降水量はなぜ○○mmなの?
朝日新聞デジタルから
(Re:お答えします)降水量はなぜ○○mmなの?(2016年9月3日05時00分)
1時間降水量や24時間降水量でよく〇〇mm(ミリメートル)と聞きますが、どのようにして量っているのですか? なぜmmなのですか?
★この質問の前半部分、「どのようにして量っているのですか?」については、下のサイトをご覧ください。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/b1.html
雨量計/観測の原理
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A8%E9%87%8F%E8%A8%88
雨量計
★後半の「なぜmmなのですか?」についてですが。
新聞記事の方では対応する「答え」として。
降水量なのに、なぜリットルや立方メートルなどの量で表さないのでしょうか。気象庁観測課によると、ある一定の場所での水深を示したほうが合理的だから、というのが理由です。
こうなっています。
でもねぇ、「合理的」というのはちょっとなぁ。それはそうだけど。
「雨水の量」ですから、「○○立方メートル降りました」でもいいですけどね。
それだと比較できないでしょ。
畳一枚の面積の容器。25mプール。茶筒一本。
それぞれにたまった水の量を立方メートルで表すことはできますよ。でも、比較のしようがない。
同じ場所にあったとしても、比較できないでしょ。
こういう場合、「単位面積当たりの水量」という考え方をするのです。
SI単位系では長さの単位はmですから、1平方mという底面積の容器を考えて、そこに溜まった雨を立方mで表せばいいわけです。そうすれば日本中どこの雨でも、世界中どこの雨でも「雨の量」が比較できます。
さて、
a(m^3)という雨の体積をb(m^2)という面積で割ったら?
a(m^3)/b(m^2) = (a/b)(m)
ですね。単位面積当たりの水量は深さになるんですね。
論理的な必然なんです。そのほうが合理的とかいう話じゃないと思いますが。
底面積×高さ=体積 ですから、
体積÷底面積=高さ(この場合深さ)になります。
日常的にはmというのは少し大きい単位なので、mmで表せばわかりやすいでしょう。
ということで、雨量はmmという「深さ」で表示しているのです。
私、小学校高学年の時、気象観測係みたいなことをやってました。
毎日、百葉箱へいって、最高気温、最低気温、湿度など記録したり。
風向や風速の記録もしたな。
雲量なんかいい加減で、二人くらいで空を眺めて、「雲量●●」と叫んで、一致したらそれでよし。一致しなかったら歩み寄って記録する。{すんごくいい加減な測定でしたね}
雨量の測定もありましたよ。円筒形の容器に、その円筒の直径と同じ直径のロートがついていて、溜まった雨の深さを記録しました。今のような電気的な測定器ではありません。なぜ、ロートと容器の直径が同じでなければならないのかは先生に教わって理解しましたっけね。
底面積が開口部面積より小さかったら、たくさんの雨を集めて、本来より深くなっちゃうでしょ。バケツがそうですね。
これは、プールの建物の壁に掲示されていたもの。
43.2(m^3) ÷ 62.4(m^2) = 0.69m
水の体積を底面積で割ったら、水深になる。ごく当たり前のこと。
「単位●●あたり」という考え方は大事です。
新聞記事の終わりの方に
雨の強さや降り方には定義があります。1時間雨量であれば、20~30ミリが強い雨で「どしゃ降り」。30~50ミリは激しい雨で「バケツをひっくり返したように降る」。50ミリを超えると傘は役に立たなくなり、80ミリ以上になると、猛烈な雨と呼び、「息苦しい圧迫感」となります。
東北の太平洋側では8月30日、台風10号が上陸し、大きな被害をもたらしました。各地で激しい雨が降り、岩手県宮古市では1時間で80ミリを観測。観測データを仮に量に換算すると、市の面積が約1260平方キロメートルなので、1億80万立方メートルとなります。これは、東京ドーム約81個分ぐらいです。
こういう話が載っていました。
↓気象庁のサイトです。{「faq」というのは「frequently asked questions」のことです}
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq1.html
「激しい雨」、「猛烈な雨」とは、どのくらいの雨を指すのですか?
気象庁では、国民の皆様に雨の強さの程度を容易にご理解いただくために、雨の強さを「やや強い雨」、「強い雨」、「激しい雨」、「非常に激しい雨」、「猛烈な雨」の5段階に分類してお伝えしています。例えば「激しい雨」とは1時間に30ミリ以上50ミリ未満の雨でバケツをひっくり返したように降るイメージ、「猛烈な雨」とは、1時間に80ミリ以上の雨で息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずるイメージとなります。詳しくは、雨の強さと降り方を参照してください。
「参照」も是非ご覧ください。防災に役立ちます。
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