鯛車・江戸前の寿司
★2016年3月19日の朝日新聞、7面に広告がありまして。
歌川国芳の浮世絵が大きく載っていました。
時を超えて、江戸前の「寿司」は世界の「SUSHI」になる。
世界の合言葉、「SUSHI」の始まりは、およそ200年前に生まれた、江戸前の「握り寿司」でした。
1844年、歌川国芳がこの浮世絵を描いた頃の人は、寿司が世界の合言葉になるなんて思っていなかったはず。
・・・
こういうコピーが書かれています。
この浮世絵の実物は下のリンクからご覧ください。
http://www.photo-make.jp/hm_2/kuniyoshi_taigan.html
国芳の奇想 「縞揃女弁慶」シリーズ 女性に託した幕政批判とも言われる
このページの、最上段右端の絵が、新聞に掲載されたものと同じです。拡大して、絵の解説を見ますと
●「縞揃女弁慶 安宅の関」安宅の松鮨を子供に与える女
〈狂歌〉 梅屋『をさな子も ねだる安宅の松の鮓(すし)あふぎ(扇)づけなる袖にすがりて』(『狂歌と着物の模様のメッセージー浮世絵の女性達ー』伊藤敦子著 朱鳥社刊 2005年)。
https://www.library.metro.tokyo.jp/Portals/0/edo/tokyo_library/modal/index.html?d=022
縞揃女弁慶 安宅の松(しまぞろいおんなべんけい あたかのまつ)
歌川国芳 (うたがわくによし)画 天保15年(1844)刊 東京誌料 K662-20-9
江戸で一番贅沢なすしとして有名な深川安宅六軒堀(江東区新大橋あたり)にあった「松ヶ鮨」を描いた作品です。握りずしをねだる子供の愛らしい姿が描かれています。
・・・
↑ここには他に江戸の寿司の解説もあります。
解説文にあるように、母親が右手に寿司の皿を持っていて、幼い男の子が「ちょうだい」とねだっている。
これが女性が右手に持っている寿司の皿。
ん?「卵焼き」の上に「海老」ですか?
そんな風に見えるんですけど、いかがでしょう?
細かく皿の模様なんか「鑑定」できる方は、どういう焼き物か想像してください。
で、右手に皿を持っていますが、左手は?
これです。経木の折箱でしょうか。これに入れて「出前」してもらったんでしょうね。
箱のふたには紙が貼ってあって、「松の寿志(之)」ではないか、志か之かよく読み取れないんですが。「松の寿司」です。
江戸時代って、「昔々」だから、すっごく不便な生活してたんじゃないか、って思いこんでいませんか?
寿司屋さんが握りずしを出前をしてくれて、卵の厚焼きがあったり。
都会生活なんですよね。
{こういう生活も悪くはない。かも。忙しく時間に追われて、あくせくしてませんか?地球上の人口から見ても、もう「経済成長」の時代じゃないだろうと思うんだけど。}
さて
ねだっている男の子の着物。
右の方には、「でんでん太鼓」と「独楽」ですかね。
左は「鯛車」じゃないか。
調べて見たら↓
https://kotobank.jp/word/%E9%AF%9B%E8%BB%8A-556798
たい‐ぐるま〔たひ‐〕【×鯛車】
郷土玩具の一。張り子または木製の鯛に車をつけて引き回すようにしたもの。鹿児島県霧島市・新潟県三条市・埼玉県鴻巣市などのものが知られる。
私は新潟のものを知っているような気がします。
「鯛車」で検索して、画像などご覧ください。
それを絵柄にした着物を江戸の子が着ている。
「流通」という意味でも興味深いことですね。
その他、この浮世絵のあちこちを仔細に観察してみてください。
おっそろしくいろんなことが描き込まれていますよ。
江戸時代の最先端「オタク」ですね。
細部へのものすごいこだわり。感心・感動します。
別件:昔、劇場版ガンダムの戦闘シーンで、端の方を「スーパージェッタ―の流星号」が飛んでいた、という話がありましたっけ。
あんな感じ。
浮世絵も、全体を見るだけでなく、細部もしっかり見てください。面白いこと、この上ない。保証します。
« カラスノエンドウ | トップページ | ポピー(訂正あり) »
「人事」カテゴリの記事
- 「父」からの脱出(2023.06.01)
- 子供達に、1番に笑ってほしい!そしたら大人は頑張れるんだ!!(2023.02.20)
- クリスマスの足袋(2022.12.25)
- 日食月食(2022.11.21)
- 朝日川柳欄から(2022.11.21)
コメント