向こうへ行くには越えなきゃね
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-7ef1.html
2016年8月29日 (月)「おそれ」「可能性」
↑ここで、8月29日の時点で太平洋側にある台風が、31日には日本海側にある、と予報しているのに「上陸の恐れがある」というのは変でしょ、と書きました。
これ、高校数学で習うはずの「中間値の定理」の、現実世界での具体化バージョンなんですよ。
↓中間値の定理
http://mathtrain.jp/tyukan
中間値の定理:a≤x≤b で連続な関数 f(x) を考える。 f(a) と f(b) の間にある任意の実数 k に対して,
f(c)=k となる c(a≤c≤b) が存在する。グラフを書けば当たり前な定理です。日本語で言うならば「高さの違う2点を結ぶとき,その中間の高さを絶対に一回は横切る」ということになります。
このページに、わかりやすい図もありますので、図を見に行ってください。
この定理。ちゃんと証明しようとすると、高校のレベルではちょっときついのですが、直感的には自明。
これ、以前何か別の話で作ったグラフですが。再利用。
y軸負の領域から、y軸正の領域へ行こうと思ったら、どうやったってx軸を横切らなければなりませんよね。
この場合3回横切っています。
極小値や極大値がx軸に接するということ(重解の場合)はありますが、少なくとも1回は横切らざるを得ないのです。
これを当たり前だと感じる方は、台風の場合もご理解いただけるでしょう。
日本列島の太平洋側にいる台風が、何日か後に日本海に行くためには、どうしても日本列島を横切らないわけにはいかないのです。これって数学の話じゃないような気もする。日常生活の常識ではないでしょうか。
★参考
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-7f11.html
2015年1月28日 (水)「√2 の話:その15:√2の求め方。★ちょっと凝った考え方:その1「二分法」」
ここでこんなことを書いています。
√2はf(x) = x^2 - 2 という曲線がx軸と交わる点の座標です。
√2の真値を挟むaとbという区間を考えます。
実用上はa=0、b=2で構いません。
0<√2<2 ですので。
aとbが真値を挟んでいることはf(a)*f(b)<0でわかるわけですね。
これ、中間値の定理と明言しませんでしたが、使っています。
2項の積が負の場合、どちらかが正でどちらかが負です。
2項の積が正の場合、ともに正かともに負です。
プログラムでよく使う手なのです。
IF f(a, n)*f(c, n) < 0 THEN
プログラムのこのif文が具体的な表現です。
「f(a, n)*f(c, n) < 0 」が成立していたら、aとcの間で曲線がx軸と交わっているのです。
もし不成立の場合は
こうなので、今度はcとbの間で交わっている。
方程式の解をプログラムで求めるときなどには、この考え方は欠かせません。
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予報はあくまで「可能性」で確率の話なので、それを前提にした動きもまた「断定」はできない、なのでおそれ、ということではないでしょうか。
投稿: ごんげんさん | 2016年9月 8日 (木) 16時00分
コメントありがとうございます。言葉の意味をうまく限定することは難しいですね。特に災害に絡むときには注意が必要だと痛感します。
投稿: かかし | 2016年9月11日 (日) 16時03分