ムラサキツユクサ
2017.6.24
花期が長い。
高校の新学期授業が始まって約1ヶ月、生物の顕微鏡実習を始めようかという時にちょうど咲き始めるという感覚があります。カリキュラムに合わせて咲いてくれる。
生徒たちにとって「原形質流動」というのは、初めて接する現象。授業で言葉は習っても、実際に見たことがない。
つまり原形質流動という概念がまだ不完全なのですね。
その状態で、顕微鏡観察をすると、視野内に原形質流動が捉えられているにもかかわらず「見えない」という生徒が出ます。
概念がないと、見えないんですね。机の間をまわりながら、どれどれ覗いて「見えてるじゃん、視野内のコレコレの場所に動きがあるだろ、これが原形質流動なんだ」とガイドしてあげれば見えてくる。
私たちの日常でも、概念がないものは見えていない、ということは多々あります。そういうことがありうるということを知って、自らの視覚をチェックしていないと、大事なものを見逃します。
科学者が新発見をするときというのは、「新」なのですから、まだ誰も見たことがない、概念が存在しないものを「見る」のです。世界中でこれを知っているのは私一人だ、ということが科学者の心を揺さぶり、たとえようのない喜びをもたらすのです。概念のないものを見る。
想像してみてください。すごいことなんですよ。
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