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2016年2月26日 (金)

バブルリング:1

★こんな記事がありました↓
http://digital.asahi.com/articles/ASJ2142SNJ21PTIB008.html?iref=comtop_photo

首の周りに突然リング シロイルカの新技、名前つけてね(朝日新聞デジタル 2016年2月2日10時58分)
 島根県立しまね海洋館アクアス(浜田市、江津市)が、来館者に人気のシロイルカが見せるリングの「新技」の名前を募っている。
 シロイルカは、口から輪を出す「幸せのバブルリング」と、頭上に輪を出す「幸せの魔法マジックリング」を披露してきた。 新しい輪は、首の周囲に突然現れるのが特徴。口から水を噴き出して水流の輪をつくり、そこをくぐりながら、頭の上にある噴気孔から空気を出すことで、輪になるという。
 ・・・

Iruka
これですね。
↓ここでその技の動画が見られます。スゴイ!是非ご覧ください。
https://www.aquas.or.jp/calendar/new-bubble-ring/

↓幸せのバブルリングができるまで
http://www.aquas.or.jp/modules/dolphin/content0002.html

 ・・・
新たな遊びを考え出すのも得意で、この「バブルリング」も遊びの中から発見されました。
まず最初にシロイルカたちが「バブルリング」をどのようにして作っているのかを観察しました。
すると、シロイルカたちは噴気孔(頭の上にある鼻)からぶくぶくぅ〜っと空気を吐き出し、それを口で「ぱくっ!」と咥えました。そしてそれを吐き出すと・・・きれいな「バブルリング」が出来上がっていました!
私たちトレーナーは、何とかして口の中に空気をためることを教えて、そしてそれを吐き出す・・・というトレーニングを繰り返しました。
 ・・・

↓NHKが協力した解説記事。
http://www.nhk.or.jp/nature/library/aquarium/008.html

↓頭の上にある「鼻孔」から渦の輪を吹きだす動画もあります
http://www.aquas.or.jp/modules/museum/content0001.html

★私が知る限りでは「日経サイエンス」の記事が初めでした。
その号の写真のコピーがコレ。
0212_8bubblering
鼻孔から吹いて作ったものですね。
検索したら要約があって、1996年の記事だったようです。
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/9610-11/dolphin.html
日経サイエンス  1996年10/11月合併号

イルカの気泡リング遊び:K. マーティン(アーストラスト)、 K. シャリフ(米航空宇宙局)、S. プサラコス(コンピューター科学者)、D. J. ホワイト(アーストラスト)

 イルカがどれほど遊び好きで,想像力にあふれているかは,この論文を読めばたちどころに理解できるだろう。イルカたちはおもちゃを与えられなくても十分楽しめるようだ。自分たちでおもちゃを作り出すことができるのだから。もちろん,おもちゃ作り自体も楽しい遊びであることは言うまでもない。
 イルカたちが自分で作るおもちゃとは,気泡のリングだ。噴気孔(鼻孔にあたる)から水中に吐き出す空気を巧みに調節して,リング状にする。あるいは,リングを作るのに不可欠な渦を尾ビレで作り出しておいてから,その渦に空気を吹き込んでリングにする。もっと複雑な技術を使って,気泡のチューブをつくるイルカもいる。 仲間とリングを交互に作って遊んだり,自作のリングで輪くぐりをしたり。著者たちがシャボン玉を吹いているのを見て,リングを作り始めたり。
 リング作りは,イルカが食べ物をとるために必要なものでもなければ,繁殖に関係するものでもない。もちろん,人間が訓練したのでもない。イルカたちは,自分たちが作りたいときに,遊びとしてリングを作っているのである。
 こうしたイルカのリング作り遊びは世界中の水族館で観察されている。とはいえ,ある程度の技術が必要らしく,どのイルカでもすぐにできるわけではない。しかし,面白いことに,初心者が上手なイルカのリング作りから学んで,テクニックを覚えるらしい。リング作り文化とでも呼ぶべきものができているのである。(編集部)
原題名:Ring Bubbles of Dolphins(SCIENTIFIC AMERICAN August 1996)

ここで注目すべき点は
1:遊びであること。
2:他者の技術を見て「学ぶ」ことができる

この2点かな、と思います。

1:「イルカが食べ物をとるために必要なものでもなければ,繁殖に関係するものでもない。もちろん,人間が訓練したのでもない。イルカたちは,自分たちが作りたいときに,遊びとしてリングを作っている。」
これですよね。
「遊び」というものは知性の活動です。好奇心の発露です。
それをしなくても生きていくうえで不利はない、繁殖上の不利もない、でも「おもしろい」からやる。
こういう「遊び」ができる動物は、哺乳類の中でもそう多くはないでしょう。
「ホモ・ルーデンス」というのは「遊ぶ人」という意味。
遊ぶということは、人間にとってこれ以上ないという大事なものです。
今、子どもたちは「遊んで」いるかな?

デジタル大辞泉の解説

ホモ‐ルーデンス(〈ラテン〉Homo ludens)
《遊ぶ人の意》人間観の一。遊ぶことに人間の本質的機能を認める立場から人間を規定した言葉。オランダの歴史家ホイジンガが提唱した。

http://blog.livedoor.jp/mineot/archives/51681744.html
ホモ・ルーデンス

2:他者の技を見て学ぶ。これができる哺乳類も少ない。
猫は個々にはいろんな技を開発します。かなりバラエティーに富んでいます。でも、ある猫が獲得した技を他の猫が真似て身につけるということはまずない。長年猫と暮らしていてそう感じます。
サルには、技の伝承、文化がある。海水で芋を洗うという技がその群れの文化になったというのがありますね。

サルもゆず湯に 3回目の挑戦で実現 福岡(朝日新聞デジタル 2015年12月23日02時53分)
 冬至の22日、福岡市動物園のサル山にゆず湯が現れた。サルたちに暖かく過ごしてもらおうと40度のお湯がかけ流しで提供され、辺りは湯気に包まれた。
 今年で3回目だが、警戒心が強いサルは、これまでなかなかお湯に入らなかった。今回は事前にお湯をはって練習したり、小麦などのえさでつったり……。
 この日は最初に子ザルがお湯に入り、それを止めようとした親ザルもお湯へ。つられて周りのサルたちも入り、飼育係もサルもほっとした様子だった。

イモ洗いも入浴も、どちらもきっかけは子ザルのようです。子ザルは、生きることの安全や食糧確保などは親にまかせっきりで、純粋な好奇心を発揮しますからね。いろいろ新しいことをやってくれる。で、それを周囲も「学ぶ(真似ぶ)」のですね。

★イルカのバブルリングは、遊びであり「初心者が上手なイルカのリング作りから学んで,テクニックを覚えるらしい。リング作り文化とでも呼ぶべきものができている」のです。
イルカの知性はすごいものです。
鏡に映った自分の姿を見てそれを「自分だ」と認識する「鏡像認知」という能力は、チンパンジーや象、そしてイルカなどが持っています。
イルカと話し合えたら楽しいでしょうね。

http://matome.naver.jp/odai/2134336196094532301
イルカの空気のリングまとめ
↑ここにいろんな写真があります、どうぞ。

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