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2015年11月25日 (水)

理学部学生 工学部の講義を聴く

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-7005.html
2015年11月20日 (金)「はやぶさ2が接近しています」
↑ここで、スイングバイを遠くから見て、近傍での出来事を無視すると、「衝突」のように見える、というお話をしました。
そのような視点を得たのは、大学生の頃でした。で、その思い出話などをちょっと書きたくなりました。

★4年生のときでした。あれは理学部の企画だったのかな。
理学部の講義しか受けていない学生に、工学部の講義を受けさせて、視野を広げさせる、というような企画だったと思うのですが。

★三体問題の話でした。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
三体問題(three-body problem)
 3つの天体が互いに万有引力を及ぼし合いながら行う運動を解く天体力学の問題。二体問題は一般的に解けるが,三体問題は一般的には解けないことが H.ポアンカレ等により証明されている。ただし特殊な制限条件のもとでは解かれており,3つの天体が常に一直線上に並ぶオイラーの直線解,伸縮する正三角形の頂点に配列するラグランジュの正三角形解 (ラグランジュの特殊解 ) ,および周期軌道を与える周期解が知られている。

機動戦士ガンダムで「ラグランジュ点」というのは有名になりましたね。
で、こういう特殊な問題以外には一般解がない。

有名な三体問題として「ピタゴラスの三体問題」というものがあることをを教わりました。
問題はこういうもの
3bodyproblem
辺の長さ3,4,5のピタゴラス三角形の、対応する頂点に質量3,4,5の質点を置く。
時刻ゼロで、運動を開始しさせると、それ以降どのように運動するか、という問題。
一般解はないのです。
そうなると、微分方程式を数値積分で解くしかないですね。
コンピューターがないと数値積分は「辛い」。
下の参考サイトによると「1967年にエール大学のサブヘイ(Szebehely)らに よって解決された」とのことです。
私は1967年には19歳です。工学部の講義を聞いたのは割とすぐ後といえるころなんですね、多分。当時そういうことは知らなかったけれど。
工学部の先生は、数値積分を行って天体の動きをプロットして自分たちで動画にした、とおっしゃって、その動画を上映してくださったのでした。
面白かったなぁ。
3つの天体は重力によって相互作用し、離合集散を繰り返します。そのまま3つで集団を作ったままになるのか、と思っていると、2つが連星を形成し、残る一つがその連星の軌道の中を突っ切って通過し、重力カタパルト現象で加速されて一直線に去っていきます。あとの二つは連星のままになります。
こんな経過を動画で見たのでした。

この途中、星が引き合って衝突するようなシーンが何度も現れるのですが、先生は、これは実際に衝突しているのではなく、重力によって相互に相手の周りを回って離れるという出来事である、と教えてくださいました。
衝突として扱うこともでき、その場合、完全弾性衝突で、運動量も運動エネルギーも保存される、とのことでした。

●このときに、天体の運動を「衝突」のように見ることができるという視点を獲得したのでした。

当時における最新の研究を、まだ巨大だったコンピューターを駆使して、時間をかけて数値積分をやったんですね、きっと。
微分方程式では、時間幅は無限小ですが、数値積分では時間幅が有限。で、その幅を小さくすれば誤差は小さくなるのですが、計算に要する時間がとてつもなく大きくなる。計算時間と許容できる誤差とをどのように折り合いをつけるか、が問題。
後に私も自分でマイコンで数値積分を試みるようになって、やっと後からわかったという次第です。
万有引力は距離の自乗に反比例します。質点が接近すると距離 r が小さくなりますが、その小さい値が分母に自乗の形で入っていますから、r の小さな誤差でも爆発的に拡大してしまい、計算が破綻するのです。それを回避するのが大変な「技術」なんですね。
{昔は「パソコン」といわず「マイコン」といいました。「シャープX1ターボ」という機種で長く遊びましたっけ。}

とまあ、そういうわけで、たった一回、ある90分の講義が、今も私の中に残っています。
目的とか夢とか、そういうことを抜きにして、役に立つかどうかもわからない知的好奇心の活動が、今も私の中にちゃんと残っているのです。「学ぶ」ってそういうことだと思うけどな。
夢の実現に向かって、役立つものを学び、役に立たないものは捨てる、というのは精神世界を貧弱なものにすると思っています。

★参考サイト
http://www.marble-cafe.com/planet/Pythagoras/Pythagoras.html

ピタゴラス三体問題のシミュレーション(更新日 2005/12/27 (2005/12/15作成))
 ピタゴラス三体問題とはピタゴラスの三角形(三辺の長さが3,4,5の直角三角形)が あるとき、その頂点に、それぞれ重さ3、重さ4、重さ5の物体を置いたときに 万有引力だけでどんな運動をするか、というシミュレーションです。
1913年にブラウ(C.Burrau)によって研究され、1967年にエール大学のサブヘイ(Szebehely)らに よって解決された問題とのことです。(パソコンで見る天体の動き(長沢 工 著、地人書店出版、1992) より)

JAVAソースがあります。JAVAが使える方はご覧ください。

↓これ、面白いです。動画があります。
http://sci.tea-nifty.com/blog/2013/03/geogebra42gif-2.html
ピタゴラスの三体問題をGeoGebra4.2でGIFアニメにしてみる。

http://www.din.or.jp/~take_din/math/3body.htm
ピタゴラスの3体問題
↑エクセルのVBAプログラムで、概要がわかります。

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