いと思われます。
★ヘクソカズラの毒性について、盛口さんの本に記述があるのに、全く記憶していませんでした。迂闊でした。薬草という記述はあります。薬になるということは毒だということでもあるのです。用量を間違えれば危険なのかもしれません。ご注意ください。