地震のマグニチュードとエネルギー
★また地震の話です。
「首都直下地震に備えを」震度5弱で専門家(NHK 9月12日 13時54分)
そのうえで、古村教授は「東京湾直下で想定される地震のマグニチュードは7.3だが、けさの地震は地震のエネルギーにして1000分の1以下で規模が非常に小さい。しかし、この程度の規模であっても、エレベーターに閉じ込められたり、水道管が破裂したりする被害が出ているため、今回の地震をきっかけに、想定される首都直下地震への備えを進める必要がある」と指摘しました。都内で震度5弱 「首都直下」と似た仕組み 地震のリスクあらわ
2015年9月13日(日)7時0分配信 カナロコ by 神奈川新聞
東京都内で震度5弱を観測した12日朝の東京湾の地震は、「地震の巣」と呼ばれる首都圏のリスクをあらためて浮き彫りにした。
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一方、国が同プレート内で発生する可能性があるとみている首都直下地震の規模はM7・3。地震のエネルギーは今回より約千倍大きいため、都市防災に詳しい明治大学大学院の中林一樹特任教授は「今回は震度5弱や4にとどまったが、首都直下でははるかに大きな揺れになると考えておいた方がいい」と指摘する。
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●M7の地震はM5の地震よりも「約1000倍」エネルギーが大きいのですね。
マグニチュードが2大きくなると、エネルギーが1000倍になる。
この感覚、日常的じゃないですね。
最も日常的な感覚は「比例」でしょう。
一方が2倍3倍になると、もう一方も2倍3倍になる。
マグニチュードが5から7へ、1.4倍になったのだから、エネルギーも1.4倍程度か。
いえいえ、全然違いますね。
●Mが1大きくなるとエネルギーは約30倍になるのです。
理科年表によりますと
地震の規模とエネルギーとの関係
(Gutenberg-Richter)
logE = 4.8 + 1.5M
ただし、E:地震波として出されたエネルギー(単位はJ)
↓ここに詳しい話が書いてあります。是非お読みください。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-6701.html
2010年3月 9日 (火)「地震のマグニチュードとエネルギー」
↓上の記事に掲げた式を再掲
この中の⑥式を見てください。
「エネルギーの比」が、10の肩に乗った「Mの差」になっています。
そこで、マグニチュードが「1」大きくなると、エネルギーは「10^1.5」倍になります。
10^1.5 = 10^(3/2) = (10^3)^(1/2) = √(1000) = 31.6 ≒ 30
こういうことなのですね。
マグニチュードが2大きくなると、30倍の30倍で約1000倍になります。
{31.6×31.6=999倍 でもいいけど。大雑把でいいでしょう。}
ニュースの中で「1000倍」とか「1000分の1」とかいうのはことなのです。
ちょっと面倒くさいですが、適当に見積もっているのではなく、背景にちゃんと関係式が存在しているのだということを知るだけでも、なんとなく納得しやすいでしょ。
★高校化学でpHを習った方も多いと思います。
pHは水素(Hydrogen)イオン濃度の指数(冪のことをpowerといいます)で、水素イオンの濃度がごくごく薄い範囲で、そのモル濃度を小数表示したときの小数点以下何桁目から数字が出てくるかという「桁」を示すものです。
これが数学的には常用対数を取るということになるのです。
ですから、pHの値が「1」増えると、水素イオン濃度は「1/10」になるのです。小数点以下で一桁右へずれる、一桁薄くなる、ということですね。
こんなふうに習いましたか?
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