√2の話:その35「正方形の対角線」
★前回↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-8fd5.html
2015年3月20日 (金) √2の話:その34:派生して「n次元立方体の対角線」
今回は「n次元立方体の対角線」などではありませんで、2次元の正方形の対角線について。
1辺を1とすれば対角線の長さは√2。これはごく当たり前のことです。
正方形の穴がありまして{点線}、そこに穴より少し大きめの蓋{実線}をしてあります。
この蓋、ちょっとしくじると穴に落っこちてしまう。
なにせ点線の正方形の1辺を1とすれば対角線は√2。
実線の蓋の一辺は√2の長さはない。ということは落っこちることができる。
マンホールが四角いと、危ない!ということですね。
点線の穴に実線の蓋。
これはどうやっても蓋が穴に落ちることはない。
↓これはメーカーのサイト。
http://www.chubu-net.co.jp/CGI/whatsnew/top_view.cgi?mode=view&syurui=mame&select=kenzai&seq=33
マンホール蓋はなぜ丸いのか?
マンホール蓋は主に下水道、汚水、雨水、電気、電話線などの点検又は出入り口として、道路や歩道などで利用されています。万が一マンホール蓋が落ちてしまったらとても危険な状態になります。蓋の落下を回避するためにマンホール蓋を丸くしています。なぜなら・・・
角型のマンホール蓋の場合、対角線上に蓋を立てた場合蓋外形はマンホール内径の対角線より必ず短くなるため落下する可能性がありとても危険ですが、丸型の場合はマンホール内径よりも蓋外形が必ず大きいため、落下する心配がなく安全と言えます。また丸型は人の出入りもしやすくなっていることもあり現在では多く使用されています。
★マンホールの蓋はなぜ丸いのか、という話は以前から知っていたのですが、マイクロソフトの入社試験に使われたことがあるそうです。これは初耳でした。
http://kakiwo.exblog.jp/5037326
マンホールの蓋はなぜ丸い?
有名な「ビル・ゲイツの試験問題」というものがあります。ちなみに本も出ています。
ビル・ゲイツの試験、つまりマイクロソフト社の入社のための問題で、それらは非常にユニークであることで知られていますね。例えば、タイトルにある問題もそのひとつ。マンホールの蓋はなぜ丸いのか。
・・・
●四角いと、蓋が穴に落ちてしまうから
がその回答。
●定幅図形(等幅図形)の穴と蓋なら落ちません。
これはルーローの三角形といいまして、正三角形の各頂点を中心にして、1辺を半径とする円を描いて作ります。
ちょっと考えればわかりますが、この三角形は、間隔1の2直線の間に挟まった状態で自由に転がることができるのです。
重心の位置は変化しますが、幅は変わらない。
ということは、ルーローの三角形の穴を掘って、ルーローの三角形の蓋をすれば、どう転がっても落ちないんですね。
一般的に、正奇数多角形なら、ルーローの三角形と同じやり方で、定幅曲線が描けます。
もっとも、そんな図形をつくるのは厄介ですから、そんな穴と蓋を作る人もないでしょうけど。
★数学者の芳沢さんのお話で締めくくります↓
http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXMZO80396050S4A201C1000000&uah=DF260720128534
円周率の定義は…大人が間違える子供の算数:桜美林大学教授 芳沢光雄
2014/12/9 6:30 日本経済新聞 電子版小中高校の数学教育活動に携わって20年になる。全国各地の学校に出向き、出前授業などをしてきた。その際、生徒から様々な質問を受けるが、大人が答えられなかったり、間違って答えたりするものも少なくない。子供のころに習った簡単なことでも、長い間に忘れてしまっているのだ。勉強の仕方に原因があることもある。今回は、そんな算数の問題の中からいくつか紹介しよう。
■電卓でどんな数でも√を何度も押すとなぜ1になるの?
・・・
■「円周りつは、およそでなく何ですか?」
・・・
■7.75÷2.17を小数第2位まで計算し、余りも求めよ
・・・
■割り切れない分数が小数部分で繰り返す理由
・・・
■マンホールはなぜ丸い形をしているのか
最後は、かつてマイクロソフトの入社試験で、「マンホールの蓋はなぜ丸いのか」という問題が出題されたことに関連する話題である。答えは「蓋をどのように動かしても下に落ちないから」である。説明は以下の通りだ。
円形のマンホールを置く地面の穴の直径をa cm、マンホールの直径をb cmとする。マンホールをその穴の上に重ねて置くことを考えると、bはaより大きくなくてはならない。一方、もしマンホールを立体的にいろいろ動かして、その穴の部分を通過させられることができるならば、マンホールの直径が穴を通過する瞬間があるはずだ。それは、マンホールの直径bは穴の直径a以下であることを意味する。これは、前提の「bはaより大きい」と矛盾している。したがって、マンホールを立体的にいろいろと動かしても、マンホールを穴の部分を通過させることは不可能である。すなわち、マンホールを丸くすると、どのように動かしても、穴の部分から下に落ちないというメリットがある。ここで取り上げたいのは、「マンホールのような丸い図形以外でも、どのように動かしても下に落ちない同じ性質をもつ図形はあるか」という疑問である。これについては、2008年に出版し既に絶版になった拙著に書いたことであるが、以下が解答である。
下図は、一辺がa cmの正三角形の各頂点から半径a cmの円を描いて完成させた「ルーローの三角形」という図形である。その内側の点線のように、それより内側に入った点だけで構成される部分と同じ形をした穴を地面に開けると、蓋のルーローの三角形は曲げない限り、いろいろ動かしてもその穴を通過することができない。それは、マンホールの問題のように、蓋のルーローの三角形が穴を通過する瞬間の幅を考えれば、ルーローの三角形の作り方から下に落ちないことが分かるだろう。
・・・
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