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2015年12月 4日 (金)

はやぶさ2 スイングバイ

★はやぶさ2は昨夜午後7時8分の最接近で太平洋上の高度3090キロ上空を通過して、新たな軌道へ向かったようですね。
 その軌道が予定通りなのかどうか、正確な測定を経て、スイングバイの最終的な成否が判明するのでしょうが、まずは、異常を起こすことなく通過していった、ということに「おめでとう」。
{予定通りの軌道に乗っていれば、RYUGU接近時のコントロールに余力が残ります。もし軌道がずれていると、修正しなければなりませんから、余力が減っていく。}

★さて、今朝の朝日新聞でのスイングバイの説明。

 「スイングバイ」は、少ない燃料で効率よく目的地に向かう航法。探査機が地球に近づくと、地球の引力で向きがかわる。このときに、地球が公転で進む速さを受け取って加速する。

スイングバイを簡略に説明するのは結構厄介ですが、この一言はいいですね。
地球の公転が入ってこない「地球上の視点」で見ていると、接近の時と遠ざかっていくときの速度は変わらないんです。
ところが、太陽系を見下ろすような視点で見れば、地球の公転が入ってきて、加速が起きていることになる。
出来事は一つのはずなのですが、視点(座標)の取り方で見え方が変わります。
こういう視点の変換に慣れることが大事ですね。

★その意味で天声人語が面白かった。

(天声人語)「はやぶさ2」の長い旅(2015年12月4日05時00分)
 ・・・
▼ちょうど1年前に打ち上げられ、地球と同じような軌道で回っていた。いわば母なる地球が、「さあ頑張って」と子どものお尻をぽんと押して送り出したイメージか。小惑星「リュウグウ」には、2年半かけて到達する予定だ
 ・・・

全体から察するに、天声人語子は物理にはかなり縁遠い方のように察せられますが、ここに引用した比喩は、ある意味で的を射ています。
私が以前説明しましたが。
地球の軌道の後ろ側をぐるっと回って抜けていく、ということが見えないような、遠方から眺めたら。
はやぶさ2が地球に追突されて向きを変え速さを増して飛んでいった、と見えるはずなのです。
「子どものお尻をぽんと押して送り出したイメージ」はそれなりに的外れではないのですね。
面白かった。

★長野県木曽町の東京大木曽観測所で観測に成功したというニュースをNHKのニュースで見ました。
なかなか素敵な画像で、心揺さぶられるものがありましたが。

木曽で「はやぶさ2」撮影成功(NHK 12月04日 07時09分)
・・・
午後5時半から撮影が始まりました。
そして、午後6時すぎに「はやぶさ2」が、画面の下から上に向かって、さまざまな天体の間を抜けながら進んでいく姿をとらえることに成功しました。
・・・

それはちょっとなぁ。
はやぶさ2は地球のそばを通過していますが、「さまざまな天体」というのは、要するに星空の星です、無限遠の天球に貼り付いているとみなせる天体ですからね。
「天体の間を抜けながら進んでいく」というのはいただけない。そりゃまあ、見たまんま、ではあるのでしょうけれど。
「画面の下から上に向かって、さまざまな天体を背景にしてまっすぐ進んでいく姿をとらえることに成功しました。」
このくらいの方がよくありませんか?

★ついでに「?」をもうひとつ。

NHK(12月03日 20時01分)
はやぶさ2 東大観測所が撮影
・・・
午後6時すぎ望遠鏡で撮影した複数の画像に、「はやぶさ2」が画面の下から上に向かって、さまざまな天体の間を抜けながら進んでいく姿が写っていました。
また、午後6時半すぎに撮影した複数の画像では、「はやぶさ2」が画面の中ほどの雲の間から姿を現し、30分前よりさらに速いスピードで画面の上の方に向かって勢いよく進んでいく姿が写っていました。
時間が進むにつれ最初はゆっくりだった「はやぶさ2」のスピードが上がっていった理由について、観測していた東京大学の酒向重行助教は「『はやぶさ2』が地球に近づくにつれて地球の重力に引き込まれ、速度が上がっていったからだ」と話しています。

ん?ホント?それはもちろんそうなんですけれど。
遠いものを斜めに見ている時の移動よりも、近くに来て正面を横切っていくときの移動のほうが(もし速度が同じでも)背景の星々に対する速度は大きくなるでしょ。
一定時間内の視線の角度変化がこの場合の「速度」ですね。
「地球に引っ張られて加速した」ということは事実ですが、望遠鏡の視野内での見え方の説明としてはちょっと違う気がします。

今朝の朝日の記事ですが

はやぶさ2「いってきます」 地球に接近、リュウグウへ針路変更(2015年12月4日05時00分)
 ・・・
 東京大の酒向(さこう)重行助教は「時間も位置もどんぴしゃ。初めは暗くてゆっくりだったが、みるみる明るくなって速度も増し、頼もしい感じになった」と話した。
 ・・・

遠かったはやぶさ2が「みるみる明るく」なったのは近づいたからですね。
最接近の時、目の前を通過していくはやぶさ2を見る視線の角度変化が最大になったわけです。

はやぶさ2の健闘を祈ります。

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