« スーパームーンの話題:1 | トップページ | 帰り道 »

2015年10月19日 (月)

スーパームーンの話題:2

●二つ目の話題は。スパームーンの「大きさ」の話。
NHKのニュースでは「最も小さく見えるときの満月と比べると、28日夜の満月は、直径がおよそ14%大きく、30%近く明るく輝いて見える」という部分。朝日では「見かけ上の直径は約1・14倍」となっています。

NHKが「直径」といっているのは、実際の月の直径ではなく、朝日の「見かけ上の直径」のほうがよりよい。
もう少し踏み込むと「視直径」といって、角度で大きさを示すものです。
天文学のようにはるか遠い天体の話をしていると、天体の実際の大きさより、天体を地上で見た「大きさ」が問題になるのですね。
太陽は月よりはるかに大きいですが、視直径はほぼ同じ。ですから、日食時に月が太陽を覆うことができます。
このように、その天体を見た時の、直径の両端を見る視線がなす角度=視直径、で大きさを表示するのです。

天体までの距離をL、天体の半径をdとすると、天体の半径を見込む角θは
θ=arctan(d/L)
ですね。
このθを天体の視半径といいます。2倍すれば当然、視直径になります。

★この話、実はもう議論は済んでまして、去年「スーパームーン」という記事に書きました↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-6715.html
2014年8月29日 (金)「スーパームーン」

8月11日「満月の瞬間の月の視直径は約33分角」
1月16日「このときの月の視直径は約29分角」
では
((33-29)/29)×100 = 13.8% ≒ 14
なるほど。ナットク。約14%視直径が大きいのでした。

こういう風に書いています。

★ところで前の記事で引用した的川さんの記事で

 ご存じの通り、月は地球のまわりを回っています。一般的には月と地球の距離は約38万キロメートルと言われますが、現実には楕円(だえん)軌道なので、距離は常に変化しています。今年1年だけのデータでも、一番近いのは9月28日の35万6877キロメートル、一番遠いのは9月14日の40万6464キロメートルで、実に約5万キロメートルものひらきがあります。一番遠い時(マイクロムーン)と、最も近い時を比較すると15%近くも大きさが違います。これに人間の目の錯覚も手伝って、普段の月より格段に大きく見える気がするのです。
 ・・・(後略) (的川泰宣・JAXA名誉教授)

・ここに月-地球間の距離がありますのでこれを使ってみましょう

月の赤道半径 d =1737.4km{理科年表から}
月-地球間の距離{的川さんの記事から}
L1=35,6877 km
L2=40,6464 km

d/L1 = 1737.4/356877 = 0.00486834399527007904684246953432
θ1  = arctan(d/L1)  = 0.27893336051531632221697689411402 = 16.73 min

d/L2 = 1737.4/406464 = 0.00427442528735632183908045977011
θ2  = arctan(d/L2)  = 0.24490503728701487829813027428757 = 14.69 min

θ1/θ2 = 16.73/14.69 = 1.139
↑これが度分秒での視半径比です。
視直径比は分母分子を2倍にして割るのですから変化なし。
で、視直径比も約1.14(14%大きい)となるわけですね。
これはこれでもういいや。

・ところでですね、苦手な方もいると思いますが、角度をラジアンで扱ってみましょう。
↓ラジアンで
tan(θ1) = d/L1 = 1737.4/356877 = 0.00486834399527007904684246953432
θ1 = arctan(d/L1)                  = 0.00486830553464461701034128732396 rad

tan(θ2) = d/L2 = 1737.4/406464 = 0.00427442528735632183908045977011
θ2 = arctan(d/L2)                  = 0.00427439925537789071678010082665 rad
角度比=視半径比=視直径比は全く同じく約1.14。
これはあたりまえ、単位が違ったって比は同じ。(度分秒とラジアンの換算係数は比を取った時にキャンセルします。)

注目していただきたいのはラジアンだと
tan(θ1) ≒ θ1
tan(θ2) ≒ θ2
こうなっていますね。
このことの理由は、
去年の「スーパームーン」に続く記事↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-6138.html
2014年8月29日 (金)「視直径」
ここに掲載した図に書き込んであるのです。
Sihankei
高校数学で微分を習った時、三角関数の微分のところで
θ→0 のとき ((sinθ)/θ))→1 というのを学んだと思います。
θが小さい時、sinθ≒θということですね。
これを拡張すると今回の
θが小さい時、tanθ≒θとなるのです。

それは去年の図にちゃんと書いてありました。
ところが去年は気づかずに済ませたことがありまして、今回気づきなおしました。

θ1≒tan(θ1) = d/L1
θ2≒tan(θ2) = d/L2

であるならば

θ1/θ2 = (d/L1)/(d/L2) = L2/L1
角度=視半径 の比は、距離の逆比になるんですね。
(対象の天体が同一の場合です、あくまでも)

406464/356877=1.139

なるほどねぇ。そうなんだ。約1.14倍じゃないですか。
そうだよなぁ、当たり前か。

同一天体と地球との距離が変わって視直径が変化する場合、
視直径比(大/小)=距離比(遠/近)
になります。

去年書いた式の中に表現されていたのに、気づかないとはね、大・うっかり者でした。
で、気づいたことをご報告まで。

★応用問題
理科年表から
太陽からの距離(10^8km)
最小:1.471 最大:1.521

1.521/1.471 = 1.034

7月ごろ、太陽は遠日点付近にあり、視直径は小さく、1月ごろ近日点付近にあり視直径が大きくなります。
その比は距離比とほぼ同じですから、上の計算のように、1.034倍ほど冬の太陽の方が大きいのですね。3.4%大きい。
面積でいうと、1.034の自乗=1.069 倍ほど大きく、夏より冬の方が7%明るい?
ホント?
ホントです。実感とは違いますけどね。夏の太陽はぎらぎらとパワフルですもんね。
これは太陽高度の問題でして、太陽-地球間の距離の問題ではないのですね。

http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FB5A8C0E1A4CFA4CAA4BCCAD1B2BDA4B9A4EBA4CEA4ABA1A9.html
「むしろ、太陽から最も遠く離れるのは7月上旬頃 (北半球では夏) です。」
これは国立天文台のサイトです。

http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FC6F3BDBDBBCDC0E1B5A4A4CEC4EAA4E1CAFD.html#b53dad44
{よい図があります}

http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/attaka_eco/reference/pdf/sekkei/sekkei_1.pdf
「太陽エネルギーの基礎知識」という文章です。

« スーパームーンの話題:1 | トップページ | 帰り道 »

理科おじさん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« スーパームーンの話題:1 | トップページ | 帰り道 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