月が欠けていきます
月食とは別の話題です。
2018.1.6
正午の月齢・18.9。
満月は「板状」ですが、欠け始めると立体感が出る。
9日が下弦だったのですが、8,9日は東京の朝はどんより。
1.10
正午の月齢・22.9
ずいぶん欠けました。明暗の境のあたりでは太陽光の角度が低いので、月面の凹凸がくっきりします。
★ガリレオは自作の望遠鏡で月を観測して、月の表面に凹凸があることを知り、高さを見積もっています。地球照も観測しています。
それって、すごいことです。月を見たって遠近感はないのですから、円盤にしか見えません。
私たちは既に月が球体であること、クレーターなどの凹凸があることを知っていますから、その既存の概念枠で月を見て、わぁコンデジでクレーターが撮れた、といって喜んでいるわけですけれど。
ガリレオの時代に、月に模様があり、これは月面の凹凸であり、その高さを見積もる、というようなことは、新しい概念枠の形成なのですから、とてつもない想像力を要することなのです。概念枠なしでものを見ると、結局、何もわからず見なかったのと大差ない、というのが私のような凡人の能力。「見れば何でもわかる」というものではないのです。それが何であるのかを理解するのは大変な知的努力を要します。科学者の最先端の研究というものは、新しい「概念枠」をつくること。その喜びは何物にも代えがたいものなのです。
これがガリレオのスケッチ。{岩波文庫版から}
そして
こんな図がありまして。なんだかわかりますよね。
影の長さから山の高さを推定するための概念図ですね。
関心がありましたら、新しい講談社学術文庫版がありますので、お読みください。
↓これは古い版
ガリレオ・ガリレイ 「星界の報告 他一編」
山田慶児・谷 泰 訳
岩波文庫 1976年10月18日 第一刷発行
{「他」は「太陽黒点にかんする第二書簡」}
↓これが新し版
ガリレオ・ガリレイ 「星界の報告」
伊藤和行 訳
講談社学術文庫 2017年5月11日 第1刷発行
{注意:岩波文庫版が今も入手可能かどうかわかりません。
講談社学術文庫版は入手可能です。ただ、「太陽黒点にかんする第二書簡」は載っていませんので、太陽黒点に関する話は読めません。}
「木星の周りを巡る4つのガリレオ衛星」というのは有名ですが、その発見の記述も読めます。
{ガリレオは土星も観測していますが、「輪」というようには観測できなかった。「土星には耳がある」というように記述しましたね。星界の報告には載っていません。}
★私のブログから。ガリレオが観測した太陽黒点について。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-9256.html
2015年1月27日 (火)
太陽関係の話を二つほど。その1:黒点
{この記事で、私のHPへのリンクがありますが、HPは閉鎖しましたのでリンク切れです。悪しからず。}
最先端の科学者の言葉。
★「親愛なる マリー・キュリー 女性科学者10人の研究する人生」猿橋勝子 監修、2002年5月27日 第1刷発行、東京図書株式会社
ここから引用します。
米沢富美子 五〇年後につながるアモルファスの夢
何かを発見するのは一仕事です。けれども、ある現象を発見して得られる「世界でこの現象を知っているのは私だけよ」という喜びには、代え難いものがあります。しかし、この歓喜の瞬間のあとに感じるのは、「これをみんなにどうやって説明しよう」ということなのです。今までのコンセプトを覆すような発見には、学会でもワーッと質問がきてしまいます。内容があまりにも新しいと、だれからもアクセプトしてもらえません。
高橋三保子 ゾウリムシの複雑さに魅せられて
研究していると、変だというところにぶつかります。「これは?」というときがあります。常識と違った、「何かくさい」というところがあるのです。それがおもしろいところです。学生が見つけたことを、私は大切にしたい。それは世界で、その人しか見ていないことなのです。小さくても、誰も知らないことを、今自分は知っている。誰にも見せていない顔を今、ゾウリムシは私に見せている。それが研究の醍醐味だと思うのです。
「先駆ける者」の悦びと孤独が伝わってきます。
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