アゲハの仲間
2017.8.3
ボケた写真一枚なのですが、この写真が私の記憶のCUEになっているものですから、敢えて掲載します。
この日の昼の散歩時、目の前に黒いチョウが飛んできて、葉の間を抜けて飛び去りました。
その時の一枚が上の写真です。
クロアゲハだ、とその時は思いました。
その後で、外へ出てきた妻と二人で、花や虫の話をしながらうろうろしていましたら、今度は別のチョウが目の前に飛び込んできました。
真っ黒ではない、白っぽさがある、黄色っぽい模様があるような気もした。
わぁ、チョウだ、でかい、と叫びましたら、振り返りざまの妻はキアゲハかしら、と。
いや違う、翅に黒い縁取りがある!と私は叫んで。
おしまい。
写真は撮れなかったのです。
さて、アゲハの仲間で翅に黒い縁取りがあるような種類はあったかな、あれはなんだったろう、とよく見る「昆虫エクスプローラ」というサイトでアゲハチョウ科の写真を見ていったら
ジャコウアゲハ のメス でした!
↓このページの少し下の方にメスの写真があります。私の見たのはこれだと思います。
http://www.insects.jp/kon-tyojyakou.htm
ジャコウアゲハ
オスは黒色、メスは黄灰色のアゲハチョウ。胴体に、黄色~赤色の毛を持つ。
広い地域に分布するが、見られる場所は、幼虫の食草であるウマノスズクサのはえている草原やその周辺に限定される。ほかのアゲハチョウの仲間にくらべると、あまりはばたかずにゆったりと飛ぶ。
幼虫も成虫も体内に食草由来のアルカロイド系毒物質をもち、鳥などに食べられるのを防いでいる。
有名なチョウなのですが、私はこれまで見たことがなかった。(あるいは見かけてもクロアゲハだと思っていたのかもしれません)
人生で初見!有名人に出会った嬉しさですね。
思い出してドキドキしました。
何が有名なのかといいますと。毒蝶なんですよ、そして毒蝶へのベーツ擬態という出来事の。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%82%A2%E3%82%B2%E3%83%8F
ジャコウアゲハ
・・・
ジャコウアゲハ類が食べるウマノスズクサ類は、毒性のあるアリストロキア酸を含み、ジャコウアゲハは幼虫時代にその葉を食べることによって、体内に毒を蓄積する。この毒は一生を通して体内に残るため、ジャコウアゲハを食べた捕食者は中毒をおこし、遂には捕食したものを殆ど吐き出してしまう。一度ジャコウアゲハを捕食して中毒を経験した捕食者は、ジャコウアゲハを捕食しなくなる。このため、ジャコウアゲハ類に擬態して身を守る昆虫もいくつか存在し、このような擬態をベーツ擬態と呼ぶ。日本で見られる例としては、
クロアゲハ Papilio protenor
オナガアゲハ Papilio macilentus
アゲハモドキ Epicopeia hainesii
がいずれもジャコウアゲハに擬態しているとされている。
毒物を食べるという能力を獲得して新しい生態的地位を獲得し、進化の枝から分岐したのかなと思います。
幼虫時に食べて蓄積した毒を成虫まで持ち越すというのもすごいですね。
ウマノスズクサという植物も実は私は知らない。
https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/umanosuzukusa.html
ウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)
ウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)の花は雌性先熟で、糞や腐肉に似た匂いで小型のハエをおびき寄せ、花筒の奥の球形の部屋へと誘導する。部屋には柱頭があり、ハエは後戻りができずに、そこに閉じ込められる。その後、雄しべが花粉を出すと、部屋から脱出できるようになり、花粉を付けたハエは花から出ていく。
写真もいっぱいあります。この葉っぱ、ヤマノイモに似ているような、どこかにあったらきっと間違うな。でも、きっと、そんなに遠くないところに生えているのでしょうね。
嘱託員時代に、ご一緒させていただいたオサムシの専門家で高校生物の講師をなさっていた先生と話していて。世田谷での話だそうですが。食草を植えるとチョウが必ず来ますね。ウマノスズクサを植えたらジャコウアゲハが来ましたよ、とおっしゃっていました。
東京都内でもジャコウアゲハはいるんだな、とは思いましたが、実物を見ることができて幸運でした。
しばらく興奮が収まらなかった私でした。
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