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2015年1月27日 (火)

太陽関係の話を二つほど。その1:黒点

太陽関係の話を二つほど。その1:黒点
太陽の黒点、地球66個分 24年ぶりの大きさ 先月、国立天文台など観測
これは去年の11月20日の朝日新聞の記事の見出しです。
記事は

 国立天文台と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は19日、太陽の表面に10月下旬に出現した巨大な黒点をとらえた画像を公開した。24年ぶりの大きさで、最大になったときで地球66個分にあたるという。
 巨大黒点は10月16日から30日まで観測され、太陽の自転でいったん隠れた。その後、11月15日に再び観測可能になったときは3分の1になっていた。黒点は太陽の活動が活発な時期に多く出現する。10月には、太陽の表面で黒点が引き起こす爆発現象「フレア」の巨大なものが計6回起きていた。
 国立天文台によると、太陽の活動は約11年周期で強くなったり弱くなったりするが、現在は最も活発な時期だという。24年前の1990年に出現した巨大黒点は地球74個分に相当し、約4カ月間観測された。

記事中の写真を白黒にして小さくして載せます。
Kokuten1
黒点の大きさにはあまり関心がありませんで、そうなんだ、という感じ。
私が気にしたのは、黒点の移動。
記事中「巨大黒点は10月16日から30日まで観測され、太陽の自転でいったん隠れた。その後、11月15日に再び観測可能になった」とありまして、約1カ月で自転しているようですね。
太陽は「ガス」なので、赤道から極まで一体で自転しているわけではないのです。
地球のような固体なら一体で回転してますから、自転周期はどこでも同じですけれど。
太陽の自転周期は

27日6時間36分 (赤道)
28日4時間48分 (緯度30度)
30日19時間12分(緯度60度)
31日19時間12分(緯度75度)

大体こうです。
写真を見ると、自転が見えますね。
ところで、黒点は太陽の自転に乗って移動しているわけですが、地球から眺めると、あまりにも遠いので、地球との距離変化・前後関係はわからなくなります。
縁の方に出現した時は遠くて、真正面の時は近くなっているのでしょうが、そんなことは観測されない。
観測されるのは、円運動の奥行き方向の運動を消してしまって平面に投影した運動しか見えません。
円運動を真横から正射影をとると単振動になり、時間を横軸にとってグラフ化すると、正弦波(サインカーブ)が得られる、というのを、高校で物理をとった方は学習したと思います。
Sin_curve
左に等速円運動を黒い点で描きました。
その右は、その円運動の正射影、赤い点で描きました。これは上下の単振動になっています。
一番右は赤い点の運動を横軸を時間として描いたグラフです。
左の黒い点が太陽表面の黒点だとすると、その位置を時間軸で描いたらサインカーブになるでしょう。
ということで、新聞の写真の黒点の位置を物差しで大雑把に測ってみました。

黒点の新聞写真
黒点の位置の最大幅:65mm
10/18 :  2mm :0.03
10/20 :  8mm :0.12
10/24 : 34mm :0.52
10/26 : 48mm :0.74
10/28 : 59mm :0.91

これをエクセルでグラフ化したら
Kokuten0
こうなりました。
あまり「みごと」とは言いかねますが、一応、サインカーブの一部らしき曲線が得られました。{苦しいかなぁ}
データ点がもっといっぱいあればよかったのですけど。
太陽が自転していて、黒点はその表面に乗って等速円運動をしている、という「証明」なんですけどね。

★毎日新聞のコラム

憂楽帳:黒点(毎日新聞 2014年10月30日 西部夕刊)
 太陽に巨大黒点が出現! 10月下旬、天文関係のホームページなどで話題となった。27日、減光フィルターを付けたカメラで太陽を撮影すると黒々とした姿が西の縁近くに確認できた。
 1980年代半ばの高校時代、黒点観測が日課だった。天文気象部で、昼休みは屋上の観測ドームへ。老舗光学メーカー、五藤光学の屈折赤道儀を太陽に向けた。口径15センチ、長さは3メートル近く。ちょっとした天文台だ。
 観測はスケッチだった。太陽像を拡大し投影板の観測用紙に映った黒点を鉛筆でなぞる。実にアナログだが、安全で当時は一般的だった。国立天文台も1998年まで実施していた。
(後略)

高校の天文部などではよく行う活動です。

ところで、このやり方、かのガリレオ・ガリレイさんがやった方法なのです。
「ガリレオ 黒点」でアンド検索すると私のHPが2番目に出てきました。そこから引用します。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/SunSpot.htm
↑コレ
岩波文庫「星界の報告 太陽黒点に関する第二書簡」ガリレオ・ガリレイ著、山田慶児・谷 泰訳。1976年10月18日 第一刷発行。¥200-

この文庫本の130ページから148ページに、「1612年6月および7月にかけて日々ガリレオ・ガリレイ氏が観察し観測した太陽黒点の図」という太陽黒点の観測記録の図があるのです。この図が正確で忠実なものであるなら、ここから「等速円運動とサインカーブ」の関係を浮かび上がらせることができるのではないだろうか?というようなことを考えたのです。また、そこから太陽の自転周期なども求まるだろう、と。

文庫本に掲載されているガリレオの観測の図から、黒点の位置を物差しで測って、グラフにしたんですね。そうしたら
Img005
こうなったんですよ。黒い点が図から読み取ったもの。
赤い線は周期27日のサインカーブです。
重なっているでしょ。
で、私の結論

●ガリレオの観察とその記録は非常に正確であり、かつ誠実なものであったということが分かります。科学という学問において「誠実な観測と記録」は絶対に色あせないものです。400年近く昔のデータからサインカーブが再現され、太陽の自転周期がほぼ正しく再現されました。
 ガリレオ自身は初めの方の引用にあるように「太陽は惑星の球体とおなじように西から東へ回転しながら、およそ一太陰月で一回転します。」といっています。太陰月は約29.5日ですから、周期もきちっと把握していたことが分かります。

ね、400年の時を越えて、ガリレオのデータから太陽の自転を見ることができるのです。
科学ってすごいですね。
最近、こういう「科学の信頼性」を損ねるようなことが多くて不快です。
科学の基本は誠実な観察と過不足ない記録です。
見てもいないことを書いてはいけないし、見たことをすべて記録しないで恣意的に書いてもいけない。
ガリレオという人は、すごい人ですね。
「星界の報告」について、こういう見方を出した方は少ないと思いますので、改めてここで指摘しておきます。

★参考。
http://www.nao.ac.jp/news/topics/2014/20141119-hinode.html
国立天文台の「巨大黒点の出現と、「ひので」がとらえた磁場構造」というページです。

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/SunSpot.htm
ガリレオが観察した太陽黒点
↑これが私のHP。

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