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2015年11月20日 (金)

はやぶさ2が接近しています

★はやぶさ2が地球スイングバイをするのが12月3日の予定。

↓この記事で書きましたように、地球の公転軌道近傍での速度は30km/s程度のはず。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-f709.html
2015年11月12日 (木)「小惑星が接近しましたね」

NHKのニュースでは

はやぶさ2 地球の重力利用して進路変更へ
11月3日 18時15分
 ・・・
秒速30.3キロから秒速31.9キロに加速
 ・・・

ね、そんなものです。

http://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/mission.html
↑ここに、はやぶさ2のスイングバイのよい図があります。

http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/swingby_navigation.html
↑ここには「スイングバイ航法」の原理図があります。

↓ここから引用します。
http://spaceinfo.jaxa.jp/hayabusa/about/principle1.html
原理「スウィングバイ」と「万有引力の法則」

■ スウィングバイの原理
 惑星の質量をMとし、探査機の質量をmとし、探査機が惑星に近づいていると考えましょう。距離が小さくなればなるほど、引力Fは大きくなります。つまり、探査機は惑星に、力Fで引き寄せられるというわけです。そのとき、探査機の速度は、進もうとする方向と惑星との引力Fとの関係で、徐々に速くなります。しかし、探査機が惑星の後ろを通過して、惑星から離れようとすると、今度は逆に、力Fで引っ張られるために、探査機の速度は遅くなってしまい、結局は元の速度にもどり、探査機の進む方向が変わっただけになってしまいます。

 ところが、実際の惑星は公転をしていますので話は複雑です。惑星は探査機を引き寄せながら、探査機に近づいているのです。そして、探査機が惑星の後ろを通過した後は、探査機と同じ方向へ進むことになるので、惑星に引き寄せられるときに増えた速度を相殺することはありません。最終的には、探査機は惑星の近くを通過することによって加速されることになります。

(ブログ筆者の注:公転は円運動ですが、スイングバイの近傍では直線運動と見ても問題ありません)

この解説の前の段落は、惑星が静止している場合の出来事。あるいは、惑星(地球)に座標を置いた場合の見え方。
その場合、惑星に向かって接近してくるときと離れていくときで、探査機の速さは変わりません。地上で見ていて、探査機が加速して去っていくようには見えないのです。

解説の後半の段落は、惑星が公転運動をしている時。あるいは、座標を太陽系に広げて、地球も探査機も運動していると見える場合になります。
このように、座標を変える、「視点」をどこに置くかを変えてみる、ことはとても重要なことです。
Accel_swingby
JAXAのサイトからお借りしました。
これが、スイングバイによる増速ということです。
Hayabusa2_mission_orbit
その結果、地球の公転軌道周辺を飛んできた「はやぶさ2」は「りゅうぐう」の軌道へと接近していくわけです。

★通常の解説はこれでいいのですが、せっかく「あいまいな案山子」が何か言おうというのですから、さらに視点を変えてみましょう。
Shototu1
これは、図左上から下へ飛行してきた探査機が地球の重力で軌道を右方向へ90度曲げられて飛び去ったという図です。
{作図は単に双曲線を描いて、点を打っただけです。}
これをですね、はるか彼方から、物体の大きさなど見えず単なる「質点」として扱う視点に移動してみましょう。
Shototu2
もう軌道が「曲げられた」とかいう「近傍のこと」は無視。そうすると
左上から飛行してきた質量の小さな探査機が、大質量の惑星に衝突して右の方へ跳ね飛ばされた、というように見えることになります。この衝突は完全弾性衝突で、運動量だけではなく運動エネルギーも保存される衝突です。

天体が運動していて、他の天体と重力で相互作用しながら互いに相手の周りを回って離れていった、というような出来事は、このように詳細を省いて、完全弾性衝突の問題として扱うことができます。

この立場で、加速スイングバイをみますと。
微小質量の探査機が大質量の惑星に、斜めに「追突」されて、進行方向を変え速度を増す
と見ることができるのです。

一つの出来事が、いろいろに見えるのだ、ということの面白さを味わってください。
{また次の話ができてしまった。実ははるか昔、大学生の頃、理学部の学生(私)が工学部の講義を聞いて、天体の「衝突」問題を知ったという経験があるのです。それはまた後ほど。}

★参考サイトの追加
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1510/15/news132.html
↑スイングバイの時に地球周辺をどのように通過していくのか、その軌道を地図に投影したイラストがあります。

http://fnorio.com/0085swing_by_navigation1/swing_by_navigation1.htm

(1)m1>>m2の場合
・・・
これは高校物理の練習問題ですが、(1)が、スイングバイの原理を示している。m1が惑星、m2が惑星探査機と考えれば、スイングバイ航法とは小さな惑星探査機が巨大な惑星に衝突されてはじき飛ばされる現象です。旨くやれば、探査機は惑星の公転速度の2倍以上の速度を得ることができる。そのぶん惑星の運動エネルギーと運動量は減少するが、質量が巨大故にそのことで生じる惑星の速度変化は無視できる。
 スイングバイ航法の本質は運動量保存則です。[運動の法則]、[運動量保存則]、[エネルギー保存則]は同等の内容を別な方向から見ているのですが、この現象の理解には運動量保存則の見方が最も適している。そのとき、エネルギー保存則は跳ね返り係数e=1の完全弾性衝突を代弁している(別稿「力積と運動量」参照)。惑星と探査機の相互作用は完全弾性衝突の例です

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