雲
2015.1.7
一つの雲でも白い部分と黒い部分があります。
白い部分では氷か水の粒が太陽の光を丸ごとあらゆる方向へ散乱しています。
波長による差がない。そして雲が薄いのであらゆる方向に散乱された光が抜けてきます。
ですから、太陽光線の向きとは違う場所から眺めても、散乱された丸ごとの太陽光が見えます。
これが白。
黒い部分では、雲の表面で散乱が起こり、散乱した光がまた別の氷の粒に当たって散乱して向きをかえ・・・ということを繰り返しているうちに、地面に立っている私のところへ光が来なくなってしまったのです。
光が来ない、これが黒。
ですから白・黒は色ではありません。
ところが背景の青空。
これは空気を構成する気体分子レベルでのレイリー散乱と呼ばれる現象が起こっています。
波長の短い光ほど散乱を強く受けますので、波長の短い青い光が脇の方向へ散乱されます。
これが青空。
赤い光は比較的散乱されずに進んでいきます。
光の波長に対して選択的な散乱が起こり、特定の波長の光が見える→ですから青空の青は「色」です。
一枚の中に、白黒青が写りましたのでつい書きたくなりました。
同じ日の夕方の夕焼け雲。
青い光が散乱されて残った赤い光が雲に当たり、氷粒で選択なしで散乱されて雲が赤く色づいています。
雲の厚い部分は、赤い光であってもやはり繰り返される散乱で光が出てこられなくなりますので、黒い。
いろいろな現象が重なっています。
そう思って見るのも面白いでしょ。
こうやって、夕焼けを見せてくれる赤い光が、地球の影の側に回り込んで月を赤く照らしたりするのですね。
科学というのは、夕焼けでも月食でも同じように原理・原則が通用する、そこが面白いんですね。
理科年表のサイトにリンクしますので是非お読みください。
https://www.rikanenpyo.jp/FAQ/kisyo/faq_kisyo_005.html
「なぜ夕日は赤く、空は青いのですか?」
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