八十八夜
★昨日は八十八夜でした。立春から八十八日目。
はちじゅうはち‐や【八十八夜】
立春から88日目。陽暦5月1~2日頃にあたり、播種の適期とされる。茶どころでは茶摘みの最盛期となる。春
広辞苑第六版より引用●八十八夜の別れ霜
八十八夜の頃に降りる霜。この頃が最後の霜でこれ以後は降りないといわれる。茶や桑に害を与える。
広辞苑第六版より引用
4月の終わりごろの気象情報で気象予報士さんが、上に引用した「播種の適期とされる。茶どころでは茶摘みの最盛期」という感じの話をしておられました。そして、バックには、茶畑のイラスト、そのイラストには茶畑に立つ「3枚羽根のついた棒」も描き込まれていました。
ほ、遅霜対策の扇風機ね、と思っていたら、当たり障りのない話だけで、扇風機の話はナシ。せっかくのイラストが生かされていませんでしたね。
★私は繰り返し書いてきましたが、「88」という数の意味を予報士さんは多分知らない。
八十八は「米」に通じるし、縁起がいい、とか思ってませんか?それはまあそうなんですけれど、それだけじゃないんですね。
太陽が365日かけて360度回る。{地動説的じゃないけど、相対的には同じこと}。
1日で約1度動きますね。すると88日で約87度くらい回りますか。
立春から立夏までが90度です。
ね、「夏も近づく88夜」でしょ。
太陰暦=月の暦で「4月に入ったら種の播き時」とかいわれても、季節との対応は不安定で農業暦にはならないんですね。
88夜、立夏のころは種の播き時、なら、安定しています。
立夏の直前に88夜、ですから、覚えやすいし安定した季節の目安になります。
二十四節気は季節を生み出す太陽の位置を太陰暦の中に書き込んで季節を示すものなのです。
私たちが今使っているカレンダーは太陽暦、そこへ太陽の位置を示す立夏を書き込めば、88夜は5月1日、立夏は5月5日でほぼ安定しています。太陽暦に太陽の位置を書き込むのですから当然のことなのですね。。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E5%8D%81%E5%85%AB%E5%A4%9C
八十八夜は雑節のひとつで、立春を起算日(第1日目)として88日目(立春の87日後の日)にあたる。
もともと、太陰暦がベースである日本の旧暦では暦日と季節が最悪で半月もずれるために、太陽暦をベースとした雑節としておこり広まったもので、現代ではさしたる意味は無い。
21世紀初頭の現在では平年なら5月2日、閏年なら5月1日である。数十年以上のスパンでは、立春の変動により5月3日の年もある。
★さて、「扇風機」の話。
http://www.tokyo-cha.or.jp/entry2013/20130503_1140.html
日本茶専門店の組合【東京都茶協同組合】
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八十八夜(はちじゅうはちや)は雑節のひとつで、立春を起算日(第1日目)として88日目の日を指しています。八十八という字を組み合わせると「米」という字になることから、この日は農業に従事する人にとっては特別重要な日とされてきました。
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「八十八夜」の頃になると、気温も上昇して茶畑の新芽も緑の絨毯を敷き詰めたようになり、お茶の産地では茶摘みに大忙しの時期になります。
例年、静岡では4月後半から5月中旬に、鹿児島県では4月初旬ころからその年の新茶が出回りはじめます。今年のように3月に温かい日が続いてまだ気温の安定しない時期に萌芽してしまうと、遅霜(4月5月になってから降りる霜)が心配になります。
・・・
ところで皆さんは、この写真のような「茶畑の中に立っている大きな扇風機」を見たことがあるでしょうか。これは、生産家の皆さんが仕事をしていて、暑いから涼しくするためにあるわけではありません。
その名を「防霜(ぼうそう)ファン」と呼ぶのですが、茶の新芽に霜が当たらないように、高いところから風をあてて地表付近の冷え込む空気を動かし、凍霜害を避ける為に使われるものなのです。
http://www.makinouen.co.jp/bousou_fun.html
静岡の茶園を見たことのある人なら、一度は見たことがあると思いますが、茶園の中に電柱が立っていて、その上に扇風機がついています。いったい何のためについているのだろう、と疑問に思った人もたくさんいると思います。そこで、今回はこの『扇風機』について説明をいたしたいと思います。 防霜ファン説明図防霜ファン写真右の写真は実際の扇風機の写真です。本当の名前は『防霜ファン』と言います。その役目は、新茶のお茶の芽が遅霜の被害にやられないようにするために設置しています。
その仕組みは左の図のようになっています。茶園の地面に近いところは冷たい空気の層がありますが、約3~5メートルのところには、やや暖かい空気の層があります。この暖かい空気の層を、ファンでかくはんする事で、霜の被害を防ごうというものです。
弊社を含め茶農家の人は、新茶の芽が出始める3月中旬から、防霜ファンの準備を始めます。茶園にサーモスタットの端子を設置して、気温が約5度以下になるとファンが回るように設定をします。
そして、新茶の摘み取られる5月はじめまで、働き続けます。この防霜ファンの設置によって、遅霜の被害が減り、より美味しいお茶が出来るようになりました。
とまあ、こういうわけでして。{スミマセン。fun ではなくて fan が正しいと思いますけど。}
風のない晴れた夜には放射冷却がおこりやすい、と気象予報士さんたちはよくいいます。
まさしくそれなのです。地面近くに冷たい空気が溜まって遅霜が降りたら茶葉に被害が出る。
で、扇風機で上の空気と混ぜてやるわけですね。
気象情報のなかで
「イラスト中の扇風機は、地面近くの冷たい空気で霜が降りることを防ぐために空気をかきまわす装置なのですね」
そう何秒もかかるわけじゃなし、このくらい話してもいいんじゃないかなぁ。
この頃の気象情報はやたらと情報過多で、却って、何を聞いたのかわからなくなるくらいに忙しない。
ゆったりと、正しい気象の話題を話したら如何なもんでしょうかね。
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