★瞬間最大風速について
「最大風速」は「10分間平均風速」です
「瞬間風速」は「風速計の測定値(0.25秒間隔)を3秒間平均した値(測定値12個の平均値)」です。
「最大瞬間風速」は「瞬間風速の最大値」です。
{気象庁の用語から引用}
風速71メートル、史上最高 石垣・台風15号(朝日 2015年8月25日05時00分)
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非常に強い台風15号は24日、沖縄の西の海上を進んだ。25日朝には九州に接近し、上陸する恐れがある。沖縄県石垣市では23日夜、観測史上最高となる最大瞬間風速71・0メートルを記録。
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「観測史上最高」といわれると、どうも、日本全国の記録の中で「最高」のような気がしてしまう。
ところが
台風15号:24日、沖縄本島接近…気象庁、警戒呼びかけ
毎日新聞 2015年08月23日 20時31分(最終更新 08月24日 01時41分)
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沖縄県石垣市では23日午後9時過ぎ、最大瞬間風速71メートルを観測し、1941年の統計開始以来の同地点での最大値を更新。
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「同地点での」という5文字が加わることで、明確な情報になりましたね。
これって、報道者として大切な姿勢なのではないかと思います。
きちんと事実を伝えることがまず第一でしょう。
誤解の入り込む余地、あいまいさを可能な限り排除することが基本ですよね。
★念のため気象庁のサイトで調べたら↓
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/rankall.php?prec_no=&prec_ch=&block_no=&block_ch=&year=&month=&day=&elm=rankall&view=
ホーム > 各種データ・資料 > 過去の気象データ検索 > 歴代全国ランキング
最大瞬間風速
順位 都道府県 地点 観測値(m/s) 起日
1 静岡県 富士山 * 91.0 1966年9月25日
2 沖縄県 宮古島 * 85.3 1966年9月5日
3 高知県 室戸岬 * 84.5 1961年9月16日
4 鹿児島県 名瀬 * 78.9 1970年8月13日
5 沖縄県 那覇 * 73.6 1956年9月8日
6 愛媛県 宇和島 * 72.3 1964年9月25日
7 沖縄県 石垣島 * 71.0 2015年8月23日
8 沖縄県 与那国島 * 70.2 1994年8月7日
9 沖縄県 西表島 * 69.9 2006年9月16日
10 徳島県 剣山 * 69.0 1970年8月21日
日本記録は「91.0m/s」でした。{今回の記録は歴代7位です}
★秒速(m/s)で示されると、なんとなく身近ではないですね。
時速(km/h)なら自動車などで「体感」できる速さですね。
★単位を見てください。
m/sの分母分子を「3600倍」すると
「3600m/3600s」になりますね。この3600sは1hですから
「3600m/h」になりました。
3600mは「1000で割って」3.6kmです。
ということでm/sの値を「3600倍」して「1000で割る」とkm/hの値になります。
「3600倍」して「1000で割る」ということは「3.6倍」することと同じですね。
ですから、風速などの秒速を聞いたら、3.6倍すれば時速の値になります。
電卓なしでもおおよその見当はつくでしょう。
高校の物理でもこれを教えて一覧表を作ったものです。
m/s km/h
10 36
20 72
30 108
40 144
50 180
60 216
70 252
80 288
90 324
陸上100mの選手が100mを10秒で走ると、10m/s=36km/h
今回の「71.0m/s」は約252km/hですね。{256km/hかな、ホントは}
新幹線の屋根にしがみついているような感じでしょうか。
日本記録の「91.0m/s」だと328km/hですね。F1レースの速さくらいですか。
たまりませんね。
★ところで
・朝日では「最大瞬間風速71・0メートル」
・毎日では「最大瞬間風速71メートル」
・NHKでは「台風が接近している石垣市登野城では23日午後9時16分に71メートルちょうどの最大瞬間風速を観測し、昭和16年に統計を取り始めてから最も大きい記録になりました。」
{「ななじゅういち点ゼロ」という「ゼロ」がいえずに、「ちょうど」という。NHKって窮屈な組織ですねぇ。}
・NHKラジオの気象予報士・伊藤さんのブログでは「最大瞬間風速が71.0メートル」となっていました。
http://ameblo.jp/ito-miyuki/entry-12065191503.html
やや速度あげて北上15号(2015-08-24 09:03:22)
元理科教師としましては「瞬間最大風速が71.0m/sと、同地点での最大値を更新した」という表現をお勧めしたいですね。
風速の「値」の「最大値」はそれで構わないのですけれど、NHKの「最も大きい記録になりました」というのはいただけませんね。
「大きい記録」というのはなんだかなぁ。ぞわっとした違和感が背中を走ったんですよ、ニュースを聞きながら。
いうなら「もっとも大きな値を記録しました」じゃないかなぁ。
★波の高さ
気象庁の用語を引用。
波高:波の山から谷までの高さ。
備考:音声伝達では「波の高さ」を用いる。
有義波高:ある地点で一定時間(例えば20分間)に観測される波のうち、高いほうから順に1/3の個数までの波について平均した波高。これは目視観測による波高に近いと言われている。
備考:波の高さの予報は「有義波高」を対象とする。
最大波高:ある地点で一定時間(例えば20分間)に観測される波のうち最大のもの。
備考:統計的には、観測される波のうち「1000に1」の割合で有義波高の2倍近い波が出現すると言われている。
物理などの波動で使う「振幅」は、平衡状態から山頂まで、平衡状態から谷底までの振れ幅ですが。
気象用語では谷底から山頂までの「波高」ですので、注意が必要です。
ごく常識的な感覚として、家屋や学校建築などでは「ワン・フロア『3m』」と見積もって大きな誤りはないです。
{高層ビルなどではワンフロアが5~6mあるようですが。}
ということは、ごくおおざっぱな話として
毎日新聞 2015年08月23日 20時31分
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波の高さの予想は、沖縄と奄美、九州南部で8~11メートル。
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このくらいだと「3階建ての建物が押し寄せてくる」という感じで把握してもいいと思います。
10mと言われてどのくらいの高さかイメージできなくても、「3階建て」といえばイメージがしやすいでしょ。
3階建ての波が押し寄せて来たらこれはもうたまりません。絶対に海岸へは近づかないでください。
そして、気象庁からの引用にもありましたように
「統計的には、観測される波のうち「1000に1」の割合で有義波高の2倍近い波が出現すると言われている。」
のです。防波堤にいて、そうたいしたことはないと思っても、たまに、2,3倍の高い波が来る。
海の荒れた日に遊泳したり、突堤で釣をするときなど、注意してくださいね。