食い込む立方体
★「理科おじさん」というよりは、「理数夫婦」と言った方がいいかも。
2月15日の朝日新聞に「(坪田耕三の切ってはって算数力)意外に簡単、食い込む立方体」というのがありまして。
こういう彫刻が栃木県立美術館にあるのだそうです。
作者は、堀内正和さん、「ジグザグ立方体」(1974年)というのだそうです。
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こんな難しい立体は、きっと作るのが難しいと思うでしょう。でも、意外なことに、ずいぶん簡単な展開図からできるのです。図1を見てください。このよう に、正方形を横に4個くっつけて、縦3段にずらして並べます。実線部分は山折り、点線部分は谷折りにします。折り目をしっかりつけて、折ってみてくださ い。どうですか? できたでしょう。ちょっとびっくりしますね。
さて、これが出来たら、もっと立方体がつながったような形を作りたいと思いませんか。では、どうしたらいいでしょう。みなさんなら、どうしますか?
階段状の展開図をもっと上につなぎますか? それとも、もっと横に長くしますか? ほかの考えもあるかもしれませんが、とりあえず、この二つをやってみます。
図2のように、上にもう一段くっつけて折っていくと……、あれ、くっつきませんね。
図3のように、正方形を横4個ではなく、5個にするとどうでしょう。できました。実際にやってみると、横に長くしていく方法ならできるとわかりますね。
それなら、立方体が2個食い込んだ形にするにはどうすればいいでしょうか。わかりますね。もっと短くすればいいのです(図4)。
さらに、別の視点から考察してみましょう。この立体の「体積」はどうなっているのでしょう。
1個の立方体の体積を1として考えてみます。2個以上は食い込んだ部分の体積を引き算します。結果は以下のようになります。
立方体1個→1
立方体2個→5/3
立方体3個→7/3
立方体4個→9/3=3
ここで決まりがわかりますか? 立方体が1個増えると体積も3分の2ずつ増えることが分かります。そして、4個の状態できちんとした立方体3個分になる。つまり、1個分減るということです。
これは面白い、展開図もあるからどうだい、と妻に切り抜きを渡したのです。
これがその展開図。
そうしたら、さすが中学校で数学を教えていた人ですから、面白がって作ってくれたのが下の写真。
2015.2.26
なんというのかな、どこか直感を裏切られているというか、面白い感覚が湧いてきますよ。
現役だったらひょっとして教材にしたかもしれませんね。
その場合、体積を考えるのがきっと「よい頭の体操」になる。
立方体の隣り合う3つの面の対角線を底辺とする三角錐を考えるんですね。
赤い線で示される正三角形を底面とする三角錐です。
この三角錐の体積は立方体の体積の1/6になります。
二つの立方体からそれぞれこの三角錐を切り取ってその切り取った面で張り合わせます。
そうすると、2-(1/6)×2=5/3となるのです。
5/3の体積の立体から1/6切り落として、そこへ立方体から1/6を切り落とした立体を貼り付けます。
5/3-1/6+5/6=14/6=7/3
こんな風になっていくわけです。
後はご自分でどうぞ。
パズルとしてはなかなか面白い。
楽しめますよ。
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