« カランコエ | トップページ | オオイヌノフグリ »

2017年2月17日 (金)

小翅片

★去年も終わりに近いころ、こんな記事を書きました↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-15d5.html
2016年12月22日 (木)「ハエやアブの翅の構造について」
↑ここでアブやハエの前翅の切れ込みと小片の立ち上がりについて、わからない・知りたいと騒ぎました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-cb61.html
2016年11月25日 (金)「ホソヒラタアブandハエ目の翅の小さな構造・切れ込み・立ち上がり」
↑これもほぼ同じ内容です。

0119_3hae1 2017.1.19
線路の柵の柱のてっぺんに大型のハエがいました。
気温が低くて活動性が低いようでしたので
0119_3hae2
アングル狙い。矢印の先に小さな翅の立ち上がりが見えます。
さてこれが問題だ。

★「趣味の自然観察、デジカメ持ってお散歩」というブログがありまして、ここの筆者は非常に繊細な観察眼と広範な知識の持ち主でいらっしゃいます。で、その筆者にコメントの形で質問しました。↓
http://shizensanpo.seesaa.net/article/444715027.html

いつも楽しく拝読しております。アブの話が出ましたところで、私の疑問をお尋ねしようと思います。ハエやアブの翅の付け根付近に「切れ込み」があって、そこから小さな翅片が立ち上がっているように思われます。ちょうど平均棍の真上の部分になります。これ、なにか名前があるのでしょうか。何か意味がある装置なのでしょうか。ずっとわからずにおります。ご存知でしたらご教示ください。

そうしましたら、ご返事をいただきまして

・・・
アブなどを見てみると、確かにこの立ち上がりが見えるものと見えないものが有ります。図に示した前翅の後端の基部が立ち上がって見える部分は、基覆弁、端覆弁、小翅片という3つの部分(パーツ)がつながっている部位に相当します(胴体側の基部側が基覆弁になります)私も調べてみて3個のパーツから成り立っていることは知りませんでした。どうにかすると折れ曲がって上部に突き出るのかなぐらいにしか思っていませんでした。この部分は連動して折れ曲がって立ち上がる構造をしていることからと、種類による翅の構造(基覆弁、端覆弁、小翅片の形状等)の違いがあるのかなどで、とまった時にこの部位が折れて立ち上がって見える個体や種類があるものと思われます。詳しくは私も良く分かりません。この連動して動く動作は飛行機のフラップのような働きをするものと思われます。そちら方面から調べられると疑問は解決されるかも知れませんね。調べると他の昆虫の翅の部位にも同じように可動する部位が有るかも知れませんね。

丁寧な御返事に恐縮しました。

私が問題にしていた「小さな立ち上がり」の部分には「小翅片」という名前があることを知りました。
「基覆弁、端覆弁」と連動して動くもののようです。
メカニカルな「リンク機構」を構成しているのかもしれませんね
翅の膜は薄いですが、翅脈は中空の管ですから、結構な強度があるはずです。
それが高速の羽ばたきの中でメカニカルに小翅片を駆動しているのでしょう。

★ところで、その小翅片の働きなのですが・・・。
「飛行機のフラップのような働き」というご教唆をいただきまして、考え込んでいます。
飛行機が飛ぶには、翼面を流れる滑らかな気流が必要ですね。
フラップは翼面積を増やしたり、空気の流れの剥離を防いで、揚力を増す働きをする、と理解しています。
飛行機の場合、気流が剥離すると、渦が発生して危険ですね。失速になりかねない。
飛行機の飛行の基本は滑らかな気流であると思います。

さて、昆虫に目を転じると。
昆虫の飛翔は完全に解明されたというわけでもなさそうですが。
でも、飛行機のような「滑らかな流れ」で「揚力を発生させる」という飛行ではないように思われます。
ソアリング飛行のできる昆虫もいます。でも、ハエやアブがソアリングするのは見たことないなぁ。常に高速で羽ばたいています。翅の上下・前後運動に際して翅がたわんだりねじれたり、翅まわりの空気の流れが「滑らか」であるとはとても思えない。おそらく「渦」を利用している。
昆虫の体のサイズや重さを考えると、昆虫は「空気の粘っこさ」を感じているのではないか、とも想像します。
粘っこい流体の中での運動では、むしろ渦を積極的に利用するのではないでしょうか。
渦というものは不思議なもので、大雑把に言いますと、渦を作って送りだすと、その反動(反作用)を受けるのです。それが推進力になりうる。

