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2015年10月16日 (金)

悲しい現実

★梶田隆章さんのノーベル物理学賞受賞に関する報道等に「悲しみ」を覚えました。
NHKの報道

ノーベル物理学賞に梶田隆章さん(10月6日 18時54分)
・・・
その結果、「ニュートリノ」に質量、つまり「重さ」があることを世界で初めて突き止め、平成10年に開かれた国際学会で発表しました。
・・・
###############
梶田さん「ニュートリノ振動」世界で初めて捉える(10月6日 19時50分)
・・・
質量、つまり重さはないと考えられていました。
・・・
###############
日本人 ニュートリノでの受賞は2回目(10月6日 20時36分)
・・・
飛行中の様子を分析した結果、飛びながら種類が変化する「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象を世界で初めて確認しました。こうした変化は、「ニュートリノ」に質量、つまり「重さ」がなければ説明がつかず、梶田さんは、平成10年に開かれた国際学会で、「ニュートリノ」に質量があると突き止めたことを発表して、それまでの素粒子物理学の定説を覆しました。
・・・

「質量、つまり「重さ」」って、一体どういう理解なんですか?
この記事を書かれた方、中学校の理科さえもお忘れになったようですね。
ナッサケネ。
元理科教師の無力感、絶望感に浸るだけですね。悲哀

↓中学校理科のサイトです。
http://www.all5.jp/subject/127.html

宇宙の話も含む、理科の世界では、
◇「物体そのものの量」を表すときには「質量」
◇「重力の大きさが関係する力」を表すときには「重さ」
と使い分けるルールがあります。
小学校や、日常生活では、
重さの単位は“g”や“kg”ですが、
中学生・高校生の理科では、
★「質量」の単位が“g”や“kg”
★「重さ」の単位は“N(ニュートン)”
となるので、これから慣れていきましょう!

NHKの科学部の記者さん方、かな
「これから慣れていきましょう!」ネ。

おも‐さ【重さ】
①おもいこと。また、その程度。
②(weight)地球上の物体に働く重力の大きさ。物体の質量と重力加速度との積に等しい。重量。目方。
広辞苑第六版より引用

しつ‐りょう【質量】‥リヤウ
〔理〕(mass)物体が有する固有の量。物体の重量とは区別される。力が物体を動かそうとする時に物体の慣性によって生じる抵抗の度合を示す量(慣性質量)として定義され、他方万有引力の法則から2物体間に働く引力がおのおのの質量(重力質量)の積に比例するとして定義される。実験によれば、両質量は同等である。単位はキログラム、またはグラム。
広辞苑第六版より引用

★NHKの報道引用に「ニュートリノ振動」というのがありますね。
この言葉に反応した朝日の「素粒子」子。

素粒子(2015年10月7日16時30分)
 ふるえるものには重さがある。感動があるから人生に価値がある。宇宙の謎に迫る梶田教授の偉業に心ふるえる。
    ☆
(後略)

「振動」とは「ふるえる」ことだ。
「ふるえる」という言葉が、内容を置き去りにして自律的に走ってしまって
「感動」「心ふるえる」に結び付いた。

詩人でいらっしゃいます。

言葉のイメージが自律して自走してしまう、という表現は詩によくあることです。
言葉の意味のあいまいさをうまく重ねて新たなイメージを生み出す、と言うやり方もある。

でもねぇ、これはノーベル物理学賞の話、ニュートリノ振動の話。
量子力学の「存在自体が粒子であり波動である」というレベルでの話。
科学の言葉は余分な意味を削ぎ落して定義された意味でしか使っていません。
とても大事なことです。科学用語が難しいといいますが、あいまいさを排除して、コミュニケーションを明確なものにするものです。科学は詩ではありません。

私は素粒子物理学をわかっているわけではありません。入り口から中を覗いて驚嘆しているだけです。
分かっていないときには、わかっていないなりの書き方をしないと
はずかしいですよ。

分かっていることを、明確な意味の言葉で表現し伝える。
詩人ではないジャーナリストが取るべき基本的な姿勢だと思いますが。

少し踏み込んでみたい方にお勧めします↓
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/sk/neutrino.html
ニュートリノとニュートリノ振動

★わかっている人のコメント

村山斉さん「今までの標準理論越えた研究」(NHK 10月6日 20時20分)
 梶田さんと同じく東京大学で素粒子物理学を研究している東京大学数物連携宇宙研究機構の機構長でアメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の教授も務めている村山斉さんは、「梶田さんの研究は、今までの物理学の標準理論を越えた全く新しいもので、当然、ノーベル賞を受賞してもよいと思っていたが、それが実現され、とてもうれしい。梶田さんは、非常に穏やかな性格の人で、大発見をしたなどと研究成果を自慢するような人ではなく、こつこつと実直に研究を進める人だ。今回、受賞につながった発見も、梶田さんが学生時代に始めた実験を信念を持ってこつこつと進めた結果で、彼らしい成果だと思う」と述べ、同僚の受賞を喜んでいました。
 また、素粒子物理の分野が受賞の対象になったことについて「欧米の研究が大規模な実験装置や研究グループで行われているのに対して、日本は比較的規模の小さい独自の方法で進めていて、ねらいを定めた実験がすばらしい成果を挙げていることは誇らしいことだと思う。最近のノーベル物理学賞は、人間生活にすぐに役立つ研究が評価される傾向があったが、そもそも宇宙がどう成り立っているのか、人間が人間として存在している理由は何なのか、といった根源的な問いに応える研究が評価されたことは、すばらしい」と話していました。

そう、宇宙の存在そのものにかかわることなのです。

★こんな記述がありました↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%8E

ただし、ニュートリノ振動からは型の異なるニュートリノの質量差が測定されるのみで、質量の値は解らない。が、これに先立つ1987年2月23日午後4時35分小柴昌俊による15万光年離れた大マゼラン雲の超新星SN 1987Aからの電子ニュートリノの観測時刻が光学観測との間で理論的に有意な差を観測できなかったことから、極めて小さな上限値(電子の質量の100万分の1以下)が得られており、共同研究チームは3種のニュートリノの質量を発表している。

電子の質量は 9.10938291(40)×10^(-31)kg
(40)の「40」は最後の2桁の不確かさを示す数字です。
科学の世界では「不確かさ」を示すことが、「確かな」数値として大切なことなのです。
で、この質量の「100万分の1」となると
9.10938291(40)×10^(-31)kg / 100,0000 = 9.10938291(40)×10^(-37)kg

質量が0かそうでないか、が問題なのであって、「この質量に働く重力=重さ」などは問題外です。

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