centripetal force, centrifugal force
11月27日の「スピードスケート」の記事で、向心力とか遠心力の話をしました↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-d8ff.html
2017年11月27日 (月) スピードスケート
等速円運動の向心力とか遠心力などという術語は、英語圏でだって生活用語にあったわけではない。だから、その概念が必要になった時に造語したんですね。そういう時に、欧米の科学者はギリシャ語やラテン語を援用する。
英語では向心力は centripetal force 、遠心力は centrifugal force です。
「centri-」という部分は「center」と同じですね。では
centripetal
►a (opp. centrifugal)中心に近づこうとする,求心性の (afferent);求心[向心]力利用の;中央集権化に向かう
・the centripetal thickening (of a cell) 求心的肥厚
・centripetal acceleration 〔理〕 求心加速度.
[NL (CENTER, peto to seek)]
リーダーズ英和辞典第3版より引用centripetal force
〔理〕 求心力,向心力 (cf. CENTRIFUGAL FORCE).
リーダーズ英和辞典第3版より引用
seek という意味のラテン語に由来しているようです。
centrifugal
►a (opp. centripetal)中心を離れようとする,遠心性[力]の;遠心力利用の;《中央集権に対して》分離主義(者)的な
・centrifugal inflorescence 〔植〕 遠心花序
・centrifugal nerves 〔生理〕 遠心性神経.
►n 遠心機 (centrifugal machine)(のドラム);[Opl] CENTRIFUGAL SUGAR.
[NL (CENTER, fugio to flee)]
リーダーズ英和辞典第3版より引用centrifugal force
〔理〕 遠心力 (cf. CENTRIPETAL FORCE).
リーダーズ英和辞典第3版より引用
fugio というのは「逃げる」という意味のラテン語らしい。
「トッカータとフーガ」のフーガは遁走曲とも言いますね。
フーガ【fuga イタリア】
(「逃げる」意のラテン語 fugere に由来)楽曲形式の一つ。ある声部の主題で始まり、これに第2声部が模倣的に応答、以後も声部が加わるごとに主題と応答が繰り返される対位法的な楽曲。声部数に応じて3声フーガ・4声フーガ、複数の主題による場合はその数によって2重フーガ・3重フーガなどという。ルネサンスに始まり、バロック時代に本格的な発展をみ、古典派時代以降も使われた。遁走曲。フューグ。
広辞苑第六版より引用
私の年代だとザ・ピーナッツの「恋のフーガ」も思い出されます。「追いかける」んでしたよね、歌詞の冒頭。
私の足元としての化学には「フガシティ」という術語もあります。気体の「逃げやすさ」といような量です。
fugacity
►n 逃げやすいこと,はかなさ;〔化〕 《気体の》逸散性[能],フガシティー.
リーダーズ英和辞典第3版より引用
英和辞書を引いて、終わりのあたりに語源が書いてあったら、そこを見て由来を知っておくと、応用が利きますよ。別にラテン語を学ばなくてもいい。欧米の言葉の基盤にラテン語があるということを知っておくだけで役に立ちます。科学の話だけでなく、語学学習にもね。語学学習のテレビ番組を見ていると、英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、フランス語などで、ああ同じ語根なんだな、ということばによく遭遇して結構楽しい。
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