下のリンクの中にこんな記述があります。
翅の周りに渦が出来ていることが分かります.飛翔昆虫は,この渦を捕まえたり離したりしながら飛翔しています.
そうだとすると、小翅片が飛行機の翼のフラップと同じような「整流」の働きをするとは考えにくい。むしろ、翅で発生する渦の生成に関わっている可能性があるかもしれない。

検索してみて、「小翅片」の働きについての記述は見つかりませんでした。
憶測を逞しくすれば、あえて言えば、ひょっとして、小翅片は渦の発生に関与しているかもしれない、と。
ゼッタイ信用しないでくださいよ。できればこの文言の引用も控えてください。
ド素人爺さんの妄想ですから。

★「昆虫の飛翔 渦」でグーグルでアンド検索をしてみました。
下にそのリンクと部分引用を列挙します。太字はブログ筆者がつけたものです。

http://www.nagare.or.jp/download/noauth.html?d=21-2-t06.pdf&dir=83
昆虫飛翔と渦─翅相互作用(Insect Flight and Vortex-Wing Interaction)
北大・電子科学研究所 飯間 信

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1900-03.pdf
生物の飛翔・遊泳時に発生する渦とその反作用の力(Vortex rings and the reaction forces occurring at flight or swimming occasion concerning creatures)
工学院大学工学部機械工学科 伊藤慎一郎
・・・
遊泳する魚の尾びれ後方に生ずる逆カルマン渦列(カルマン渦列とは逆回転の渦列)はFig.3(b)に示すように先細りの流れとなり,加速流であることがわかる.すなわち遊泳する魚には推進力が生ずる.
・・・
渦輪が存在する場合,渦輪の直径で対をなす渦の互いの誘導速度によって渦輪は進行する.渦輪によって形成される質量による移動で渦輪には運動量が生ずるが,その反作用で渦輪を形成に携わった物体には力が作用する.それはあたかも渦輪中心の流れによって加速された流れ(ジェット)の反作用のように見えるが,物理的には渦輪の進行に伴う運動量の交換(作用反作用)によるものである.
・・・
前縁剥離渦(LEV)は3次元的にみるとHelmholtzの定理により渦輪を形成する.すなわち前縁剥離渦の発生は渦輪の発生につながる.そしてその渦輪によるダウンウォッシュあるいは渦輪の進行による運動量の交換(作用反作用)が揚力を産むと考える.
・・・
長時間飛行する鳥は翼端渦を小さくすることで省エネを図るが,レイノルズ数300以下で活動する小さな生き物は,前縁剥離渦(LEV)の発生による非定常性を利用して3次元的な渦輪を生成することにより,大きな揚力をもたらしている.

http://www.athome-academy.jp/archive/engineering_chemistry/0000000157_all.html

http://www.robotics.it-chiba.ac.jp/ja/subject/staff/07-works_1.html
飛翔昆虫は,高い運動能力を持っています. 飛行機や飛行船,ヘリコプターなど,人間が考え出した飛行様式は数多く存在しますが,重力の数倍で加速する垂直離着陸,直角に近い旋回,瓦礫のすきま等もすり抜ける高速移動,1,000kmを超える「渡り」を実現する長距離飛行など,昆虫が利用している「はばたき」には多くの真似し難い優れた能力が秘められています.昆虫は,はばたきによって翅のまわりに作り出した渦を操り,その渦と相互作用することによって大きな力を得ていると考えられています.
{ここには「シミュレーションによるはばたき飛翔のデモ」の動画があります。見事です。是非ご覧ください}
・・・
翅の周りに渦が出来ていることが分かります.飛翔昆虫は,この渦を捕まえたり離したりしながら飛翔しています.
・・・
↓上のリンクと同じ方が書いています。
http://www.speciesbiology.org/archives/mt-preview-0af86672081fa4787e3e229c4e44651af22bc4f7.html
・・・
細長い剛体の翼をもつ固定翼機から作り出される渦は時間と共に変化せず二次元的で比較的単純ですが,正方形に近い弾性膜翼から作り出される渦ははばたき運動と共に変化し三次元的で複雑です.昆虫は翅周りに出来る渦を巧みに利用しており,前縁,翼端,後縁から作り出される渦は揚力改善,姿勢安定化に役立っています.
・・・

http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~sakakiba/opticaltracking.html
移動体追跡撮影装置の開発
{ハエの飛翔の高速度撮影の動画が見られます。すごいです。}

« カランコエ | トップページ | オオイヌノフグリ »

動物」カテゴリの記事

理科おじさん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« カランコエ | トップページ | オオイヌノフグリ »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