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2017年6月 2日 (金)

準天頂衛星「みちびき」

★昨日のこの記事で↓ロケット先端部に生じた「輪」の話を書きました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-f1f7.html
2017年6月 1日 (木) 準天頂衛星「みちびき」

★今朝の朝日新聞朝刊です。

農業利用など期待 みちびき2号、宇宙へ 2017年6月2日05時00分
 GPS(全地球測位システム)の精度を高める準天頂衛星「みちびき2号」が1日、H2Aロケット34号機で鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。今後、約2週間かけて高度約3万6千キロの軌道に移る。
 内閣府は、高精度の位置情報を生かして、車の自動運転や、無人トラクターによる農業への利用などを想定している。(金子淳撮影)

この記事の写真は、さすがですね、クリアな「輪」が写っていました。この輪についての言及は記事にはありませんでしたので、私が指摘することにします。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12967872.html
↑ここで、記事全文は読めませんけれど、写真を見ることができるはずです。
「音速を超えていくロケット」とでも私ならキャプションをつけるところです。

★ところで、
NHKの報道で

6月1日 9時48分
・・・ロケットは順調に飛行を続け、およそ29分後の午前9時46分ごろに、高度275キロ付近で、「みちびき」を地球を回る軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

高度275km付近で衛星を軌道に投入とあります。
朝日の記事では「今後、約2週間かけて高度約3万6千キロの軌道に移る」とあります。
ずいぶん差がありますね。
多少人工衛星の軌道についてご存知の方なら「3万6千km」という数字にピンとくると思います。
これは静止衛星の軌道の高さですね。
静止衛星は赤道上空3万6千kmを周期24時間で回るので、いつでも同じ場所にとどまって見えるのでした。
でも日本上空は当然赤道上空ではない。どうなっているのでしょう?

★これもまた今日の記事↓
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20170601002273.html

あの色は初号機…? H2Aの機体ロゴ、「エヴァ」仕様 2017年6月1日16時03分
 今回打ち上げられたH2A34号機の側面には、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のスタッフが手がけたロゴマークが飾られた。直径約3メートルの円形で、中央に準天頂衛星「みちびき」の特徴である8の字形の軌道があしらわれている。エヴァ初号機を思わせる紫色を基調としたデザインだ。
(後略)

「準天頂衛星『みちびき』の特徴である8の字形の軌道」とあります。
これが、準天頂衛星「みちびき」の秘密なのです。また「準天頂衛星」という言葉の意味する内容もここにあります。

★順を追って。まずは内閣府のHP
http://qzss.go.jp/overview/information/launch-logo_170208.html

みちびき衛星打上用ロゴ決定のお知らせ
2017年02月08日  内閣府 宇宙開発戦略推進事務局

内閣府宇宙開発戦略推進事務局では、来年度に予定されている、みちびき2~4号機打上用のロゴマーク(打上用ロゴ)を公募し、審査の結果、以下の通り選定しましたのでお知らせします。

[選定のポイント]
    GPS補完機能(高層ビルや山間部等でも電波が受けられる)が伝わる
    他の衛星・ロケットで使用しておらず、斬新性がある
    新産業・サービスが創出されるイメージが湧く
    衛星と共に準天頂軌道を表す8の字が記載されている

このページでロケット側面に採用されたロゴが見られます。どうぞ。

★「準天頂軌道」とは
http://qzss.go.jp/technical/technology/tech01_orbit.html

・・・
 これに対し、GPSを補うみちびきは、日本を中心としたアジア・オセアニア地域での利用に特化したシステムです。常に日本上空(日本国内の地上から見た天頂付近)に衛星を静止させることができれば理想的ですが、地球の引力と遠心力の方向が違うため、静止させることはできません。
 静止衛星とは、地表から常に見えるようにするため、経度を固定したまま赤道上空に静止させたものですが、これを南北方向に振動させたものが傾斜静止軌道衛星といい、南北対称の「8の字軌道」になります。この傾斜静止軌道衛星のうち、北半球では地球から遠ざけることで速度を遅くし、南半球では地球に近づけることで速度を速くしたものが準天頂軌道の衛星となります。
 このため、みちびきの準天頂軌道は、南北非対称の「8の字軌道」になり、北半球に約13時間、南半球に約11時間留まり、日本付近に長く留まります。

