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2016年2月 1日 (月)

滑車

0122_1kassya1 2016.1.22
妻の買い物帰り。
マンションの外壁補修かなんかで、足場を組んで、資材を上に運んでいたようです。
0122_1kassya2
最近「そのまんまの滑車」なんて見なくなっていたから、なんだかうれしくなって撮ってきた、とのこと。
まったく、教科書の写真に使いたいくらい、典型的・定義通りの「定滑車」ですね。

「定滑車」「動滑車」
なんだかなつかしいな。
滑車についてはいろいろな解説サイトがありますが、さしあたって下のようなところをご紹介します。
忘れちゃったけど興味がある、という方はどうぞ↓
http://blog.livedoor.jp/aritouch/archives/3889596.html
http://www.crane-club.com/study/dynamics/sheave.html

さて、上の写真は定滑車ですから、力の方向を変える働きをしますが、力の大きさは変わらない。
動滑車を使うと、力の得をしますが、引く長さは増えます。
結局、仕事=力×距離 なので、道具を用いると「小さな力で済むけれど長い距離の移動が必要になる」のですね。
これが「仕事の原理」。
人間の筋力には限界がありますから、それ以上大きな力は出せません。
でも小さな力をずっと出し続けることは人間にとっては比較的楽です。
ですから、道具を使って、力を小さくして、力を加える距離を長くする方が楽なのですね。

「てこ」「滑車」「斜面」などを「単一機械(simple machine)」といいます。
機能が単一なんですね。
てこの派生形としての「輪軸」、斜面の派生形としての「ねじ」や「くさび」なども単一機械です。

仕事の原理の別の表現になりますが。
人が道具に対してする仕事≧道具がものに対してする仕事
という関係が成り立ちます。
理想的な場合にのみ「=」が成立し、現実的には常に「>」です。
仕事の量では損をするけれど楽だ、というのが道具というものなのですね。

私のHPでもずいぶん扱いました。
↓ぜひお読みください。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/28th/sci_28.htm
第28回:機械おもちゃづくり。滑車。巣蜜。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/27th/sci_27.htm
第27回:滑車
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/25th/sci_25.htm
第25回:斜面・ネジ
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/24th/sci_24.htm
第24回:輪軸
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/21th/sci_21.htm
第21回:テコ

★思い出話ですが、私の教師キャリアの初っ端で「曳家(ひきや)」という工事を経験しました。
世田谷区立池尻中学校でのこと。
赴任時は木造校舎だったのですが、建て替えることになりました。
普通なら古い校舎は解体するのですが、校庭を共有する池尻小学校の方の事情で、中学校の校舎を仮校舎として使うことになったのです。そこで、中学校の校舎を「曳家工法」で校庭の向こう側へ引っ張っていったんですね。
土台を切り、ジャッキアップし、レールを下に通し、コロを入れる。
校舎全体にロープを輪にかけて、ロープの端を引いてそろりそろりと引いていくのです。
作業員の方が座り込んで、組み合わせ滑車をくるくる、くるくる回すと、ゆっくりと校舎が移動していくんですね。
理科教師として興奮してしまいました。
滑車、ロープ、コロで巨大な校舎を人独りの力で移動させるんですよ~。すごかった。
作業員の方が「何枚ガラスが割れるか賭けようぜ」とやってましたっけ。
力が均一にかかるようにロープをかけてはあるのですが、さすがに木造校舎、歪むのですね。
校舎が歪むと、窓枠も歪む、限界に達すると窓ガラスが弾けて割れる。
その枚数を賭けていたのです。
はたから見ていた分には、ほとんど割れませんでしたが、実際はどうだったのかな。
物理教師としての出発点にもなった経験でした。

↓曳家についての参考サイトです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B3%E5%AE%B6
http://www.nihon-hikiya.or.jp/hikiya.html

私の知る範囲で一番最近の曳家工事は弘前城の石垣修理でお城を動かした工事かな。
最終的には10年くらいかかる工事です。
http://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/shisetsu/park/2015-0217-1629-48.html
弘前城本丸石垣修理事業
http://www.hirosakipark.jp/ishigaki.html
弘前城石垣修理事業

その前に東京では、有名な赤坂プリンスホテルの移動がありましたね。
日経の技術的な記事です↓
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200H_S3A121C1000000/
じわりと毎秒1ミリ、赤プリ旧館をまるごと動かす
驚異の工事現場シリーズ

道具・機械のメカニカルな原理を知るというのは楽しいことです。

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