羽化
8月8日の朝日歌壇に嬉しい歌がありました。
2016.8.8朝日歌壇
子どもらの飼育のやごは今朝羽化す教室内を銀ヤンマ飛ぶ:(東京都)尾張栄治
馬場あき子 評:ヤンマの子やごを育てている子供らの教室。ついに羽化して教室内を低空飛行する銀ヤンマの雄姿に声を上げる子供らがみえるようだ。
よかったですね。こんなうれしいことはない。ヤゴがトンボになって空中を飛ぶ。感動というのも生易しいような心の揺れを感じると思いますよ。
教室の電気を消して、薄暗くして、窓を開けるとやがて大空へ飛び立っていく。
別れの甘酸っぱさと、大空を飛ぶトンボを旅立たせた歓び・誇り。
子が成長する瞬間です。
ジンとしちゃいますね。
トンボの羽化は夜中が多い。で、羽化を見たいと羽化の途中で光を当てたりすると、水中に戻ろうとします。ところが、もう呼吸を空気の呼吸に切り替えた後でこれをやると、ヤゴが溺れて水死します。
そういう意味では、小学校の教室、というのは羽化には安全な環境だったでしょう。夜中に光を当てられる、ということはまずないでしょうから。
もし、アカトンボでもシオカラでも、飼育しておられる方がいらっしゃったら、羽化間近になったら、水槽を室内に置かず、ベランダとか、外で、自然の明暗変化の中に置いてやってください。ヤゴの羽化失敗というのはひどく心が痛みます。
{実は若い夫婦だったころ、アカトンボのヤゴを飼育していて失敗したのです。棒は立ててあるのに、失敗する。ところが旅行に出かけて2,3日家を空けて帰宅すると、羽化して去っていった脱け殻がある。なんでだ?と困惑したのですが、夜をちゃんと夜にしてやることに思い至って、以来、失敗はほとんどなくなったのでした。}
ところでギンヤンマの場合どうなのかはよく知らないのですが、オニヤンマの場合は、羽化が近づくと陸に上がります。ですから水の中に棒を立てただけではだめでして、大きな石を入れるとかして、陸地を作ってやってくださいね。
そうしないと、これまたヤゴが溺れます。
ヤゴも溺れることがあるのです。
★別件:ヤゴじゃないけど、オタマジャクシを飼っている場合も陸地を作ってくださいね。陸地がないとカエルがおぼれ死にます。アフリカツメガエルというカエルが、カエルの発生の観察などでよく使われるのは、このカエルが陸地を必要とせず、一生、水中生活を送ってくれるので飼育が楽なのと、ホルモン投与でいつでも産卵させることができる、という特性のせいです。
カエルだって溺れるんだ、ということを知っておいてください。
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