「おそれ」「可能性」
★ずっと気になっていることがありまして。
台風関連の報道で、NHKは「30日、北日本や関東に近づくおそれがあります」のように常に「おそれ」という言葉を使います。「可能性」のほうがよくないですか?
それとも「可能性」は「将来に豊かな可能性がある」のようにポジティブな場合に使い、「おそれ」は災害をもたらすかもしれないというネガティブな場合に使う、というような、内部の規定があるのでしょうか。
かのう‐せい【可能性】
(possibility)
①できる見込み。
②〔哲〕
ア:論理的に矛盾が含まれていないという意味で、考えうること、ありうること。
イ:あることが実現される条件がそれを妨げる条件よりも優勢であると確認されていること。 →現実性 →必然性。
広辞苑第六版より引用
別にポジティブな意味があるとも思えませんが。
★今日のNHKニュースから
台風10号 あす北日本や関東に接近のおそれ 警戒を(NHK、8月29日 6時56分)
大型で非常に強い台風10号は伊豆諸島の八丈島の南の海上を北東へ進んでいて、30日、北日本や関東に近づくおそれがあります。台風の接近に伴い、北日本を中心に次第に雨や風が強まり、30日は大荒れの天気になる見込みで、気象庁は、暴風や高波などに警戒するとともに、台風の進路にあたる地域では早めに安全を確保するよう呼びかけています。
・・・
台風は、伊豆諸島と小笠原諸島の間の海上を北東へ進んだ後、次第に速度を上げながら進路を北西に変えて、30日、暴風域を伴い、強い勢力を保ったまま北日本や関東に接近するおそれがあります。
・・・
また、北日本では、30日の夜を中心に高潮のおそれがあります。
・・・(後略)
で、このニュースの時の映像の一部
31日3時には予報円が日本海側にありますよね。
論理的に言って、日本列島のどこかを横切らない限りその位置には到達できませんよね。
まさか、北海道の北側まで行ってからまた戻るんだ、じゃないんだし。
これは
「30日から31日にかけて日本列島に上陸し横断することになります」「どこを通過するかはまだはっきりしていませんので警戒を強めてください」
でいいのではないですか?
「接近のおそれ」じゃないでしょ。
「可能性」ですらない。
論理的な必然というべきものだと考えますが。
★ちなみに朝日新聞では
台風10号、あす東北上陸か(朝日新聞デジタル 2016年8月29日05時00分)
沖縄方面まで行った後、引き返す形で本州に近づいている非常に強い台風10号は、勢力を維持したまま日本の南海上を北東に進んでおり、30日には関東から東北地方に接近する見通しだ。気象庁は東北地方に上陸する可能性が高いとみている。(後略)
(時時刻刻)Uターン台風、勢力拡大 高い海面水温で発達 太平洋から東日本へ(朝日新聞デジタル 2016年8月29日05時00分)
いったん南西の海上へと向かった台風10号が、「Uターン」して戻ってきた。30日にも東日本の太平洋岸に上陸し、北西へと抜ける異例の進路をたどる見通しだ。海水温の高い海域にとどまったことで勢いを増し、接近前から広い範囲で激しい雨が見込まれている。(後略)
こう表現しています。
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