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2016年10月24日 (月)

ただ羅列します

 

ノーベル賞受賞者の益川敏英さんの本から引用。この本、かなり先鋭な内容です。科学史的な記述かな、と思っていたら、そうではない。自分自身に引き付けての鋭い論考です。

「科学者は戦争で何をしたか」益川敏英 著、集英社新書、2015.8.17

   はじめに
   ――ノーベル賞受賞の記念講演で「戦争」の話をしたのは、戦争体験を語れる最後の世代としての責務だからです。
・・・
 ところが、その夜の記者会見で、受賞の感想を聞かれ、思わず私は「たいして嬉しくない」と言ってしまったのです。そのことが翌日大きく報じられて、私は相当偏屈なアマノジャクというレッテルを張られてしまったようです。
 私が「嬉しくない」と言ったのには、理由があります。当日、ノーベル財団から京都産業大学の研究室に電話がかかってきて、最初だけ英語ですぐに日本語の通訳に代わり、「ノーベル物理学賞に決定しました。発表は10分後です」と言われた。そのエラそうな態度に私はカチンと来てしまったのです。ノーベル賞であろうと何だろうと、賞というものは、業績を評価する方も、それを受け取る方も対等なものでしょう。私が今までいただいた賞は、「受けていただけますか」「ありがとうございます。大変光栄です」というやり取りがあって、辞退もあり得るので受賞が公表されるのは、数日後です。
 しかし、ノーベル財団側はそんな確認は一切無視し、受け取るのが当たり前という態度。電話口では「ありがとうございます」と言ったものの、腹の中では「何だい、そんなにお偉いのかい、のしつけて返してやらぁ」とべらんめえの江戸っ子気分で反発していたのです。記者会見ではその気分がまだ残っていて、つい本音がポロリと出てしまった、というわけです。
(後略)

ワタクシかかしは、もしノーベル賞の話が来ても、辞退します。
何ほざいてんだか、金輪際ありっこないでしょ。確かに。

いわせてもらお(朝日新聞 2016年10月22日03時30分)
 ◎ノーベル賞
 ノーベル賞受賞のニュースを見ていた母(74)。ご夫婦そろっての会見に「地味な研究者の奥さんが一夜にして、カメラを向けられるのねえ。いろいろ困るわよねえ」。さらに「私なら無理、無理」。何を心配しているのやら。
 (仙台市・母も父も賞とは無縁です・43歳)

まったく。同感ですな。

表現者ボブ・ディラン

「無礼で傲慢。でも、それが彼」 沈黙ディラン氏にノーベル委員長が苦言(朝日新聞 2016年10月23日05時00分)
 今年のノーベル文学賞の受賞が決まった米国のミュージシャン、ボブ・ディランさん(75)が沈黙を貫いていることについて、同賞を選考したノーベル委員長のペール・ベストベリィ氏が21日、「無礼で傲慢(ごうまん)だ。でもそれが彼ってものだ」と苦言を呈した。
 スウェーデン公共放送SVTのインタビューに応じた。ベストベリィ氏は、ディランさんの公式ウェブサイトから「文学賞受賞」の文言が21日までに削除されたことも「予想していなかったが、彼は気難しいようだから驚きはしなかった」と語った。 授賞を発表したスウェーデン・アカデミーはディランさんに直接連絡することを断念している。「我々は待つ。彼が何と言おうと彼が受賞者だ」とベストベリィ氏。「これは非常に特異な状況。おそらく彼は式典ぎりぎりまで返事を引き延ばすかもしれない」と話した。

ボブ・ディランが自分の生き方で「表現」しているのでしょう。きっと。

益川さんのお友達

朝日川柳 西木空人選
2016年10月20日05時00分
 ノーベル賞驕(おご)るなかれの意思表示(東京都)
選者コメント:さしずめディランは。

(天声人語)ボブ・ディランの沈黙
2016年10月20日05時00分
 ノーベル文学賞受賞が決まってきょうで1週間になるのに、当のボブ・ディラン(75)は沈黙したままである。授賞するスウェーデン・アカデミーは夜通し電話をかけたり、メールを近しい人に送ったり。だがご本人からはとんと音沙汰がない▼「接触を試みたが、もうやめた。ただ近しい人から友好的な返事をもらっていて、現在のところはそれで十分です」。アカデミー事務局長が今週、地元ラジオで語った。すぐさま無邪気に受賞を喜ぶ会見などしないのが美学だろうと察するが、いっそのこと反骨の風のまま辞退してしまうのもディランらしい気がする▼欧米の文学者からはきっぱり返上するべきだとの声も出る。「音楽を通じて権威にさからう姿をみたい」「真にふさわしいのはノーベル音楽賞のはず」▼引き合いに出されるのは、1964年に文学賞を辞退した仏作家サルトルだ。「作家が栄誉を受け入れると読者にある種の圧力を与えてしまう」。作家としての信念に反すると述べた▼思い出すのは95年秋、文化勲章を辞退した名優杉村春子さんの弁である。「いただくと勲章が首にかかっているようで、いつもきちんとしていなくちゃならない」「もっと自由でいたい。ただ芝居をしていたい」。権威にとらわれない姿が爽快だった▼このままディランが辞退しないと仮定しても、12月の授賞式には出席するのだろうか。礼服を着て、晴れがましい顔で栄誉を語るのだろうか。アカデミーならずとも妙に気をもんでしまう。

ワタクシかかしは、ノーベル賞より勲章の方が嫌いだ。
「お上(かみ)に褒められるなんざぁ、まっぴらでぃ。はずかしくって『お隠れになり』てぇや」
{注:「受」と「授」の違いにご注意を}

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