やっと8の字の秘密に到達しました。
静止衛星軌道を傾けるんですね、そうすると南北に8の字を描く。
さらに、軌道を円ではなく楕円にして、北半球を通過する時に速度の低下する軌道になるようにした。{ケプラーの第2法則というやつですね。}

★JAXAのサイトから。
http://www.jaxa.jp/countdown/f18/overview/orbit_j.html

準天頂軌道とは

準天頂衛星の軌道
準天頂衛星の軌道を、地球を止めた状態で見てみると、人工衛星が8の字を描くように動いているように見えることから、当初つけられたニックネームが『8の字衛星』と呼ばれるものでした。
この8の字を描く軌道だけでなく、いくつかの案が検討されました。
赤道に対して軌道を傾けて、さらに楕円に(離心率を大きく)して人工衛星が地球から一番離れる位置を北半球の日本付近の上空にすることで、日本上空の滞在時間をできるだけ長くすることができ、その場合は『非対称の8の字』や『涙型』のような軌道になります。

各軌道のメリット
・対称8の字:南北対称の軌道なので、日本とオーストラリアなど、南北で同じようなサービスを行うことが可能です。
・非対称の8の字:準天頂衛星システムが採用する軌道であり、放送衛星として利用する際には人工衛星から衛星への切り替えが行いやすい軌道です。8の字軌道に比べて日本付近での1衛星あたりの滞空時間が長いのがメリットです。
・涙型:人工衛星が日本上空でより長い時間滞在する軌道ですが、人工衛星と地球の間の距離の変化が大きく、アジア・オセアニア地域でのサービスには技術的にいくつかの課題があり、準天頂衛星システムでは採用されませんでした。

日本上空での滞空時間が長く、また仰角が大きく(準天頂)なります。
このことを「高いビルの谷間でも受信できる」と解説している報道もありましたね。

★もっと詳しい解説
目次部分だけ引用します。
http://qz-vision.jaxa.jp/USE/is-qzss/faq/#wrapper

FAQ よくあるお問い合わせ
準天頂衛星初号機「みちびき」に関するよくある質問と回答をご紹介します。

Section01:衛星測位について
1.衛星測位とは?
2.他の衛星測位システムは?

Section02:準天頂衛星初号機「みちびき」について
3.「みちびき」の役割とGPSとの違いとは?
4.「みちびき」のGPS補完効果は?
5.「みちびき」を使った新しい研究分野とは?

Section03:準天頂衛星初号機「みちびき」のシステムについて
6.「みちびき」はどんな衛星か?
7.「みちびき」のアンテナとは?
8.「みちびき」に搭載している時計とは?
9.「みちびき」の地上システムとは?

Section04:準天頂衛星初号機「みちびき」の利用方法について
10.「みちびき」の信号はどこで受信できるか?
11.「みちびき」の信号はいつも受信できるか?
12.「みちびき」はいつ高仰角にいるか?
13.現在使用しているカーナビや受信機でも「みちびき」の信号を受信できるか?

{老爺心:FAQとは Frequently Asked Questions のことです}
マスコミで「みちびき」の紹介はたくさんありますが、なかなかその深層部分に迫ってくれない。

★最後にしよっ、と。
上の目次の「8」ですが、どんな時計を搭載しているのかな。

測位衛星から送られてくる時刻の情報が正確でないと、自分の位置を正確に計算することができません。わずか1マイクロ秒(100万分の1秒)の時刻のずれが、300mもの測距誤差となってしまいます。
このため、「みちびき」には極めて正確で、安定度の高いルビジウム原子時計を2台搭載し、さらに、送信する電波の位相や周波数のずれができるだけ少なくなるように配線や温度管理などに様々な工夫をしています。

すごいものですね。そういう原子時計を積んでいるんだ。これは知りませんでした。

★もう一回、最後に。
普通のGPSのごく粗っぽい原理ですが。
ある衛星が出した電波は、一定時間ののち、球面状に広がっています。
二つの衛星が出す二つの球面の交わりは円になります。
三つめの衛星から広がる電波の球面と円の交わりは2点になります。
そのうちの1点が自分の場所で、もう一点はあり得ない場所をさすことになります。
で、自分の位置が決まる。

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-69c8.html
2010年12月16日 (木)理科話(6):GPSの基本的原理
↑ここにもう少し詳しい解説を書きました。

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