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2018年5月 7日 (月)

アインシュタインのような猫

1231_2calendar3 2017.12.31
フォルダの中に置き忘れていた写真。
鐘の真下に猫がいる。まるでアインシュタインのようだ。
って、何の話かわかります?

↓京都新聞 2006年12月25日の記事です。
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/special/omoshiro/shikake13_02.php

知恩院の重文 アインシュタインも見学
 ・・・
 もう一つ。知恩院の大鐘には有名なエピソードがある。相対性理論で知られるアインシュタイン博士が1922(大正11)年に知恩院に立ち寄った。大鐘の直下に立った後、鐘を打たせた。鐘の真下では、音波が相殺して無音の場所ができることを証明したのだという。記者も実際に鐘の真下に立って、鳴らしてもらった。「無音」ではなかったが、確かに音は小さく感じた。

このアインシュタインの逸話そのものはかなり後になって知ったのですが、鐘の真下、あるいは鐘の中の中央部では音はほとんど聞こえない、ということは小学生のころかなぁ、に知ったのです。
鐘の音ってずいぶん遠くからも聞こえる大きな音ですよね、その大きな音を発する鐘の中に入ったら鼓膜が破れたり、突発的な難聴になったりしないか、と心配になりますよね。
ところが、NHKのラジオ放送でこの実験を聞かせてくれたのです。
鐘の中の中央部にマイクをスタンドかなにかで立てて、外から鐘を撞いたのですね。
その録音を放送で流した。ゴンというかコンというか乾いた音が聞こえただけでした。

0213kanetuki
単純化した図を描いてみました。
黒い円が鐘の断面の自然な状態。それを撞木で撞くと赤い線の形にまず変形します。
中央では圧縮と膨張が重なります。
その後の変形で、今度は圧縮と膨張が反転して、中央ではそれが重なります。
この図は理想化しすぎです。実際の鐘は凹凸があって質量分布にむらがあり、こんな単純な振動ではなく、複数の振動が重なったような状態になります。だからこそ「うなり」も生じるわけですが、そのあたりはここでは省略。
京都新聞の記述「音波が相殺して無音の場所ができる」というのはこういうことなのです。

実は教師になって工業高校で化学と物理を教えていた頃のこと。理科教師4人で旅行したのです。
そうしたら、観光地のあるお寺で、鐘を自由に撞けるところがあった。それを見た私、さっそく鐘の下へ入り込んで外から撞いてもらった。周囲の観光客の冷ややかな視線が忘れられませんね。あのバカ、何やってんだ、耳を悪くしても知らんぞ、という眼差しが突き刺さってきましたっけ。でも、本来物理専門の同僚が、あ、あいつあれやってらぁ、と駆け上がってきて二人で鐘の中で音を聞いたのでした。わかる人にはわかるんだよなぁ。
実際の感覚は、撞木が鐘に衝突したという感じのコンという乾いた弱い音が聞こえました。小学生の頃に得た知識を教師になって実験してみたわけです。理科教師の真髄は好奇心にあり、なのです。
お勧めはしません。鐘の性質によって聞こえ方が違うかもしれませんし、安全を保障しきれませんので。
耳栓をして、自撮り棒の先端のスマホで動画撮影でもして、一緒に録音してみる、というのなら、まあいいかな。

★どういう番組だったか覚えていないのですが、昭和30年代のNHKラジオは優れてたなぁ。
鐘の音を聞いたのと多分同じ番組で、ウンカの発する音、というのを聴いた覚えがあります。
ウンカは植物の茎を叩いて振動を起こし、それによって雌雄が交信するのです。それをラジオで聞いちゃった。
稲の茎かな、そこにマイクロホンをつけて、ウンカの発する振動を音として録音してラジオ放送で聞かせてくれたのです。
そういうのを聞いてしまうと「納得」してしまいますよね。
科学番組では常にそういう「本物」を提供しなければなりません。理科授業もまた。
最近のテレビの教育番組のレベル低下は嘆かわしいですね。
説明はそれぞれの年齢で異なるでしょう。だからといって本質を忘れちゃ困る。10年後に再度学んだ時に、あの時先生はここまで踏み込んだ内容を提示していてくれたんだ、という授業をしたいと目指していました。「10年後に効き目の出る授業」ができたかどうか。わかんないな。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyubyochu1955/28/0/28_0_113/_pdf
邦産3種 Sogatella属ウンカの寄主植物分化と腹部振動波による求愛歌の特徴

.雌雄の腹部振動による求愛歌ICHIKAWA(1979)により,セジロウンカは腹部振動VLよる求愛歌を発し,それが寄主植物上を伝達して,雌雄間の交信が成立することが明らかにされている。

「虫たちの生き残り戦略」安富和男 著、中公新書1641、2002年5月25日発行
p.94
振動で呼び合う トビイロウンカ

 セミのオスは発音器官からだす鳴き声でメスを誘うが、セミに近縁なウンカはイネの茎葉に振動を与えて雌雄の呼び合いを行う。
 トビイロウンカのメスはイネにとまりながら腹を上下に振動させる。その振動が茎や葉を伝わってオスに届くと、オスは腹部第一、第二節の背板を上下に振動させて応答し、メスのところに歩み寄って交尾が成り立つ。脚先の褥盤には感覚毛があり振動信号を受容する。
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